白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「M-1グランプリ2016」準々決勝敗退者・感想文(2016年11月6日・東京)

準々決勝を見てきた人向けに。大阪予選はこちら

  • アントワネット(ワタナベ)

「レンタル山口」。観客に向かって自らのレンタルを始めると告知するナルシストな山口と、その言動を微笑みながら捌いていく小澤。山口の痛々しい発言を小澤の的を射た相槌で笑いに変えていくスタイルには既視感を覚えるが、とはいえ安定して面白い。「……などと供述しております!」には笑った。

「気になるあの娘」。電車で毎回顔を合わせる女性のことが気になっているという長峰の話が、どう聞いてもストーカーの行動。長峰が女性と偶然知り合えるようになるためにやっていること(これもストーカーじみている)が極端すぎて、笑いに昇華されている。天然パーマでシャクレな長尾のツッコミも味がある。元「土佐駒」。

  • すっきりソング(SMA)

「ファーストフード」。クレイジーな店員を務めているファーストフードに植田が客として訪れる漫才コント。正直、最初のやりとりは要らなかったと思うし、ネタの中にも粗く感じるところが幾つか見られたけれど、それを踏まえてもメチャクチャ面白かった。ローテンションでひねた本田のボケと、アンタッチャブル柴田リスペクトな植田のツッコミが絡み合った、正統派の漫才コント。より洗練されていけば、どんどん面白くなりそうだ。お笑いトリオ「詩人歌人と植田マコト」から歌人枡野浩一が脱退し、残されたメンバーで結成。

  • ななまがり(よしもと)

「上野絶望園」。今度、上野動物園に行こうと思っている初瀬に、森下が上野絶望園を案内する。ネタの内容そのものは「絶望あるある」なのだが(どうでもいいけど「絶望あるある」って響きが凄いな)、そんな絶望する人たちを鑑賞する“上野絶望園”という設定が不条理な味わいを残す。絶望する人を演じる森下の表現力、異常に野太い初瀬の存在感が強いツッコミも好き。ただ、これは完全にコントじゃないか?

「恋愛」。結婚している河本が井口にも結婚を薦めようとするのだが、まったく聞く耳を持たない。あまりにも女性にフラれ続け、すっかり卑屈になっている井口のボヤキが素晴らしい。何が素晴らしいって、言い過ぎているのではないか……?と感じさせられたところで「言い過ぎじゃないんだよ、意外と! 意外だろ!」と完全にこちらの意識を先読みした発言で説得させられてしまうところ。絶妙だ。個人的には、ここは決勝進出もない話ではないと思っていたので、準々決勝での敗退は本当に意外。なんとか復活枠にハマってほしい。

「十回クイズ」。チンピラの兄貴分とノブオの漫才。アウトローな人たちによる漫才は過去にも目にしたことがあるが、これほどまでに世界観を仕上げているコンビは初めて見た気がする。兄貴のボケをまったく理解しないノブオがそのたびに頭を下げるというネタの流れも内容もきっちり面白かったが、なによりキャラクター同士の関係性に興味を持たせてくれる漫才だった。これはシリーズ化できるな……。ノブオを演じているナオは元「だいなお」。

  • パニーニ(太田)

「SASUKEの実況アナウンサー」。挑戦者が失敗した時のSASUKEの実況アナウンスを再現してみせる。失敗した瞬間を様々な角度から見せる演出が実にたまらない。飯沼のアナウンスも似ているが、挑戦者の動きを再現する木坂の身体能力の高さも素晴らしい。ただ、漫才じゃなくて、完全にものまね。

  • ムニムニヤエバ(よしもと)

「来世の設定」。生まれ変わったら女になりたい次郎が、あの世で「性別」「身長」などの来世の設定を決められる。設定の独創性という意味では、ここが敗退組では一番だったかもしれない。シチュエーションそのものもさることながら、決められる設定のエグさがたまらない。あの世で亡者たちが行列を作っているように見せる演出も好き。

「全員の名前が都道府県のクラスのホームルーム」。文化祭でやるクラスのお店で何を出すか決める。それぞれの県の特色を擬人化するという、近年では割と流行りの手法を使ったコント。大阪と兵庫、福岡と長崎、島根と鳥取と、各都道府県同士の絡みも楽しい。少し毒を利かせたオチもいい。……ただ、やっぱりこれ、ごりっごりのコントだよなあ。元「ポラロイドマガジン」。

