白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「シソンヌライブ[モノクロ] 2018 in 香川」(2018年10月5日)

シソンヌが香川に来るというので観に行く。

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会場は高松オリーブホール。日本一の総延長を誇るアーケードを有する高松中央商店街の一角を担う南新町商店街にある、三十年以上の歴史を誇る老舗のライブハウスだ。

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チームしゃちほこやぼくのりりっくのぼうよみ鳥肌実人間椅子に至るまで、実に様々なアーティストたちに利用されている。私も以前に、柳家三三の独演会を観るために、この会場を訪れた。良くも悪くも節操のない、有り難い会場である。

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午後六時半、近場の駐車場に車を停め、会場前へ。行列が出来ていたので、何の気なしに追随してみる。が、どうも進行する気配が感じられず、なんとなくスタッフの如き雰囲気を醸し出している人たちの動向をそっと伺ってみたところ、どうやらこれは当日券を買い求めている人たちの列のようだったので、前売り券を既に購入していた私は速やかに離脱し、ホールへと繋がっている階段を駆け上がる。すると、再び行列に出くわしたので、改めて後に並ぶ。今度はじんわりと進行し、無事にホールの入り口へ。

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前売り券をもぎってもらい、ドリンク代の500円を支払う。ミュージシャンのライブでは当たり前のワンドリンク制度が芸人のライブでも適応されると、妙にボラれた気がしてしまう。大した金額ではないのだが。そのまま流れでバーカウンターへと移動し、並み居るメニューのラインナップからリアルゴールドを頂戴する。一気に飲み干し、紙コップをゴミ箱へとかなぐり捨てた(別に怒りの感情はない)。

一旦、トイレで用を足してから、いよいよホールへと足を踏み入れる。上等なパイプイスといった風情の簡易イスがズラリと並べられている。実にライブハウスだ。このライブはオール自由席なので、空いているのなら、どの席に座っても構わない。

だが、それよりも、まずは物販である。物販コーナーは客席の手前、入口の脇にあった。手ぬぐい、ご当地ステッカー、長谷川編集のZINE、過去の「シソンヌライブ」DVDなどが売られている。ご当地ステッカー以外は東京で見た単独ライブと同じラインナップだ。「シソンヌライブ」のDVDは全巻揃えているが、ライブ終演後にDVD購入者を対象とした握手&撮影会があるという情報を聞きつけ、それらの中で最初にリリースされた03を購入。布教に使おう。

買い物を無事に終えたところで、そろそろ座る席を選ぼうかと客席を眺めていたら、既に誰かが座ろうと荷物を置いてキープしてある席と今まさにカップルが座ろうとしている席の間に一人分のスペースが空いているのを発見し、ありとあらゆる隙間を埋めなくては気が済まない気質が故に、そのスペースを陣取る。自分たちが席についた途端、いきなり隣の席にやってきた三十代男性の姿に彼らはきっと驚いたことだろう。すまん。

午後七時開演。

舞台上には長机の上に置かれたラジオだけを配置。それとは無関係に、コントが進行していく。演じられているコントは、おそらく今後のモノクロ公演でも披露されるので、ここでは言及しない。ただ、衣装は最初から最後まで同じままだったこと、それでもキャラクターの強いコントも淀みなく成立させられていたこと、ピンマイクの調子が悪くて雑音が目立っていたためか途中から素の声でコントを演じていたこと、長めのコントが四本ほど演じられたこと、どのコントも最高に面白かったことだけは記録しておく。とりわけオーラスのコントは素晴らしかった。バカバカしさの奥底で見え隠れしているメッセージ性の強さ……。

全てのネタが終わると、フリートークへ。シソンヌが香川県を訪れたのは二回目。一回目は綾川イオンでの営業で、チョコレートプラネットと一緒だった。香川にはじろうの大学の先輩が住んでいて、その人の車で移動していると、たくさんの野良犬たちが群れを成しているところに遭遇して「ここ、まだ野良犬とかいるんだ!」と思ったことが、じろうにとっての香川県のイメージなのだとか。その流れから、長谷川が子どもの頃に野良犬を家に持って帰っても飼うことを許してもらえていなかったので、隣の家の人にあげていた話をしていたのだが、そのうち「なんで香川で野良犬の話してんだよ」と冷静に。

午後八時過ぎ、終演。

いよいよ握手&撮影会である。「参加希望者はしばらく客席で待機していてください」とのスタッフの指示を受け、じっと待ち構える。しかし、簡易イスが次々に片付けられているのを見て、だんだんと不安に。本当に私はここに居てもいいのだろうか……と、さながらエヴァの主人公のようなことを考え始めたところで、「参加希望者はこちらの方でお待ちください」と具体的な待機場所の指示が出たので、そちらへ移動する。ここで参加希望者の人数を確認。十人前後といったところで、とても少ない。DVDを一枚買っただけで、あのシソンヌと握手&撮影が出来るというのに、どうして参加しないのか。

しばらくしてシソンヌの二人が登場。間近で見ると、しみじみデカい。短い行列の後ろの方に並んで、他の参加者の様子を見守る。ふと、あることに気付く。先程まで、舞台上であんなに感情豊かな演技を見せていた二人が、完全に無になっている。顔は笑っているが、心が全く動いていない。ピンマイクを付けずに演技をしたことで、身体が疲労しきっていたのかもしれない。

やがて自分の番が。スタッフにカバンを預け、シソンヌの二人と対面する。なんと声を掛ければいいのか分からず、「ピースでいきましょう」とポーズだけを指示する。それにしてもピースって。ベタ過ぎる。撮影の後は握手だ。じろうと握手、長谷川と握手。とりあえず長谷川にだけは「ラジオ頑張ってください」と伝えておいた。「はい」と言っていた。感情は無かった。疲れているのだ。仕方があるまい。でも、次のモノクロ(があるのかどうかは分からないが)では、心の底からの笑顔を見せてもらいたいな、なんて思っちゃったりなんかしちゃったのであった。三十路の男が思うことではないような気がしないでもないけれど。むむ。

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ちなみに、シソンヌのラジオとは、RKBラジオで月曜(日曜深夜)に放送が開始される『シソンヌの“×××の罠”(仮)』のことである。どんな内容になるのやら。今から楽しみだね。