白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「こそこそチャップリン」(2016年3月12日)

  • ドドん【23

「言葉遣い」。1週勝ち抜き。友人との出来事について話そうとする安田の言葉遣いに不満がある石田が、逐一言い回しを訂正する。「同小(オナショー)」「リア充」「JD」のような今時の略語を「同じ和尚様」「リアル住職」「ジャンボな大仏」などのように仏教的変換をしていく漫才。形式だけを見ると枠にはめているように感じられるが、実演を見ると、漫才としてまったく違和感を残さないように出来ている。ちゃんと一つ一つのワードを掘り下げている為だろう。丁寧である。石田の言葉が雑になってしまうオチはありきたりだが、それまでの流れが満ち足りていたため、むしろ据わりの良さを覚える。キャラクターばかりに目を取られてしまいがちだが、素晴らしい漫才だった。
 

  • 鬼越トマホーク【23

「見た目で決めるな」。「人を見た目で決めないでほしい」という宣言から「芸能界で見た目を活かした仕事」の話へ。初登場ということもあってか、今回はとても分かりやすい“見た目”を重視した漫才。とはいえ、そのボケに固執するわけではなく、その合間にさらりと投げ込まれる坂井のふてぶてしいボケがちょっとたまらない。二人の関係性を「辻ちゃん加護ちゃん」と宣言して、「(加護ちゃんなのは)僕、煙草吸うんで」とブチこむ気持ち良さ。その後も「板橋は埼玉です! 埼玉の植民地です!」「(朝は髪が生えている人しか出れないと言われ)特ダネは!?」今後、見た目が浸透していけば、この坂井の危なっかしいボケが軸となっていくのだろうが、果たして。ところで、これは余談なのだが……太っている(ガタイのいい)漫才師が増えてきたような気がする……。
 

【ふきだまりのコーナー】

オーストラリア、ザ・ギース、GAG少年楽団、全力じじぃ、トンツカタン、ニューヨーク、ネルソンズ、ハルカラ、平野ノラ、昼メシくん、マッハスピード豪速球、マツモトクラブが登場。フリップに書かれたユニット名の文字に何故か黄色をチョイスしたために光の加減で読みづらくなってしまっている「ネルソンズ」、メンバーの一人(櫻田佑)がなんだかクリエイターぽかった「トンツカタン」をクローズアップ。

 

「早坂さん」。1週勝ち抜き。男子の下ネタにビンカンな早坂さんにとって、何処から何処までが下ネタの対象となるのか実験してみる。同じネタを先日の「ツギクルもん」でも見たような気がする。イチオシなのか。「うまい棒」「フェラーリ」「たまご焼き」などの漠然としたワードで試しているうちは笑えたのだが、「早坂さんはタマに厳しくてサオには甘い傾向にある!」と言ってのけたあたりでサーッと観客が引いてしまったように感じた。とはいえ、キンタマがセーフだったことを思うと、恐らく観客はタマに甘くてサオに厳しい傾向にあるのだろう。……まさか、その意識のウラをかいたネタだったのだろうか!(んなわけない) 思春期っぽさの残るオチは嫌いじゃない。ただ、ボケとツッコミのメリハリが明確なネタではなかったので、ここでスパッと締めてほしかった気もする。

 

  • パーマ大佐【08】

「英語」。2週勝ち抜き。英語をローマ字読みしすぎたらどうなるか。一見するとナンセンスなフリップ芸だが、軸となっているのは、ローマ字読みしているパーマ大佐の声と表情。それなのに、やたらとネタを急いでしまっているため、それらの要素の余韻を楽しむ前に次へ次へと進んでしまっている。だから観客の笑いのトーンに乗り切れない。後半の「英文をローマ字読みして別の意味の言葉にする」くだりへの構成は見事。ただ、前半とは笑いの質が変わってくるため、ここも丁寧にシフトチェンジしなくてはならないところなのに、また焦り過ぎているため、笑いの余韻に浸らせてくれない。何をそんなに急いでいたのか。ウクレレを人質に取られていたのか。どうでもいいけど。実に勿体無かった。本来ならば勝てる試合だったと思う。次に期待。

 

 次回の出場は、鬼越トマホーク(1週勝ち抜き)、全力じじぃ、ドドん(2週勝ち抜き)、ハルカラ。