  • Aマッソ(ワタナベ)

準決勝進出。

  • まめのき(SMA)

「ファッションモデルになりたい」。ファッションモデルになりたいという豆山の話に、本当はムリだと分かっているのに付き合ってあげる木村。二人のまったりとしたやりとりだけでも十分に面白いのだが、たびたび木村が豆山に耳をふさがせて本当に思っていることを観客に伝えるというくだりを入れることで、ネタに良いアクセントが加わり、より面白い漫才に仕上がっている(豆山が耳をふさがせた理由を訊ね、まったく嘘の説明をされて、「◦◦な俺に気を遣ったんやな」と更にボケを挟み込んでいる巧妙さもいい!)。いい味わいのコンビだ。豆山は元「キラッキラーズ」のメンバー、木村は元「ぼーなすとらっく」。

  • ダイタク(よしもと)

「ボウリングの上手い親父」。一卵性双生児の兄弟コンビ。芸人仲間と行ったボウリングのスコアが偶然にも一緒だったという双子ならではのエピソードが、拓の話すボウリング好きな父親のエピソードで打ち消されていく。ここはあんまり期待していなかったのだが、意外と面白かった。父親のエピソードの絶妙な角度からの切り込み方もさることながら、エピソードの捌き方が上手い。ただ、こういう家族をテーマにした漫才って、何処までがノンフィクションで何処までがフィクションなのか、どうしても気になってしまうところではある。

  • ゆにばーす(よしもと)

準決勝進出。

  • 晴天サンティ(アマチュア)

「十回クイズ」。アマチュアで唯一の準々決勝進出組。吉岡が出す十回クイズの陰鬱なワードに戸惑う飯森だったが、しかしちゃんと十回クイズになっている。このコンビは三回戦の「なぞなぞ」も素晴らしかった。遊びに陰鬱さを盛り込んでいるのに、遊びそのものがきちんと成立してしまっているバカバカしさ。あえてスカしたり、前置きを加えたり、見せ方にも工夫を凝らしていたのも良かった。逆に十回クイズをやらされるときの吉岡が物凄い早口で十回言うのも地味に好き。

  • アイロンヘッド(よしもと)

 「疲れているときの先輩の誘い」。夜勤明けに先輩からゲームセンターに誘われ、頑張っている風を装いながらも疲れが行動に出てしまっている後輩。疲れているときにやりがちな行動だけで乗り切っているようなネタで、ストイックではあるのだけれど、物足りなさもある。思うに、疲れあるあるのバリエーションが、ちょっと少なかったのだろう。テーマそのものは好き。

 「逆ね」。ラストイヤー。高倉が久保から「逆ね!」のツッコミを引き出せるようなボケを連発する。高倉が出す奇妙なワードの正体を、久保が「逆ね!」と言いながら正解を提示するシステムの漫才で、ちょっと形式に収まり過ぎているように感じた。昨年大会でタイムマシーン3号が「言葉を太らせる」漫才をやっていたが、途中で痩せるワードを盛り込んできて対抗したような、二人のやりとりに重きを置いた構成にしていれば、また結果が違っていたのでは。ワード転換そのものはシンプルに面白かった。「あげます」「現実見ているババアです」「ジジイ憎たらしい起きてきた」は笑ったなあ。

  • インディアンス(よしもと)

準決勝進出。

  • 三四郎(マセキ)

準決勝進出。

  • ハライチ(ワタナベ)

準決勝進出。

準決勝進出。

 「老後が心配」。日本語しか喋れない黒人のおじいちゃんになることに不安を覚えているアントニー。以前からやっていた「見た目は黒人なのに中身は日本人であることのギャップ」を取り入れた漫才に、「そんなアントニーがおじいちゃんになったらどうなるか」という要素を混ぜ込むことで、ギャップの面白さをより煮詰めることに成功していた。しれっと高樹沙耶をネタに取り入れるイヤらしさも身に付けて(藤井健太郎の悪影響か?)、今後の展開が期待できるようになってきた。あと「おはぎがおはぎ食べてるとかイジられるだろ!」って、けっこうスレスレの表現だと思う。わくわくするね。

