白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「キングオブコント2016」各コント感想文

《ファーストステージ》

  • しずる【443点/6位】

「張り込み」。張り込んでいた廃ビルに容疑者がいないことが発覚するも、そのまま突入してしまう二人の刑事。刑事ドラマで目にしがちなシチュエーションを「誰もいない廃ビル」に置き換えることで、笑いを生み出している。その他、特に新しい要素が盛り込まれているわけでもないのに(村上が足を挫く場面くらいだろうか)飽きずに笑ってしまえるのは、丁寧な世界観の描写と「誰もいない!」という台詞を発する池田の演技力によるところが大きい。その意味では、かつて彼らがキングオブコントの決勝戦で演じていた、『能力者』と『びっくり先生』を掛け合わせたネタといえるのかもしれない。特に不満はないが、しいて挙げるとするなら、終盤の二人が笑い合う場面で、ひと笑い欲しかった気もする。ただ、バカな二人がバカみたいに笑うシーンは画になるし、そういう姿を見せるところがしずるの良さでもある。あと、コントとは関係無いのだが、フリートークでもしっかりとキャラを作り込んできた池田はもっと売れるべき。(追記:池田の「誰もいない!」がツッコミという認識で見ると、また少し印象が変わる)

 

「野球拳」。野球拳のリズムに合わせて、ある野球少年の日々を描写する。「ラジオ体操」のメロディで人間の挫折を描いたバカリズム(コンビ時代)の『ラジオ挫折』、「だるまさんがころんだ」のメロディで人間が堕落していく過程を描いたしずるの『田沼さんがころんだ』などのように、耳馴染みのあるメロディに載せて特定の状況を描写するスタイルのコント。ただ、先に挙げた二作は、そこにブラックの要素を加えることでギャップを広げ、より大きな笑いを生み出すことに努めていたのに対し、野球拳のメロディで野球少年の報われない日々を描いているこのコントは、内容が些かストレート過ぎた。……ただ、彼らが見せたかったのは、塚本演じる野球少年ではなく、溜口が熱唱する姿だったような気もする。実際、全身全霊を込めて『野球拳』を熱唱する溜口の姿はあまりにもコミカルで、ついつい何度も観たくなる中毒性がある。楽曲も、バラード風になったり、転調したり、とても工夫を凝らしている。内容は薄かったかもしれないが、表現力の満ち溢れたコントだった。個人的には、「あのブラックコントを作っていたラブレターズが!」と、妙に感動したりもして。

 

「念」。遠距離恋愛の相手が部屋に自らの念を送り込んでくる。独創的な設定は流石。彼氏の念を演じている岩崎も、その様子に戸惑う彼女を演じている槙尾も、その特異な世界観を見事に表現していた。念に自我が芽生え始めるという不気味な展開も、かもめんたるならではの味わいだ。ただ、過去の決勝戦で彼らが演じていた『コンタクトレンズ』『路上詩人』『白い靴下』の後のネタだと思うと、あまりにも物足りない。かもめんたるのコントにおいてボキャブラリー溢れるキャラクターを演じがちな岩崎が、まったく喋ることの出来ない役だったことが要因であるように思う。恐らくは、意図的に封印したのだろうが、あまり成功したとはいえなかったな。それと、念に自我が芽生えたくだりから彼女に別れを告げるくだりまでが短くて、どういう状態になっているのかが少し理解できなかった。自我が芽生えているのなら、彼女に別れを告げているのは念によって生み出された彼氏なわけで、でもそれは電話の向こうの彼氏の考えも同様で……あの時、何が起きていたのか? どうもコントの剪定に失敗している気がしてならない。

 

「監禁」。理由も分からないままに一週間も監禁されている男が、延々と“首が落ちるマジック”を見せつけられる。「首が落ちるマジックを使って、監禁した男をちょっとだけ不快にさせてください」というお題の大喜利を、丁寧に組み立てているコント。音を付けたり、ちょっと動きを変えたり、逆に動かなくなったり。構成としては、正直ちょっとありがちだ。それでも、妙に目が離せないのは、基本の動作である濱家の“首が落ちるマジック”が絶妙にコミカルだからだろうか。あの仮面、衣装、首が落ちるときにちょっとがに股になる動きまで、やたらと面白い。このビジュアルの面白さが、大喜利の面白さとともにしっかりと利いてくる。そこに、山内の端的だか適切なツッコミが加わることで、更に笑いが引き上げられる。「なんでこっちが見にいかなあかんねん!」「なに見てんねん!」「Tシャツで出来るお手軽ななんやこれは!」には笑った。大喜利的に固められた地盤としっかりと演出されたビジュアルが掛け合わさったことで生まれた面白さ、素晴らしかった。ところで、山内は監禁されているだけなのに、どうして服がビリビリに破けているのだろうか。大したことではないが、ふと気になった。ここもコメントが面白かったなあ。関西ではかなりの人気らしいけど、全国区でも売れてほしい。

