白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン チャンピオン大会後半戦」(2017年3月25日)

  • イヌコネクション【33】

「自動車学校」。路上教習の時間に遅れてきた生乾木が、教官に謝罪の言葉をかけることなく、ヘラヘラとした態度を取り続ける。感情の起伏が激しい“生乾木”というキョーレツなキャラクターに「平然と嘘をつくが、すぐに嘘であることをバラす」というトリッキーな性格を宿らせることで、絶妙なバランスのキャラクターに昇華させているコント。途中まではかなり面白かったのだが、車に乗り込んだあたりで、なんだか浮ついた空気に。これは憶測に過ぎないが、恐らくこの時、生乾木を演じている杉浦がネタを飛ばしている。だからこそ、戸川のあの強烈な一撃に、あのようなリアルな反応を示したのだろう。それはそれとして、ヤバいキャラクターが自動車教習を受けている姿を見ると、どうもキングオブコメディのことを思い出して仕方がない。よもや意識していたのだろうか。

  • マツモトクラブ【19】

「笑顔」。ラジオの生放送を終えたパーソナリティを出待ちしていたリスナーが、彼のことを許可も得ずにカメラで撮影し始める。設定そのものは面白い。「「チャーハン」と口にするたびに、カメラのシャッターが押される」というナンセンスなボケと、その行動が意味するものの説得力。自撮りの際には「オムライス」と言いながらシャッターを押すくだりもバカバカしくてとても面白かった。ただ、後半の人情ドラマのような展開と、それを裏切る哀愁漂うオチは、彼のコントにしてはあまりにもセオリー通りで、明らかな失速を見せていた。本来、このような安直な手段を取らずに、ちゃんとしたオチを用意できるタイプの芸人という認識だったのだが……実に残念。

  • プラス・マイナス44

「新しいゲーム」。提示されたお題から想定されるイメージを即座に返し合うオリジナルゲーム「イメージでパンパンゲーム」で遊ぶ。理不尽な暴力で始まるという衝撃的なツカミに始まり、兼光のモノマネ芸を挟み込みつつ、オリジナルゲームの枠内でフザケていくスタイルの漫才。『M-1グランプリ2016』の予選で観たネタなので、彼らの自信作なのかもしれないが、やはりリズムを崩していくスタイルがどうも合わない。また、オリジナルゲームそのものに関しても、そこまで興味を引かれない。もとい、むしろ単なる連想ゲームとしてやってくれた方が、もうちょっとネタに入り込めるような気がする。……と、色々と気になるところはあるが、終盤のさかなクンのくだりで笑ってしまった。兼光の演技をしっかりと確認する岩橋の後ろ姿の面白さたるや。

  • ハライチ

「奥さんの料理」。最終回ということで特別に。お馴染みのノリボケ漫才である。奥さんに出されたら困る料理の話をしていた筈が、だんだんと関係無くなっていく。過去に観たことのあるネタだったが、やはり別格に笑えた。「踏みつけた料理」「よく見たらジャージ」「アメリカはキューバ」「俺だけのキューリ」など、想像力をそそられるワードを上手く体現する澤部の表現力をご堪能。それはそれとして、「ここでハライチが漫才をやってもいいのなら、ピースも出るべきだ!」と思うのは私だけだろうか。忙しいから出られないというのは分かるのだが。

 

【今週のふきだまり芸人】

平野ノラ「バブリーな女の決断」

 

次回からは「にちようチャップリン」として日曜午後10時より放送を開始予定。感想を書くかどうかは知らん。