2016年4月30日に新宿明治安田生命ホールで開催された傑作選ライブより、A面(13時開演)の模様を収録。事前に行われたファン投票の結果、上位に選ばれた十本のネタが披露されている。磁石のネタといえば、次々とコントのシチュエーションが転換していく『床屋』、外国人を演じる佐々木のカタコト口調がなんともいえない笑いを生み出す『ホームステイ』、「ブスは待つ!」という佐々木の名言が飛び出す『事故』などの漫才が印象に残っているのだが、これらの中で本作に収録されているのは『ホームステイ』のみ。ファンの方々と自分とでは、まったく見ているところが違うのだなあ……と、少しだけ驚いた。
ライブ本編はランキング形式で構成されており、第10位から第1位まで順番にネタが披露されている。但し、時間の関係か、それとも当人たちのモチベーションの問題なのか、漫才に関しては二本のネタを一つに組み合わせた状態になっている。例えば、第10位の『おとぎ話アトラクション』と第9位の『料理番組』が、それぞれ独立したネタとしてではなく、『おとぎ話アトラクション+料理番組』のように、二本のネタが一本にまとめられているのである。「だからなんだ?」と思われるかもしれないが、それぞれまったく違った傾向のネタを強引に合体しているため、どうしても両者の繋ぎ部分に違和感が残ってしまう。いきなりネタのド真ん中で自己紹介を始めたときは、何が起こったのか一瞬分からなくなってしまった。この違和感が、鑑賞中のノイズとなり、純粋にライブを楽しもうとする気持ちを少なからず阻害した。
とはいえ、ネタそのものに関しては、やはり完成度が高い。常に斜め上の発想で切り込んでくる永沢のボケと、それを的確に受け止めて処理する佐々木のツッコミ、両者の噛み合わせの良さがとにかく光る。タイトルだけを見ても内容は思い出せずにいた上位のネタも、実際に見てみると納得の面白さ。とりわけ、ラジオ番組にゲスト出演している佐々木がとある発言で自爆してしまった直後の狼狽ぶりが笑える『ラジオパーソナリティ』と、延々と続く永沢のボケを泳がすだけ泳がした後で佐々木が一気にツッコミを返していく『感謝の手紙』は、それぞれ見ていてとても懐かしい気持ちにさせられた。リアルタイムで見ているときは、方向性について苦悩していることが伝わってきて不安になったものだが、過去のものとして見ると、本当にただただ懐かしい。これぞ傑作選ライブの醍醐味というものだろう。
ちなみに、幕間映像は過去の単独ライブで流された「幕間VTR傑作選」。こちらに関しては、私も記憶しているものが多く(「佐々木連続ドッキリ」は懐かしかったなー)、それはそれで楽しめた……が、それらは全てソフト化されている過去の単独ライブDVDに収録されているので、個人的な気持ちをいうならば、これまでの16年間の活動を振り返るような新撮映像が欲しかった。或いは、副音声コメンタリーみたいなものがあったりすると、ちょっと嬉しかったかもしれない。
なお、序盤にタイトルを挙げたネタに関しては……B面へ続く。
■本編【89分】
オープニングVTR
「10位:おとぎ話アトラクション」「9位:料理番組」
「酔ってチャレンジ前編」
「8位:CM」「7位:アイドルになりたい」
「酔ってチャレンジ後編」
「6位:超無駄塾」
「詩の全国大会」
「5位:ホームステイ」「4位:メガネライダー」
「佐々木連続ドッキリ」
「3位:永沢遊園地ランドマーク」「2位:ラジオパーソナリティ」
「1位:感謝の手紙」
エンディングトーク