白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年9月3日)

「修学旅行」。一週勝ち抜き。修学旅行の夜、不良の青山くんが木刀を買った件について先生が説教している横で、青山君を連れてきた生徒会長の和田が口を挟み続ける。和田が演じるねっとりとしたキャラクターに目がいきがちだが、純粋にコントとしての完成度が高い。ただ空気が読めないキャラクターだろうと思われた生徒会長の和田が、まさかの行動を取っていたことが明かされた瞬間の爆発力たるや。そこから、少しずつ和田のキャラクターに似合わぬスペックの高さが発覚していく、止め処無い展開も素晴らしい。「ヤンキーが泣きました! 僕は笑います! フフッ」には笑った。最後の消灯時間のくだりも笑ったが、アレはどうやらハプニングだったらしい。スペックが高いのに、あの部分をスムーズに言えない……というボケだと思ったのだが。

 

  • しゃもじ32

「旅行代理店」。一週勝ち抜き。旅行代理店を舞台としたシチュエーションコント。過去の「○○チャップリン」ではヘンテコなコントばかりを演じてきたしゃもじだが、ここにきてド直球のシチュエーションコントをぶつけてきたことに、ちょっと驚いてしまった。で、実際問題、かなり出来が良い。他の店員とケンカしているように見せかけて「申し訳ございません! お客さんに対して言っちゃって……」、他の店に行こうかというしゅうごパークを引き留めながら「よく言うぜ!」、着席を促すかと思いきや「黙りましょうか」と、流れを覆すボケをしっかりとはめ込んでいく。ただ、そういうベクトルのボケばっかりだったので、途中で飽きてしまった人も少なくなかったのかもしれない(そうでなければ、この点数の低さは理解できない)。個人的に気に入ったボケは「ナニモリ県ナニノヘ市がいいですかね?」。チョイスが良い。

 

【ふきだまりコーナー】

アナクロニスティック、Aマッソ、ヴィンテージ、オジンオズボーンかもめんたるコーヒールンバ、サイクロンZ、スーパーニュウニュウ、ハルカラ、ヒコロヒー、平野ノラ、ヤーレンズ、ゆにばーすが登場。「家族みんなで笑えるギャグ」というテーマの元、「綾部祐二(ふきだまりレポーター)」「オジンオズボーン篠宮」「ハルカラ」の三組がギャグを披露した。

 

「節分」。一週勝ち抜き。節分を楽しんでいる親子に、ホンモノの鬼が襲い掛かる。基本的な流れは前回の「お寿司屋さん」と同じ。手作り感満載(でも妙にグロテスク)なモンスターにハギノ・リザードマンが襲われるも対抗し、ナゲット村井が加勢して撃退する……なんだ、この個人の芸名は!(ツッコミを入れざるを得ないレベルのクセの強さ) 前回のオンエアにおける「絶対クラッチ放しちゃダメだよ! ……伸びたー!」のようなキラーワードが見受けられず、物足りなかったことは否めないが、三週目にどんなネタを持って来るつもりだったのか気になったので、敗退は残念。あと、彼らのコントに対し、ふきだまりにいたスーパーニュウニュウがどんな感情を抱いているのかが少しだけ気になった。うん。……まあ、どうでもいいことだけどな!

 

「クイズ」。一週勝ち抜き。東京大学出身であることを鼻にかける藤本に、「本当に芸人にとって大事なのは最近の話題を抑えておくこと」だという田畑が時事に関するクイズを出題する。着眼点は良い。藤本が正解を出すたびに「……ですが?」と更に新しい問題を打ち出す意地悪を企てる田畑という構図から、だんだんと藤本が「……ですが?」のフリを求め始めるクイズモンスターになってしまう展開は素直に上手いと思った。チュートリアルM-1グランプリの決勝で披露していた『バーベキュー』のような、偏執的なボケが狂気を含んだ人間へと変貌を遂げる流れを感じさせた。それなのに、クイズモンスターである藤本が文字通り自問自答しているところで「オレも入れさせて?」という提案を受け入れたり、対するクイズモンスターの狂気を受け止める側の田畑が英語で問題を出すというクセを発揮したり、ところどころに狂気を見せることに対する不安が感じられた。クイズの内容がボケになっていないのだから、そのやりとりで笑いを起こすしかないのに、そこを極める勇気が足りない……のかもしれない。最後に余談だが、結果発表の後に、プレゼンターの澤部が「不合格!不合格!落ちた!落ちた落ちた!」と連呼していたのが面白かった。

 

【今週のふきだまり芸人】

ゆにばーす「世界の北野のモノマネ」

アナクロニスティック「チャラ男」

Aマッソ「右手バリカン」

 

次回の出場者は、しゃもじ(二週勝ち抜き)、ネルソンズ(二週勝ち抜き)、ヤーレンズ、ゆにばーす。ヤーレンズは「こそこそチャップリン」時代に三週連続勝ち抜き経験あり。