夢を見た。
近未来の夢だ。
夢の中には三人の女性がいた。
彼女たちは銀色の船に乗っていた。
まだ未来の姿が想像できなかった時代の未来の船だ。
そんな彼女たちを大勢の人々が見ていた。
歓喜の感情を抑えきれずに踊り出す人がいた。
瞳から感動の涙を溢れさせている人もいた。
鼓舞するように両手を打ち鳴らしている人もいた。
……ああ、分かっている。
これは夢なんかじゃない。
2016年6月5日(日曜日)。
友人のイシダドウロ氏に誘われて、やってきたPerfumeのライブだ。
【Perfume 6th Tour 2016 COSMIC EXPLORER】
アスティとくしま、二日目の公演だった。
タイトルの通り、最新アルバム『COSMIC EXPLORER』からの選曲が中心。
舞台上には、宇宙船を思わせるステージが組まれていた。
その上で踊るPerfume。
四方八方に発射されるレーザービーム。
パフォーマンスの合間で、観客と一つになることを呼びかける三人。
それに応える観客たち。
まるで会場全体が一つの船になったかのようだった。
だとすれば指揮官はあ~ちゃんだろう。
柔らかい語り口なのに広島弁全開で観客たちに檄を飛ばしていた。
かしゆかはクールな参謀に見える。
とはいえ、以前のイベントで覚えたという阿波踊りは実に情熱的だった。
のっちはどうだろう。
ある二人の観客が着ていたPerfumeを模ったすだちくんTシャツを見て、
そこに自分がいないことに気付き、
(※それぞれに一人ずつキャラクターがプリントされていた)
「のっちは? ねぇ、のっちは?」
とステージ上から詰め寄っていた姿が実にコミカルだったので、
道化師かもしれない。
近未来を思わせるステージの上で、
クールでカッコいいパフォーマンスを見せつけていた彼女たちが、
曲間にトークを始めると、
途端にご近所のキレイでユカイなお姉さんになってしまう。
そのギャップもたまらなく魅力的だった。
ああ、最強だ。
この三人はなんて最強なんだろう。
こんな素晴らしき上官の下につけて、私はなんという幸福者でありましょうか。
などと思ったり、思わなかったり。
しかし、ライブのエンディング。
今後のある活動についての話を始めるあ~ちゃん。
感情を見せない二人。
少しずつ鼻声になっていくあ~ちゃん。
やはり感情を抑えている二人。
あの最強の三人が不安を露わにしている。
「大丈夫かな?」の一言に歓声で応える観客たち。
ああ、そうか。
Perfumeは最強なんかじゃない。
彼女たちを応援する観客がいるからこそ、彼女たちは最強になれるんだ。
そしてライブは終わった。
Perfumeの三人はまた多くの人たちに夢を見せるため旅に出る。
その夢の果てに、彼女たち自身の夢はあるのだろうか。
その船は何処へと向かうのだろうか。
そんなことをふと思って、なんだか泣きそうになった。
この世で最も愛おしい生き物よ。
どうか幸せに。