白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

大阪旅行の覚書・最終日

午前八時二十分ごろ起床。

 

昨夜、鳥貴族で飲みまくったためか、身体中の汗がとんでもないことになっている。いっそ、朝風呂を決めようかとも思うが、ここ数日の暑さを思うと、むしろそれは逆効果になるだろうと思い、そのままの状態でチェックアウトを済ませることにした。洗面所で身支度を整え、ロッカーで荷物を整理し、午前九時半ごろにチェックアウト、ホテルを出る。そのまま真っ直ぐ高速バス乗り場がある阪急三番街へと向かい、今日の活動に不必要な荷物をコインロッカーへと押し込む。手元に残されたのは、スマホと充電器と財布、そしてバスの乗車券だけだ。

 

ひとまず曽根崎方面へ向かい、ドラマ『ちかえもん』(2016年1月~3月)で取り上げられてちょっとだけ話題になった『曽根崎心中』の舞台の一つ、お初天神こと“露天神社”を訪れる。『曽根崎心中』は、この神社の裏手にある天神の森で、遊女のお初と手代の徳兵衛が心中を遂げたという実話を元に書かれたのだという。心中はゴメンだが、それほどに熱い恋愛などは経験してみたいもの……と、いうようなことを思いながら、手を合わせる。そして、まあ熱い恋愛は出来ないにしても、現代の遊女とちょいとお遊びを……っと、これ以上書くとR-指定になってしまうので書かない。ふはははは。f:id:Sugaya:20160814010540j:plain

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午後一時ごろ、大阪駅から福島駅へと移動。駅から歩いて数分のところにあるラーメン屋“燃えよ麺助”へ向かう。実はこのラーメン屋、俺の従兄弟が今年の四月にオープンしたばかりの店なのである。福島のあたりはライバル店も少なくないので、さぞ苦労していることだろう……と思いながら、お店の前まで行ってみると、そこにはずらりと行列が。めちゃくちゃ流行っているじゃないか。これならば、わざわざ心配して様子を見に行く必要もなかったな。結果、炎天下の元、三十分ほど並ばされることに。うーむ、こんなことならば、チャンネーとイチャイチャせずに真っ直ぐ来ればよかった! これだけ並ばされたのだから、ちゃんと美味しいものを頼んで味わわなくてはならないと思い、ちょっと高めの特製金色貝そば(990円)を注文する。出たラーメンを見て、驚いた。肉が麺を覆い隠している! なんという豪勢さだ。しかし、肝心のラーメンが美味しくなくては、元も子もない。肉を掻き分け、スープに沈んだラーメンをすする。う、美味い! 従兄弟とか値段とかそういう掛け値なしに美味い! こういうラーメンだとおざなりになりがちな貝特有の苦味もしっかりと残っている! これはまた来なくてはならないと固く心に誓いながら、店を出た。……あ、従兄弟に一声かけるの忘れてた。まあいいや。

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食後、再び福島駅から電車に乗り、大阪駅で乗り換えて、今度は茨木駅へと移動する。前日の飲み会にも参加していたゴハさんがメンバーのユニット「ホシノ企画」による大喜利イベントに参加するためである。会場は茨木市役所の前にある茨木市福祉文化会館。建物の中に入ると、何処からともなく笑い声が。声が聞こえてくる方へと行ってみると、そこにはごくごく一般的な会議室が。「いわゆるホシノ企画ここです」と書かれた看板が立っているので、間違いなく、ここが会場なのだろう。しかし、これはなんとも、入りにくい。時刻は午後三時を回ろうとしているころ。イベントの開始予定時刻が午後一時なので、既に開始から二時間が経過していることになる。そんな空気の温まっている場に、いきなりチャンネーとイチャイチャしてラーメン食ってきたばかりの欲望に満ち溢れたアラサーの男が突入してもいいものなのだろうか。不安と恐怖に駆られながら、恐る恐るドアを開ける。

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部屋の中は、いわゆるところの会合の様相を呈していた。コの字に配置された長机と、正面には映像を映し出すためのスクリーン。長机には十数人の男女が座っていて、それぞれ小さなボードを手にしている。無論、そこに書かれているのは、新しい事業のプレゼンなどではなく、面白回答だ。刹那に緊張感が走るも、すぐさまゴハさんがやってきて、空いている席に案内してもらう。これで一安心……している場合ではない。他の人と同様、俺の手元にもホワイトボードとペンとイレイザーが準備されている。昨年九月、東京旅行の際に参加した「カフェ・ド・大喜利」以来となる、ガチ大喜利である。結論からいうと、それなりにウケるところはウケた。でも、いわゆるところの、自分の発想の領域には達していなかったようにも思った。そこそこ無難に面白いことは言っているけれど、それを自分が言う必要性があるのかどうか。スベッてもいいから、引かれてもいいから、こういうのが面白いと思っていることを恥ずかしげもなくブチかませるような図々しさが必要だ。その意味では、「覗き見している家政婦あるある(イラスト回答限定)」の時のフリーメイソンは個人的には大好きで良かったと思ったんだけど……なかなか難しい。だが、それもまた楽しい。また大喜利やりたいな。余談だが、休憩前に「あの人は菅家さんです。ブログを書かれている人です」というざっくりとした紹介をされた後で、「いつもブログ読んでます」と何人かの方に言っていただけたのは嬉しかった。自主的に漠然とした状態で書き続けているから、はっきりと需要があると分かると、ちょっと泣きそうになるんだよな。

 

午後五時半、イベント終了。帰りの高速バスの発車時刻を意識しながら、そそくさと退場する。茨木駅から大阪駅へと戻り、バスの中で空腹になってしまうことを想定し、“神座”でラーメンを食べる。人気店だが、運良く並ばずに注文することが出来た。ちょっとクセのある味がたまらない。隣の席の親子が、「お父ちゃんが道頓堀の神座好きでな……」という話をしていた。亡くなったのだろうか。凄く無責任だけど、亡くなった人の思い出がラーメン屋って、なんだかいいな。

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食後、朝方コインロッカーに放り込んだ荷物を回収する。ほのかに汗臭い。この三日分の衣服が洗濯されることのないまま、無理矢理詰め込まれているからだろう。まあ、もう帰るだけだから、あまり気にしない。売店でお土産物を購入する。自宅用とか、職場用とか、そのあたりについては深く考えずに、中身の数の多いものを選んだ。出発前に用を足しておこうと思い、トイレに立ち寄ると、何故か便座にトイレットペーパーが敷かれた状態で放置されていたので、見て見ぬフリをする。

 

午後七時半、出発。お疲れ様でした。