白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

大阪旅行の覚書・二日目

午前八時起床。

 

早々に出掛ける準備を済ませ、午前九時ごろにホテルを出る。向かうは、ホテルから歩いて十分ほどの場所にある喫茶店“喫茶Y”だ。どことなく異様な雰囲気を放っている外観に怯むことなくドアを開けると、決して広いとはいえない店内が既に沢山の人でごった返していた。外国人の客が多く、なにやら欧米にある地元のカフェにやってきたかのような気分だ。かろうじて空いていたカウンター席に座るも、なかなか注文を取られない。厨房の方に目をやると、店主と思しき小柄な中年女性がコマネズミのようにせっせと料理を作っている。とてもじゃないが、こちらにまで気を回せないといったところか。

 

しばらくぼんやりと待っていると、いきなりアイスコーヒーが飛び込んできた。どうやら作業の山場を越えたらしい。砂糖とミルクも欲しいところだったが、贅沢は言わないことにした。ここでようやく注文を取られたので(アイスコーヒーを出すよりも先にやるべきことでは……?)、表のボードに書かれていた「ベーコンエッグのモーニングセット(1,000円)」をオーダーする。再び、しばらく待っていると、まず分厚いトーストがやってくる。分厚い。かなり分厚い。通常の食パンの二倍くらいの分厚さではないだろうか。その大きさに戸惑っていると、隣の席の白人からハチミツの入ったチューブを手渡された。オーケイ、オーケイ。ナイスコミュニケーション。センキュー、センキュー。トーストにハチミツをぶっかけて、かぶりつく。美味い。美味いがデカくて食べづらい。悪戦苦闘しているところに、ベーコンエッグの乗った皿が届く。これも凄い。とんでもないボリュームだ。卵を五個ほど使ったようなスクランブルエッグの上に、通常なら三人分くらいありそうなベーコンが重ねられている。これは大変だと慌てて食べていると、先程の白人が今度はケチャップを渡してきた。オーケイ、オーケイ。ナイスアシスト。センキュー、センキュー。そんなことを言いながら、ふと彼の手元を見ると、明らかに「もう食べられません」状態で放置されている料理が。俺よりもガタイがいい白人が、残しているじゃないか! ……とはいえ、料理を残すのはプライドが許さない!とばかりに完食。ただ、あまりにも満腹になってしまったので、お昼過ぎに行こうと思っていたラーメン屋はキャンセルすることにした。

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ラーメン屋の予定をキャンセルしたため、何もやることがなくなってしまったので、本日の目的地であるサンケイホールブリーゼへのんびりと向かう。喫茶Yからはけっこうな距離だったが、腹ごなしの散歩と思えば、ちょうどいい塩梅だ。午前十時二十分ごろ、到着。人気はない。当然である。二時間後にようやく開場なのだ。その間、もう少しあちらこちらを散策しようかとも考えたが、万が一にも遅刻してしまうような事態だけは避けたかったため、すぐ近くの“メディアカフェポパイ”に飛び込み、開場までの時間を潰すことにした。リクライニングでまったりまったり。二時間後、外へ飛び出し、その勢いでブリーゼタワーへと乗り込む。ここの七階がサンケイホールブリーゼだ。

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入口でチケットをもぎってもらい、物販コーナーへ。ボールペン(500円)を二本とステッカー(1,000円)一枚を購入。一度、トイレに立ち寄ってから、客席へと向かう。G列の23番。前から七列目という微妙な距離に不安を覚えていたが、いざ座ってみると、舞台からさほど距離が離れていないように感じた。開場五分前、謎の黒子が登場し、前説を。何度も何度も何度も懇切丁寧に携帯電話の電源を切るように訴えかける姿に、これまでの苦悩と葛藤を感じたりした。

 

午後一時開演。

 

オープニング、幕間、エンディングの映像はなし。シンプルに舞台だけで構成されている。小道具も必要最低限で、基本的には演者の技量に任せられている。幕間はうっすらと暗転しているが、演者が移動したり道具を動かしたりしている姿をぼんやりと確認することが出来る。その間は音楽が流れ続ける。その内容は、コメディのお芝居ではなく、笑いを重視した、純度の高いコント。それは完全にラーメンズのそれだった。新たなる始まりだった。

 

午後三時過ぎ、終演。

 

午後五時半にネットで知り合った人たちと会う約束をしていたので、それまでの間に午前中にキャンセルしたラーメン屋に行こうと思っていたのが、よくよく調べてみると、この時間にはまだ店が開いていなかったため、またも梅田を散策する。あまりの暑さに汗まみれになってしまったので、タオルを買おうと思い、NU茶屋町や梅田ロフトあたりをうろつく。結果、梅田ロフトでフェイスタオル(今治タオル!)が半額で売られていたので、これを二枚購入する。その足で集合場所の“鳥貴族阪急東通2号店”へ。店先でゴハ氏、イシダドウロ氏、藩主氏と落ち合う。三十分ほど店の前で待たされてから、午後六時ごろに店内へ。それから午後十時まで、延々と飲み食いしながら「シソンヌはきっかけがあればバカ売れするかもしれない」「かもめんたるは大丈夫なんだろうか」「水道橋博士ダイノジの件ってぶっちゃけどうなの?」「Kダブシャインの変遷についていけない」「レイザーラモンRG」などの話をする。

 

飲み会後、梅田駅で別れ、一人でホテルに戻る。風呂に入り、カプセルで横になる。寝苦しい。ひたすらに寝苦しい。汗まみれになりながら、就寝。