 

  • ななまがり【430点/9位】

「ナス持ち上げるときだけ左利きだよ」。出勤途中に「ナス持ち上げるときだけ左利きだよ!」と言い続ける変人に遭遇した男が、仕事中も「ナス持ち上げるときだけ左利きだよ!」というフレーズが頭から離れなくなってしまう。「ナス持ち上げるときだけ左利きだよ!」のフレーズ一本で勝負しているとんでもないコント。一応、初瀬の頭の中がこんがらがってしまう様子も笑いどころではあるのだが、あくまで基軸となっているのは「ナス持ち上げるときだけ左利きだよ!」のフレーズであるため、コレがハマらないとどうにもならない(だからこそ、このワードを何度も何度も丁寧に繰り返していた)。そのハンデ(?)を見事に乗り切っていたのだから、凄いとしか言いようがない。ただ、如何せん手数が少なく、こちらが満足感を覚える前にネタが終わってしまったように感じられた。「ナス磨き続けて……」以降に、もう二回くらい展開があれば、もうちょっと点数が伸びていたかもしれない。

 

「トイレ」。斉藤が洋式トイレで用を足していると、同じ会社の同僚たちが次々に中へと入ってきて……。「ケンカをしているように見せかけた同僚たちによるサプライズパーティ」というシチュエーションを「使用中のトイレの中」に置き換えることで笑いを生み出しているコント。つまり、ネタの構造だけを見ると、先程のしずると同じ。ただ、ジャンポケの場合、二人によって迷惑を被る斉藤というツッコミが存在しているため、笑いどころがとても分かりやすくなっている。斉藤と太田がうっかり握手してしまったり、太田が怒りに任せてウォシュレットのボタンを押してしまったり、狭い室内で自撮り棒で記念写真を撮ろうとしたり、シチュエーション以外の部分での笑いのポイントも非常に多い。オチもシンプルかつほのぼのとしていて、嫌味がない。加えて、設定にサプライズパーティを取り入れることで、全体に明確な流れを生み出している点も無視できない。なんという分かりやすさ。なんという隙の無さ。お見事としか言いようがないが、それでもほんのりと物足りなさを覚えてしまうのは、台本に彼らの個性が感じられないためだろうか。演技力は十二分なのだが……。(追記:しいていえば「うんちあるんだよ!」が個性の部分だったかもしれない。別に言わなくても成立するもんね)

 

  • だーりんず【431点/8位】

 「結婚前夜」。翌日に結婚を控えている息子に「本当は実の息子ではない」という衝撃の事実を伝える父親だったが、何故か息子が気にしているのは別のことで……。初見時は“童貞”という21時台にはあんまり相応しくないワードが強烈過ぎて、コントの内容が頭に入ってこなかった。放送禁止用語というわけではないし、日常でもそこそこ使われている言葉ではあるのだが、公共の電波で流れると少し身構えてしまう。とはいえ、それだけならば、まだ問題はなかった。しかし、そこに“肉親”と“風俗”の要素が加えられ、“童貞”という言葉に生々しさが生じてしまった。ゴールデンタイムでこの展開はなかなかに厳しい。ただ、あくまでコントとして見た場合、決して悪い出来ではないのである。丁寧に緊張感を高めていったところで「童貞なの?」と尋ねるバカバカしさから始まる、デリケートな部分にズカズカと踏み込んでいく小田演じる息子と、少しずつ童貞として心を開き始める松本演じる父親の絶妙な掛け合いがたまらない。台詞回しも絶妙で、「俺の中の思い出の父さん、全部童貞かァ!」「初体験のないまま初孫や!」「探すよ! 夜中じゅうやってるお店探す! あの時の父さんみたいにさ!」など、実にフザケている。子どもの頃の大事な思い出を父親の童貞卒業に絡めるデリカシーのなさがたまらない。この猥雑なテーマでここまで笑いを起こせるのだから、他のコントもきっと面白いのだろう。今回の決勝進出が、売れるきっかけになるといい。

