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「シソンヌライブ08[huit]」大阪公演のチケットが売れていないらしい。

キングオブコント2014』での華々しい優勝から五年が経過している今も尚、年に一度のペースで開催されている単独公演を継続し、その舞台が高く評価されているシソンヌ。完成された世界観のコントを作り上げる職人気質な性格とともに、テレビでも受け入れられるような奇妙奇天烈なキャラクターを生み出す才能も兼ね備えている彼らのライブチケットが売れていないとは、まったくもって由々しき事態である。既に終了している東京公演の評判も上々で、敢えて大袈裟な表現をするならば“今の彼らを見ない理由はない”筈だ。確かに、笑いの聖地と称されることも多い大阪では、対して、都会の匂いが鼻につく東京スタイルのパフォーマンスは受け入れられにくいといわれている。とはいえ、それでも、今のシソンヌを無視する理由が、あっていいわけがない……。

と。ここまで文章を書き殴ったところで、ある疑問にぶち当たった。その疑問とは「そもそもライブ会場の規模はどれほどなのか」というものだ。もう少し明確に言葉を詰めると、「東京公演のライブ会場と大阪公演のライブ会場のキャパシティの差が開き過ぎているのではないか?」と思い至ったのである。とはいえ、ただ東京・大阪の会場のキャパ差だけを確認しても本質的なところが分かりにくいので、これまで『シソンヌライブ』が行われた会場のキャパシティを全てチェックし、それが果たして正当なものであったのかを確認することにした。

以下、『シソンヌライブ』が過去に行われた会場のリストである。

・2013年
シソンヌライブ 01[une] 12月26日~12月29日(全六回公演)
 会場:赤坂RED/THEATER(173席)

・2014年
シソンヌライブ 02[deux] 8月13日~8月17日(全七回公演)
 会場:中野ザ・ポケット(約180席)

・2015年
シソンヌライブ 03[trois] 1月28日~2月1日(全七回公演)
 会場:赤坂RED/THEATER(173席)

シソンヌライブ 04[quatre]東京 5月29日~6月7日(全十四回公演)
 会場:恵比寿エコー劇場(130席)
シソンヌライブ 04[quatre]金沢 6月9日~6月10日(全二回公演)
 会場:石川県教育会館(344席)

シソンヌライブ 01[une]再演 12月23日~12月26日(全五回公演)
 会場:赤坂RED/THEATER(173席)
シソンヌライブ 02[deux]再演  12月28日~12月30日(全五回公演)
 会場:赤坂RED/THEATER(173席)

・2016年
シソンヌライブ 05[cinq]東京 7月14日~7月18日(全七回公演)
 会場:下北沢 本多劇場(386席)
シソンヌライブ 05[cinq]金沢 7月23日~7月24日(全二回公演)
 会場:石川県教育会館(344席)
シソンヌライブ 05[cinq]大阪 7月30日~7月31日(全三回公演)
 会場:大阪テイジンホール(285席)

・2017年
シソンヌライブ 06[six] 4月5日~4月9日(全八回公演)※追加含
 会場:下北沢 本多劇場(386席)

・2018年
シソンヌライブ 07[sept] 8月1日~8月26日(全三十回公演)
 会場:赤坂RED/THEATER(173席)

・2019年
シソンヌライブ 08[huit]東京 6月27日~7月7日(全十四回公演)
 会場:下北沢 本多劇場(386席)
シソンヌライブ 08[huit]大阪 7月13日~7月15日(全五回公演)
 会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(706席)

多い。格段に多い。ホームグラウンドである東京の会場でさえ400席にも満たない会場ばかりなのに、アウェイである大阪で約700席というのはかなり厳しい数なのではないだろうか。一応、公演回数を加味すると、東京公演の方が多くの人数を収容できるようになっているが、同じ舞台を複数回鑑賞する“リピーター”が見込みにくいことを思うと、このキャパシティはかなり厳しいものといわざるを得ない。

と。ここまで書いたところで、新たな疑問にぶち当たった。他の芸人が公演を行っている劇場のキャパシティはどれほどなのだろうか。ちょっと調べてみよう。まず、芸人の単独ライブが行われるとき、よく見かけるイメージがある会場をざっくりと以下にまとめてみた。

新宿シアターモリエール(186席)
新宿シアターサンモール(294席)
北沢タウンホール(294席)
六本木俳優座劇場(300席)
国立演芸場(300席)
新宿明治安田生命ホール(342席)
銀座 博品館劇場(381席)
ルミネtheよしもと(458席)
草月ホール(530席)
東京グローブ座(453席+150席+100席)
恵比寿ザ・ガーデンホール(732席)※変動あり
天王洲 銀河劇場(516席+101席+129席)

こうして見ると、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールが如何に大きい会場なのかがよく分かる。ちなみに、東京グローブ座と銀河劇場は一階席・二階席・三階席と分けられているため、このような表記になっている。ちなみに、今年の二月にエレ片東京グローブ座で、今年の五月にバカリズム草月ホールで、そして現時点では予定の段階だが今年の八月にバナナマン俳優座劇場で単独ライブを敢行することになっている。このことも考慮すると、やっぱりTTホールでの公演は無謀だったのではないか……と、思わざるを得ない。なお、今年の八月には、東京03が恵比寿ザ・ガーデンホールで単独ライブを開催する予定である。全十四公演。それから更に全国ツアーも展開する予定。化け物かよ!

ここまで来たら、大阪の劇場のキャパも気になってきたので、調べてみよう。

道頓堀ZAZA(100~150席)
ザ・フェニックスホール(168席+133席)
よしもと漫才劇場(305席)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(898席)
なんばグランド花月(900席)※補助席含
サンケイホールブリーゼ(912席)

 大坂方面には詳しくないので、行ったことのある・名前の聞いたことのある会場だけを取り上げてみた。おかげで、ちょっと極端に差が開いてしまったけれど、まあ、しょうがない(投げやり)。ちなみに、東京03サンケイホールブリーゼで大阪公演を行う予定らしい。いよいよ化け物じみている。

というわけで、シソンヌにとってCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールという劇場が不相応に大き過ぎるか、よく分かっていただけたのではないかと思う。とはいえ、今更どうこう出来ることではないのも事実。賽は投げられたのである。今週末には公演が開始されるのである。というわけで、もはや私からいえることはただ一つしかない。関西圏に住んでいる人たち皆でシソンヌライブを観に行こう! 絶対面白いから! ていうか、“COOL JAPAN PARK”ってネーミング、なんやねん!!!!!

(最後の最後でずっと引っ掛かっていたことが爆発してしまったことを深くお詫びします)