白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年11月12日)

「男女交際解説」。二週勝ち抜き。将棋盤を用いた「男女交際解説」、今回は恋人との結婚の挨拶に彼女の父親の元を訪れる。基本的な流れは前回・前々回と同じ。相手が恋人から恋人の父親に替わっているが、やっていることはこれまでと殆ど同じ。むしろ、前回に見られた改良点が無くなってしまっているので、劣化したといえるのかもしれない。ただ、終盤に感動的なシーンを盛り込むことで、観客の気持ちを捉えることには成功していた。観客審査の特性を意識した見事な構成といえるのかもしれないが、個人的にはまったくもってつまらない。もっと色んなことが出来るコンビだとアピールする機会を逃してまで勝ちたかったのか。……まあ、別にいいけど。三週連続勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定。

 

  • アイロンヘッド33

「旗あげ」。アコースティックギターの弾き語りで旗あげゲーム。バラードの歌詞の中に旗あげの要素が盛り込まれており、その指示に従いながら旗を上下する。これだけだとイマイチ面白味に欠けるが、ここに、旗あげとは無関係に思われるバラードにありがちな歌詞をも指示として捉える展開が加わることで、笑いへと昇華されている(例えば「瞳を閉じてみる」という歌詞に対して、とりあえず目を閉じてみて「これで合ってる?」と疑問を呈する)。それでも、ありがちといえばありがちな設定なのだが、卓越した構成と辻井の妙に高い歌唱力のおかげで、飽きることなく楽しめた。見所は、二度目のサビが来るところ。サビの特性を活かした、見事な流れだった。

 

【ふきだまりコーナー】

イヌコネクション、勝又:、助走、むらせ、トンツカタン、のばしぼん、ハナコ、はなしょー、ハブサービス、平野ノラ、マツモトクラブが登場。「平野ノラが使えそうなギャグ」というテーマの元、マツモトクラブ、澤部佑がギャグを披露した。……今までで一番ヒドい時間だったなあ(笑)

 

贈る言葉」。一週勝ち抜き。卒業式を終え、教室での最後のホームルームで、担任が最後の出席を取りながら生徒の一人一人に言葉を贈る……のだが、そのバリエーションが異常に少ない。前回と同様、ジグザグジギーが得意とするワンパターンスタイルのコント。ただ、前回のコントは「携帯電話の通話相手に声が届かないので大声を出し続ける」という行動の繰り返しになっていたのに対し、今回のコントは「卒業生に贈る言葉に2パターンしかないオチを使い回し続ける」というオチの繰り返しなので、より内容が先鋭的になっているといえるのかもしれない。ただ、そこからの崩し方は、なかなかにオーソドックス。ある意味、とても分かりやすいネタだった。それでも点数が低かったのは、オチがちょっと投げやりだったからだろうか。

 

  • インポッシブル31

「シンデレラ」。義理の姉たちがパーティに出かけている間、家で掃除をやらされているシンデレラ。そこへ魔法使いが現れて、魔法の力でパーティに行けるように話を持ち掛けるのだが、当のシンデレラが欲していたのは、義理の姉たちに復讐するための絶対的なパワーだった。お姫さまが主人公の童話の中でも代表格にある『シンデレラ』のワンシーンに、何故か某ドラゴンボールのバトルシーン的な要素を混ぜ込んだコント。両者の世界観のギャップが笑いを生み出していて、実際にとても面白かったのだが、ラストシーンが妙に切なくて、ちょっとだけ悲しい気持ちになってしまった。そりゃ、シンデレラが力を欲して、魔法使いからステッキを奪い、調子に乗ってしまったのはいけないことなのだろうが、そもそもの発端は義理の家族たちからの不当な扱いであって、そこが報われないまま殺されるというのはあんまり気持ちのいいものでは……って、そこまでしっかり噛み締めるような質のコントでもないのだが。でも、やっぱりちょっと、切ないよなあ。

 

【今週のふきだまり芸人】

平野ノラ「バブリーな芸能人の宣材写真モノマネ」

助走「三年目の八曲署」

はなしょー「お色気ショートコント「ナンパ」」

 

次回の出場者は、アイロンヘッド(一週勝ち抜き)、インポッシブル(一週勝ち抜き)、ジグザグジギー(二週勝ち抜き)、はなしょー。