  • バッドナイス(ワタナベ)

 「内田が好きな人」。内田が好きな人がどういう人物なのかを、常田が勝手に決めつけて話を進めようとする。ネタの構成はそれほど独創的ではないのだけれど、常田のワードセンス、喋りのイントネーションが、強烈な後味として残り続ける。というか、恐らくどんなにオーソドックスな構成の漫才を演ったとしても、常田のこのトーンは変わらないままだろう。それが凄い。恐ろしい。流石は「向上委員会」モニター横芸人の代表格。圧倒的な存在感だ。

 「ランキング番組」。ランキング番組が好きだという岡本に、吉田がランキング番組の形式で「野性のパンダの数が多い国ランキング」を発表するのだが……。ジグザグジギーのコントを彷彿とさせるアプローチのネタ。不毛なランキングの発表に豆知識を加えていき、更に不毛なデータが含まれるようになっていく展開がたまらない。そんな延々と垂れ流されるボケに対する、岡本のファニーなツッコミもいい。「ないでーす!」の言い方がとても可愛い。

準決勝進出。

 「鶴の恩返し」。妹尾がちっちゃい頃に読み聞かせてもらっていた「鶴の恩返し」を二人でやる。我が道を突き進むトリッキーなボケを展開するハードパンチャー妹尾と、それをフォローし続けるピンボケ太郎というそれぞれの役割がイキイキと。「おもてなし!」「ボケは一個ずつにしてほしいですねえ!」には笑った。ただ、『世界に一つだけの花』のくだりは、逆に違和感が。そういう、ちょっと上手いこと言いました感のあるボケは無視して、ひたすらトリッキーであってほしかった。

準決勝進出。

 「しりとり」。西園寺家の一人娘・西園寺綾雨(ほりゆうこ)が、お付きの宍倉としりとりで遊ぶ。宍倉の出すワードの意味が分からない綾雨への解説が、ボケになっている並列的な漫才なのだが、こちらもペンギンズと同様に世界観が出来上がっていて、そちらの方に魅力を感じる。日傘をセンターマイクにかけるところなんて、素晴らしいとしか言いようがない。このネタではボケ担当じゃないのに、綾雨が出すワードにいちいち「ウチの土地だっ」と挟み込むところもいい補強。あんまり気に入ったので、三回戦の動画もチェックしたら、まったくネタのテイストが違っていて驚いた(綾雨が宍倉のサプライズパーティの相談を宍倉自身に持ち掛ける)。この世界観、掘り下げればもっと面白くなりそうだ。

 「楽器」。三十九歳になって趣味を持ちたいという加藤は、楽器を始めようと考えている……という話に森枝が鬱陶しい相槌を打つ。いつものエレファントジョンかな……と思わせておいて、終盤で森枝がやや暴走。「アンコール」にかけたボケを引っ張り続ける展開を仕掛けてきた。個人的にはあんまりハマらなかったけれど、こういう挑戦はいい。でも、一番ビックリしたのは、森枝の締めのギャグが「ナマステ~!」じゃなかったこと。他のバリエーションもあるのか……!

  • ランジャタイ(オフィス北野)

 「カラオケ」。カラオケで「二度と俺たちに近づくな!」と友達に言われたという国崎が何をやらかしたのかを訊ねる。国崎のイノセントなキャラクターがたまらない。友達にイカスミをぶっかけたり、手裏剣を投げつけたり、町中でバットを振り回しているヤバいヤツを思わせるカオスな世界。こんな剥き出しのセンス、笑わないわけにはいかない。でも、その語り口に、ほのかに太田光の存在を感じる。実は知的なのかもしれない。

準決勝進出。

 「サメ」。海で泳いでいるときにサメに襲われたときの対応をやりたいという流れでコントを始めようとするコマタツに対し、サメを演じさせられようとしているかーしゃがサメについての細かい話を延々と。ここは割とストレートにいつもの芸風で挑戦していた。だからこそ、だからこそ、逆にここで落とされてしまったのかもしれない寂しさ。

  • ダンシングヒーロー(SMA)

 「友達の暴力事件を止める」。暴力事件を起こそうとしているボクサーの友達を止めて、説得する。宮田の言葉に対していちいち間違ったリアクションやツッコミを入れていく河中の姿に、オードリーの“ズレ漫才”を想起した。でも、そういう印象を残さないのは、ツッコミの質がまったく違っているからなのだろう。

