白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2017年1月7日)

  • プラス・マイナス45

 「健康」。一週勝ち抜き。「健康に気をつけて生きていかないといけない」という話題から始まるしゃべくり漫才。兼光のボケに対して岩橋のツッコミが繰り出されるのだが、その内容も間違っているので兼光からツッコミが返される……という、ボケとツッコミの掛け合いが複雑に入り組んだ漫才である。プラス・マイナスの漫才はどちらがボケでどちらがツッコミなのか不明瞭で、それが笑いの妨げになってしまっているように感じたのだが、この手法を取り入れることで、漫才の問題点がクリアになっていたように思う。正直、内容にあんまり頭に入っていないのだが、ただひたすらに面白かった。……というか、前回の挑戦で漫才なのかなんなのかよく分からないネタをやっていたのは、一体なんだったんだろうか。こういうのは二度目の挑戦の時じゃなくて、一度目の挑戦の時にスッと出してもらいたい。

 

 「サンシャインショッピング」。サンシャイン池崎によるテレフォンショッピング番組。振り切れたキャラクターをコントの枠の中に押し込めることで、そこそこの面白さは生み出せるものの、キャラクターが持っていた本来の自由さが失われてしまうという、割とよく見かけるパターンのネタで、笑える・笑えない以前に、なんだかちょっと寂しい気持ちになった。特に、スマホが立つ、リストバンド、ピンク色……という流れは、あまりにもきっちりと段階を踏み過ぎていて、作家の影を感じずにはいられなかった(こちらの単なる勘違いなのかもしれないが)。設定が手堅いんだから、もうちょっと炸裂してもいいと思うのである。

 

【ふきだまりコーナー】

イヌコネクション、鬼ヶ島、カミナリ、スーパーニュウニュウ、TEAM近藤、センサールマン、ハブサービス、ハリウッドザコシショウ、平野ノラ、ペコリーノ、ラフレクラン、ワールドヲーターが登場。「おめでたいギャグ」というテーマの元、カミナリ、スーパーニュウニュウハリウッドザコシショウがギャグを披露した。

 

「武術トーナメント」。二週勝ち抜き。武術トーナメントで対戦している相手のバックには、謎の研究者の存在が……。前回の挑戦と同様、フィクション色の強いコント。ただ、悪役が明らかに自らに適していないキャラを演じている無理矢理感をネタにしていた前回に比べ、今回はただただ「マッドサイエンティストっぽいキャラが実はめちゃくちゃいいヤツ」という非常に単純な構造を採用していた。とはいえ、ネタの内容はしっかりと作り込まれており、最後まで飽きさせない。ツッコミだけを抽出しても、「倫理観が強い!」「悪い話じゃない!環境が整っている!」「とことん法律に触れてこない!」と絶妙なワードが選び抜かれていることが分かる。それでも、ここまでの低得点になってしまったのは……ひょっとしたら、最後の最後に出た台詞のせいかもしれない。恐らく、あの台詞はわざとちょっとスベる感じにするために組み込まれたものだと思うのだが、ああいう作り込んだ台本のゆるみみたいなシーンを、最近の視聴者は許さない印象がある。あくまでも印象だが。

 

  • ゆにばーす【29】

「下着泥棒」。ブラジャーを盗まれたことを誇らしげに語るはら。このコンビの、はらの見た目を逆手に取ったブスいじり的なネタは、これまであまり好きではなかったのだが、今回のネタには不覚にも笑ってしまった。いや、不覚ということはないのだが。「ブラジャーを盗まれる=選ばれた人間」と捉えてしまっているはらの着眼点のズレを描いた漫才なのだが、出てくるワードがいちいち面白い。特に、観客に挙手を求めるくだりの後のはらの一言は、ワード選びも言い方も満点だった。川瀬名人の自意識溢れるボケも笑いに昇華されていたし、オチもリズミカルでバカバカしく、よく出来ていた。これは絶対に合格しただろう……と思っていたら、この結果である。このネタで勝ち越せないというのは厳しい……。

 

【今週のふきだまり芸人】

ラフレクラン「バランスボールで絵描き唄」

カミナリ「注意事項百個言える」

 センサールマン「宇宙人に頭にチップを埋め込まれる男」

 

次回の出場者は、サンシャイン池崎(一週勝ち抜き)、TEAM近藤、プラス・マイナス(二週勝ち抜き)、ペコリーノ。