白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年9月24日)

「ハマってること」。篠宮がハマっているオリジナルの遊びを次々に披露する。小ネタでつなげるタイプの漫才はどうしても印象が散漫になりがちなのだが、そこは実力派のオジンオズボーン、コミカルで楽しい漫才としてしっかりとまとめている。いや、実力云々だけではなく、篠宮の現在のキャラクターにはこういう漫才スタイルの方が適しているのかもしれない。好きだったのは、身体の部位を英語でいうくだりと、最後のじゃんけんのくだり。適度に意味がない、下らない、そこがいい。

 

「ヒーローインタビュー」。お馴染みの雑談スタイルによる漫才。前回の放送でやっていた漫才はやや強すぎる印象を受けたツッコミが、今回は少し控えめに改善。その結果、ボケに対してツッコミを入れつつも、従来のまったりとした雰囲気を崩さない漫才を上手く成立させていた。この空気感こそ、ヤーレンズの魅力よ。漫才中に相方同士で握手を交わす姿に違和感が残らないコンビなんて、そうはいない。後半のやりとりを沖縄をテーマにまとめていたのも良かった。いくら雑談形式とはいえ、まったく統一性がないと、なかなか記憶に残らないからなあ。好きだったボケは「ドックン、トックン(独特)」。三十歳前後の世代を表現する言葉に心臓の鼓動に置き換える意味のなさと、鼓動の表現に使われた間の長さが実に良かった。

 

【ふきだまりコーナー】

ローズヒップファニーファニー、田畑藤本、ゆにばーす、平野ノラ、サイクロンZ、ハルカラ、スーパーニュウニュウ、ヒコロヒー、アナクロニスティック、Aマッソ、コーヒールンバが登場。「お腹いっぱいになるようなギャグ」というテーマの元、リポーターの澤部佑(お手本)、平野ノラ、ゆにばーす、スーパーニュウニュウがギャグを披露した。ゆにばーす・はらちゃんのセクシーギャグはなんともいえない気持ちになるな。

 

  • ヴィンテージ【23】

「おしゃれ」。一週勝ち抜き。相方ののぶから良くないところをダメ出しされるも、ウジウジと言い訳を並べ立てるしゅんという構造のしゃべくり漫才。スタイルそのものは悪くない。しゅんのキャラクターを上手く引き出している。ただ、序盤にどういうネタをやるのかをきちんと提示していないため、そのスタイルを観客が理解するまでに時間がかかってしまっている。もしも、最初に「今日はお前にダメ出しすることがある!」みたいなことを一言でも挟んでいれば、印象は大きく変わるだろう。とはいえ、それだけを直せばいいかというと、そうでもない。あと、もうはっきりと書いてしまうが、のぶのツッコミが下手だ。ボケの段階や全体の流れを無視して常に全力でツッコミを入れているので、むしろボケで笑いを起こりにくくしてしまっている。せめて、抑揚をつけてほしい。あと、所ジョージのくだりだが、「所ジョージを尊敬→ジョージ兄さん→それは山本譲二」は完全にボケとして失敗していると思うのだが、どうだろう。ていうか、所ジョージは芸人ではないけれど、コミックソングでデビューしているから、笑いを志向しているという意味では芸人とかなり近しい立場にあるのでは……。

 

「婚活」。結婚相談所を訪れた「趣味:大食い」の男。男の個性的過ぎる食事法にドン引きしていた観客が、それをきっかけとした「自分、箸使わないんで大丈夫です」「腹の虫を収めるためにこっそり隠れて丸める」などの言動にはしっかりと笑っていたので、結果的にはこういうことになってしまったものの、彼らの勝ちということでいいのではないだろうか。ならないか。でも、一度引いてしまった観客を、あそこまで一気に戻せる芸人ってなかなかいない。それだけの実力があるからこそ、王者になれたわけだけども。かつてキングオブコントで彼ら自身が演じていた『コンタクトレンズ』のコントを思い出した。とにかく不気味で、不快で、異常だ。でも、そこで確かに作られている、確かな笑いの安心感。やっぱりかもめんたるは面白い。

 

【今週のふきだまり芸人】

ローズヒップファニーファニー「ファニーコント:鬼のオルゴール」

ヒコロヒー「めっちゃ背の高い人」

ネルソンズ「ケンカの仲裁」

 

次回の出場者は、オジンオズボーン(一週勝ち抜き)、サイクロンZ、ハルカラ、ヤーレンズ(一週勝ち抜き)。……今更ながら、ハルカラの芸風どうした?