  • すゑひろがりず(よしもと)

 「合コン」。合コンに行ってきたという南條の話を受け、始まる合コンのコントを能・狂言テイストでお送りする。ここも面白かった。会話でのやりとりは普段通りに話しているのに、いざコントが始まると、急に時代がかった喋りになる下らなさ。一気コールのくだりとか、たまらんね。でも、ちゃんとそれらしい喋りがリアルで説得力があるから、しっかりと笑いに昇華されるのだろう。王様ゲームならぬ関白ゲームでクジに外れたときの「ややっ、外したか……」の言い方の素晴らしさ。今後の活躍にも期待したい。元「みなみのしま」。三島は元「バルチック艦隊」。

準決勝進出。

 「女子って…」。女子のことをもっと勉強するために「女子ってこういうとこあるよね」をお互いに言い合おうと提案する金成に対して、何故か「山芋」に固執してしまう菊池。システムも内容もありがちだったので特に集中して見ていなかったのだが(酷いな)、あるシーンで不意に飛び出してきた山芋に大笑いしてしまった。山芋がじわじわと効いていたようだ。金成のちょっと軽めのツッコミも丁度いい。

準決勝進出。

準決勝進出。

「海外のお客さん」。海外からお寺にやってきたお客さんに本物の坊主である石田がきちんと対応できるのかを試すために、仏教用語を英訳するクイズを出題する。今回、東京準々決勝を見ていて、どうして落ちたのかがまったく理解できなかったコンビである。面白い。とにかく面白い。石田の坊主らしからぬ軽妙な語り口だけでも面白いのに、仏教用語を軽々しく英語に訳していくボケがテッテー的に面白い。『アルマゲドン』のくだりのバカバカしさたるや! 審査員の中に、石田と同じく仏の身に仕える人間がいたとしか思えない。

準決勝進出。

 「桃太郎」。ボケより先にツッコミをやりたいという野村が、柴田が話す「桃太郎」の合間にツッコミを挟み込み、そのツッコミと噛み合うボケをやらせる。ジャイアントジャイアンと同様、ここもいつものスタイルで勝負。いや、「桃太郎」縛りにしているという意味では攻めているのか?(「こそこそチャップリン」で見たような気もするが) このスタイル、確かに面白いんだけど、それは漫才の面白さというよりなぞかけの面白さに近いと思う(疑問→回答の構成面から)ので、もう少し漫才に寄せるようにした方がいいのではないかという気がしないでもない。

「タトゥー」。顔面に蝶のタトゥーを入れようとしている南川、その真意とは。ここはネタバレが致命傷になりかねないので、あんまり内容には触れないように書くが、売れない芸人の感情を表現するスタイルの漫才もここまで極まったのかと感心した。正直、鑑賞する前は、このコンビのことをむしろナメていたのだが(ひどいね)、このネタをきっかけに認識を改めることにした。このコンビは面白い。

  • 囲碁将棋(よしもと)

 「同じ女の子に何度も告白した思い出」。文田が高校生の時に何度も告白した女の子の話を始めるのだが、その内容がだんだんとあるモノを想起させ始める。ここも細かいことを書くと致命傷になるので詳しくは書かないが、この設定にそれを絡めるのか!と感心させられた。とにかく見せ方が上手い。最初は話にまったく違和感を覚えなかったのに、だんだんと「ん?」と思わせられ始める。絶妙なところを突いていた。

  • プリンセス金魚(ワタナベ)

 「幸せな家庭」。幸せな家庭に憧れているというたかみちが、幸せな家庭ならではのシチュエーションを二人で再現する。ネタそのものは正統派ともいうべきスタイルの漫才。ただ、その漫才に余計な要素を盛り込み過ぎている。具体的にいえば、途中で「すんまへんな」のくだりを長めに引っ張る必要性を感じない。終盤のセミドキュメンタリーもどきな展開もよく分からない。でも、こういった余計な要素が、むしろプリンセス金魚というコンビを印象付けるためには必要なのかもしれない。……とはいえ、やっぱり「すんまへんな」の処理に時間かけ過ぎていた気がするんだよな。