 

「小銭ジャラジャラ」。不良に目をつけられた学生が金をせびられ、身体中から有り得ない枚数の小銭を撒き散らし始める。「思わぬところから小銭を出して、カツアゲする不良を困らせてください」というお題の大喜利コント。その意味では、先のかまいたちのネタによく似ている。ただ、首が落ちるマジックの演出を工夫することで笑いを生み出していたかまいたちに対し、タイムマシーン3号は小銭が止め処無く溢れ出てくる状況の異常性を笑いに転化している。関が身体をかくたびに小銭が溢れ出てくる様に観客が引いていたのも、それが「単なる小銭を大量に持っているヘンなヤツ」ではなく「小銭を操るモンスター」と気付かせるきっかけとなっていたからだろう(その前に小銭食ってたけど)。正直、展開としてはありがちなのだが、実際に小銭を使っている画の迫力がこのネタの独自性を引き出している。端的かつコミカルな山本のツッコミも重要だ。インパクトの強い画をしっかりと笑いに転換する役割を担っている。ただ一点、残念だったのはオチ。太古のお金がぶつかって山本が倒れるタイミングが、ちょっと遅かった。あの間は大事。

 

「達人」。箸でハエを掴み、床に叩きつけて、そのまま箸を替えることなく食事を続行している達人を目撃する。同じ言動を何度も何度も繰り返す、ジグザグジギーが得意とするスタイルのコントだ。今回は「ハエを箸で掴んだ達人がその箸を替えずに食事を続ける」というボケを延々と繰り返している。その行程を笑いに昇華しているのが、池田の的確なツッコミだ。何処がボケなのかを絶妙な言い回しで観客に説明している。一方、達人を演じる宮澤も、状況がどんなに悪化しようとも、徹底的に我関せずの無表情を維持し続けることで、むしろ非日常的な空気感を漂わせることに成功している。とりわけ、ライン作業のようにハエを捕らえ続ける宮澤の無表情には、たまらないものがあった。ただ、後半の展開が急ぎ足になってしまったことが、ちょっと残念。いきなりハエが大量発生するくだりは、宮澤の表情よりも状況の悪化の方に意識が向いてしまい、上手く笑うことが出来なかった。オチも弱い。達人がハエを食べている自らを自覚する流れから、それでもまたハエを食べてしまうというボケは容易に想定できる。その上で、更に何か展開があれば、もうちょっと好意的な印象を残せたのではないかと思う。あと、順番も悪かった。彼らと同様、ボケが同じことを繰り返し続けるかまいたちタイムマシーン3号の後だと、どうしてもスタイルそのものに飽きが生じてしまうから……。

 

  • ライス466点/1位】

「命乞い」。銃口を向けられた状態で「情報を提供するか死ぬか」の選択を迫られている男が、「どっちも勘弁してくれぇ~!」とムシのいいことを言い続ける。緊迫感の漂う状況下なのに都合の良いことばかりをお願いし続ける……というギャップを、多種多様の方法で広げていくコント。リアルタイムで観賞しているときはTKOの『裏口入学』を思い出してしまったが、同じパターンのボケが繰り返され続けるという意味では、先のかまいたちタイムマシーン3号ジグザグジギーと同様といえるだろう。……ていうか、本当に同じパターンのコントが多いな、今年は。昨年大会でロッチが演じていた『試着室』(これもやはり同じボケを何度も何度も見せ続けるスタイルのコント)が好評だったからって、審査員がそっち寄りのネタを高く評価したかと邪推したくなるほどに多い。曲がりなりにもゴールデンタイムで決勝戦が放送される大会の審査員が、そのような浅墓なことを考えているわけがないのだが。先の三組に対し、ライスは台詞のバリエーションを増やすことで、全体の流れになだらかな抑揚をつけていた。……いや、どちらかといえば、そっちの方が王道の方法だけどね。ほぼほぼ無言のまま動きだけで同じパターンのボケなんて、ストイックなコントばかりが続いている状況の方がどうかしている。とはいえ、ライスは抑揚の付け方が非常に上手かった。狙撃者の要求に対して都合のいいことを並べ立てる流れが「かっこつけさせてくれぇ~!」で絶頂を迎えると、今度は「あと、その時計もくれぇ~!」と要求を増やし、金のくだりで正しい流れになったのかと思わせておいて「その倍、いや、その三倍くれぇ~!」と元の木阿弥に……と、構成のバランス感がたまらない。それらの流れが終わったかと思わせておいて、ダメ押しで「肩揉んでくれぇ……」と内容も言い方もこれまでで一番しょぼいお願いを持ち出してくるところもニクい。関町の頭に残る口調も含め、とても手堅く、それでいて面白いコントだった。やっぱり台詞は大事!

