白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年12月17日)

 「プロポーズ」。二週勝ち抜き。大御所声優の野沢雅子人造人間17号による漫才。これまでの挑戦でも見せてきた野沢雅子のモノマネによる『ドラゴンボール』パロディに、純然たる漫才コンビとしてのアイデンティティが培ってきた技術を掛け合わせたネタである。笑えないわけがない。一つ一つのボケの面白さについては言わずもがなだが(「やべぇ、この距離でかめはめ波を打たれると……」は笑った)、人造人間17号を演じる見浦のヒザで突くツッコミの程度の良さが実に良かった。三週連続勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定!

  • プラス・マイナス42

 「特技」。岩橋と兼光がそれぞれに特技を披露する。コンビ同士の掛け合いではなく、本当にお互いの特技を披露するために漫才のフォーマットを利用した……という印象。そのため、漫才として見ていると、ちょっと物足りなさが残る。ただ、漫才という枠を取っ払った上で見てみると、片方が特技を披露してもう片方が何かしらかのリアクションを取っていて、きちんとコンビでなくては成立しない笑いを作り上げている。ここは、もういっそのこと、漫才ではないまったく独自のパフォーマンスという形式にした方がいいのかもしれない。

 

【ふきだまりコーナー】

サンシャイン池崎、平野ノラ、ハブサービス、むらせ、ザ・パーフェクト、ハナコ、ワールドヲーター、勝又:、ゆにばーす、センサールマン、スーパーニュウニュウが登場。「恋人たちに捧げるギャグ」というテーマの元、ハブサービス(映画「君の名は。」よりティアマト彗星)、平野ノラがギャグを披露した。

 

 「アジト」。一週勝ち抜き。街の平和を乱している悪者たちのアジトに乗り込んできた青年が、彼らにある疑問を投げかける。コント中に「やりたいキャラとやれるキャラは必ずしも一致しないんだね」と言われているように、目指しているキャラクターと現実のズレを笑いに昇華したコント。この導入は最高に面白かったのだが、その後、これといった展開が生まれていないため(ズレをただ掘り下げる作業に入っている)、徐々に盛り下がってしまっている。実に勿体無い。青年が悪者たちにズレを指摘し、それに戸惑いを見せ、それから……が見たかった。哀愁を漂わせながらも捻りを加えたオチは良い。

  • Aマッソ【24】

「合コン」。合コンに遅れてやってきた女が、トロフィーやメダルを大量に抱えていて……。「合コンにやってきた女がとにかく一位になることに執念を燃やしている」という設定だけで乗り切っているコント。その珍奇な設定から生み出されるワードの数々はとても魅力的だったのだが(不意な「あんたの勝利に乾杯したんちゃうで?」は笑った)、展開があまりにも少なすぎて、鑑賞後の満足感が足りない。思うに、一つの場面に面白ワードを詰め込み過ぎて、全体のバランスが悪くなってしまっている。カラオケの後、更にもう一展開あれば、また違った印象を残したのではないだろうか。

 

【今週のふきだまり芸人】

インポッシブル「ショートコント「海水浴」」

ワールドヲーター「人間を宙に浮かべる」

ハナコ「ショートコント「ケンカ」」

 

次回の出場者は、サンシャイン池崎、トンツカタン(二週勝ち抜き)、プラス・マイナス(一週勝ち抜き)、ゆにばーす。