 「足が速くなる方法」。ラストイヤー。九歳の姪っ子に「足が速くなる方法」を教えてほしいと頼まれたという那須に、中西が兄が速くなるフォームを伝授しようとするのだが……。面白い。めちゃくちゃ面白い。中西の走るフォームが別の形態模写になっているという漫才。ただ、しゃべくり漫才の応酬を期待していた身としては、何か漫才とは違った別のパフォーマンスを見せられているように感じられた。ただ、めちゃくちゃ面白かった。中西の動きも面白かったし、それに添えるユニゾンの台詞も素晴らしかった。漫才の大会ではない、何か別の大会でなら優勝していたかもしれない。

  • 男性ブランコ(よしもと)

 「子供のころにやっていた遊び」。子どもの頃にやっていたメチャクチャ楽しい遊び「アルプス一万尺」「糸巻き巻き」「むすんでひらいて」を、大人になった今やってみる。設定そのものはオーソドックスだし、実際に序盤は手堅い漫才の流れになっていたのだが、だんだんと少し違った展開に。いや、違った展開というか、むしろこちらの展開の方がストレートな気がしないでもない。なんだろう。なんだか不思議だ。

  • テゴネハンバーグ(よしもと)

 「弱小野球部に現れた名監督」。弱小野球部にやってきた監督をやりたいという松村、早速そういう設定のコントを始めるのだが、「明日」という言葉の言い方がどう聞いても某ルーキーズの主題歌。やっていることの面白さは分かるんだけれど、なんとなく笑いに直結していないという勿体無さ。何がいけないのだろう。台詞に実在する曲を当てはめているだけのように感じられるからだろうか。一応、構成は練られていたし、実際に笑えるところは笑えたのだが。

  • ニューヨーク(よしもと)

準決勝進出。

 「別れ話」。絶対に離婚だけはしたくないというアイパー滝沢の話から、夫婦が別れ話を切り出すコントへ。アウトロー風のアイパー滝沢が純然たる漫才コンビのボケになっていることに衝撃。ペンギンズの先駆けみたいなことをやっていた筈なのに! コンプライアンスの波に飲み込まれてしまったのだろうか。実に惜しい。

 「テレビドラマのやりたいシーン」。ラストイヤー。大統領を守るSPをやりたいという白井と医療ドラマで急患を受け容れる医者をやりたいという菊地、それぞれがそれぞれのやりたいシーンを譲ろうとしない。SPをやりたい白井が医者コントをとっとと終わらせ、医者をやりたい菊地がSPコントをとっとと終わらせる。一歩も譲らぬ激しいやりとりに往年の笑い飯を彷彿と。……それが敗退の原因なのだろうか。

カポエイラ」。坂巻がこっそりダンスを始めたらしいと聞いたガン太、そんなことをやっている場合かと説教を始めるのだが、当の坂巻はダンスなんかやっていないと否定する。ダンスと格闘技の間のものであるカポエイラのビミョーな立ち位置をこれでもかとイジり倒したネタ。そんなビミョーな立ち位置のカポエイラを、どうして坂巻が始めたのかもいまいちピンとこないバカバカしさ。ただ、個人的には、精彩を欠いた坂巻のカポエイラの動きが一番笑えた。なんだ、あの歪な動きは。

  • 錦鯉(SMA)

準決勝進出。

「太郎さまサービスセンター」。サービスセンターの音声ガイダンスをやりたいという安達、ボン溝黒に「犬に逃げられてしまったのでサービスセンターに電話を入れる桃太郎」をやらせる。ファニーかつコミカルなボン溝黒が音声ガイダンスに踊らされている……という設定だけでも面白いのに、そこへ更に「桃太郎」「金太郎」「浦島太郎」と名前に「太郎」がついている人たち専用のサービスセンターに電話するという設定が乗っかって、どんどん混沌へと飲み込まれていく様がたまらない。また、サービスセンターでの想定される案内の内容が、いちいち下らない。センスとバカバカしさのバランスの絶妙さこそカナリアの真骨頂よ。これで落とされるのか……。

準決勝進出。

準決勝進出。

 

感想文・大阪篇も更新する予定ですが、東京篇に時間を使い過ぎたので、かなりあっさりとした内容になるかもしれないことを先にお詫びしておきます。