 

《ファイナルステージ》

「冗談どんぶり」。ヒッチハイクで名古屋から仙台まで行こうとしている若者を乗せたトラックの運転手が、何度も何度も下らない冗談を繰り返すのでうんざり。四分以内で繰り広げられているとは思えない、スリリングな展開が凄いコント。そのとてつもない展開が笑いに繋がっているのだが、逆にいえば、その展開の凄さを除くと笑いどころが非常に少ない。だからこそ、「冗談ばかり口にすることを指摘されて冷静に怒る運転手のコント」と思わせるような導入で、観客がコントの世界に入り込みやすいように努めている。……とはいえ、このこってりとした世界観を容易に受け入られる人は、さほど多くないようにも思う。それだけ濃密なコントだった。あの終盤の展開は、本当に……。もしも、この上で頭にこびりつくようなキラーワードが散りばめられていたら、とんでもない高得点を叩き出していたかもしれない。……今回の審査傾向だと、いずれにせよ厳しいだろうか?

 

「演技」。演劇のオーディションの稽古をするために呼び出した友人が、とんでもない演技力の持ち主。関のとてつもない演技をありとあらゆる方法で抑えようとするも、どうしても才能がみなぎってしまう様を描いた、なにやら詰め将棋のようなコント。きちんと段階を踏んで展開しているため、きちんと面白い内容になっているのだが、オチに関しては違和感が残る。「書いてある文字を読んだだけ」と言っておきながら、芝居風のセリフを付け足していることがどうしても気になる。作品としての完成度よりも観客に伝わるように分かりやすく脚色することを選んだのだろうが、その辺りの感覚が漫才師とコント師の確固たる差であるような気がしないでもない。漫才師といえば、序盤で関が「巨人の脇の役」というボケを放り込んでいるが、あそこでフリよりもウケを求めるあたりにも漫才師としての志向を感じさせられた。

 

「ホームルーム」。生徒の給食費が無くなったことを受けて、担任の教師がホームルームで「もしもクラスの中に盗んだ人間がいるのならば、全員が目を閉じている状態で手を挙げるように」と促すと、山内がゆっくりと手を挙げ始め……。ホームルームで起こりがちなシチュエーションを利用して、人間の表裏をコンパクトに描いているコント。大袈裟に捉え過ぎているのかもしれないが、とはいえ、このコントで描かれていることを端的にいうと、そういう説明になってしまう。クラスメートには見せている外面、立場上から何も口出しできない濱家演じる教師にだけ見せている内面、それぞれで見せている行動の違いが笑いを生み出している。そして、コントが進むごとに、山内はより義憤に燃える外面を見せつけ、それと同時に、より悪辣な内面を教師にだけ明らかにすることで、そのギャップは更なる広がりを見せていく。とはいえ、それは無限に広がっていくものではない。クラスメートに罪をなすりつけるくだりで外面と内面の壁は崩壊、ズボンはずり落ちて中に穿いていたブルマが剥き出しになり、給食費はさりげなく机の外に放り出されてしまう。後に残るのは、ただただ「目的の分からない行動を取り始める山内」という名の混沌。転じて、外面と内面はまったく違うものだが、あまりにも違い過ぎると人間は崩壊してしまうという教訓である。いやあ、よく出来ているなあ(深読みしすぎなだけでは)。

 

  • ライス470点/1位】

「ビショビショ」。お盆を落として水をこぼしてしまった店員とズボンをビショビショに濡らした客。とにかくツカミが素晴らしい。「ズボンに水をこぼされてしまった客と責任逃れしようとしている店員」によるコントが始まったと思わせておいて、たった一言(それもかなり単純でヒドい)で、両者の立場を逆転させてしまう上手さ。ある意味、アンジャッシュ的な仕掛けといえるのか。この驚くべきツカミがあるからこそ、その後も、まるで水をこぼされたかのように怒り続ける客の姿が面白く感じられる。しかし、このコントについて書く上で特筆すべきは、ズボンが何かに触れるたびに店員が何かしらかの対応をするくだりだろう。「ズボンが机についたら即座に拭き取る」というフリからの、ズボンを必死によけ続けることでダンスを踊っているようになってしまう姿のバカバカしさ! リアルタイムで見ているときは、ここでようやく大会全体のエンジンが温まってきたような、そんな感覚を覚えた。

 

「余命」。余命三分という有り得ない宣告を受けた男が、妻とともに残された(本当に)短い時間を無理矢理に消化する様を描いたコント。人が死ぬ前にやりたかったこととして想起されやすい「最後の食事」「夫婦で旅行」「遺言」など、それなりにじっくりと時間をかけてやるべきことを超高速で処理していく様が笑いを生み出している。あまりにも理不尽な設定と熱量の高い演技に定評のあるジャングルポケットの特性が上手く絡み合っていて、非常に面白かった。ただ、一つ一つの「やりたかったこと」が完全に独立してしまっていて、全体の展開で見せる面白味に欠けているようにも思えた。例えば、食事とドライブ、旅行と遺言のように、それぞれの「やりたかったこと」が絡み合う展開を作って、流れを感じさせるつくりになっていれば、もうちょっと満足感が残ったかもしれない。あと、これは設定上、しょうがないところもあるけれど、最後のダンスのくだりがちょっと冗長に感じた。あの時間、何か欲しい。

 

《総評》

コントは面白かった。面白かったけれど、真新しさはなかった。曲がりなりにも第一回大会で2700を見出した大会なんだから、もっとアグレッシブな若手を引っ張り出した方が良かったのでは(それが「ななまがり」だったのだとすれば、それはそれでアリだけど)。あと、なんかパンチ力にも欠けた。うん。ライスも、ジャングルポケットも、かまいたちも、間違いなく面白かったんだけど、歴代の優勝者のネタと比べると、ちょっと足りない。かろうじて、そのボーダーラインにライスの指先が届いたかな、という感じ。うーん、なんだか“老害”みたいなことを言っているな。実際問題、審査システムが完全に変わってしまった今の大会は、俺がかつて愛した「キングオブコント」とは違うモノなのかもしれない。じゃあ、別モノとして受け入れるべきか?という話になるが、それはそうはいかない。何故かというと、それを受け入れてしまうと、これまで「キングオブコント」に対して抱いてきた俺の敬愛の気持ちを蔑ろにしてしまうことになるからだ。そんなバカな話があってたまりますかってんですよ。だから思ったことを書いた。対外を気にして嘘を書くなんて舐めたことはしたくない。

 

それとは別問題として、今年の客はなんだありゃ。シットコムの笑い声じゃあるまいし、いちいちコントの内容に反応してやがったが、スタジオを自宅の茶の間か何かと勘違いしていたのか。お前らは映画館でも誰かが怪我したら「ウワァー」って声をあげるのか。やめてくれよ。まあ、「童貞」とか、「皮膚を掻いたら小銭が出た」とか、そういった性的なワードや不気味なシーンに気持ちが引くのは分からないでもないけど、しずるのコントで血を見て引いていたのは本当に意味が分からん。以前、「女性の方が日常的に血を見るから、出血には慣れている」って話を聞いたことがあったんだが、あれは都市伝説か何かだったのか。落ち着けよ。コントだよ。事前に色を付けてあるんだよ。そんなことまでいちいち説明させるなよ、義務教育じゃねえんだから。本当に、どういう指導を受けたのか知らないけどさ。こっちの視聴を阻害するような反応だけはやめてくれよ。「じわじわチャップリン」なら我慢も出来るけど、こっちは年に一度のお楽しみにしてるんだよ。

 

まあ、こんなことをウダウダ書いておきながら、来年も楽しみにしているんだろうけどな。惚れた弱みというヤツよ。ただ、審査員はもうちょっと、増やせないかね。やっぱり五人だと個人の点数の影響が大き過ぎる気がするぞ。メンツが関東に寄りすぎだし。初代王者のバッファロー吾郎を召集してほしいな。あ、あとDVD出せよ。視聴率上がってるらしいじゃねーか。この流れでDVD出せよ。ウチの棚の「キングオブコント」DVDが2014で止まってるの、なんかほんのりウザいんだよ!

 

こちらからは以上でした。