白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「こそこそチャップリン」(2016年2月6日)

  • 勝又28

「顔近い」。顔と顔の距離が異常に近い二人が「10回クイズ」「クイズ」「なぞなぞ」で遊ぶ。異常な距離の近さが醸し出す可笑しみと誰もがやったことのある遊びが上手く出来ないグズグズ感で構成されたネタ。ちょっとアンガールズのショートコントに通じるものがあるような。とはいえ、ただグズグズ感に徹するわけではなく、aniと弟でスタイルが違っているところに技術を感じさせられる。役割が出来上がっている。メガネを落とすくだりは面白かったなー。次回以降もこのスタイルを貫くのか、それとも通常のコントネタを用意するのか、楽しみだ。

 

「心配性な彼女」。彼氏にかかってきた女性からの電話に不安を覚える彼女が、他の男と「していた」ことが発覚する。しかし、それは彼女にとって「浮気」ではなく……。ある対象への双方の認識のズレが笑いを生み出すスタイルのコントだが、軸となっているテーマが性的なものであるためか、少し笑いに繋がりにくい。恐らくは意図的にやっていることなのだろうが。山崎の演技がコメディにならないリアル志向なので、ここは相方の山添がどれだけ上手くツッコミで処理できるかどうかが重要になってくる。で、個人的には、不十分に思えた。ここは矢作兼小峠英二のように、笑えるか笑えないかの判断が難しいニュアンスのボケをツッコミで強引に笑いへと繋げる力量が必要だ。否、それも二人が、コントにおいて何を大事にしていきたいと思っているかの問題になるだろう。

 

【ふきだまりのコーナー】

なすなかにし、サッチ、平野ノラ、スーパーニュウニュウ、ザ・ギース、阿佐ヶ谷姉妹エレファントジョン、オーストラリア、メイデン玉砕、パーマ大佐、ゆにばーす、BBゴロー、ドドん、インデペンデンスデイが登場。「ザ・ギースもいるじゃん!」と土田に驚かれた「ザ・ギース」、ザ・ギースと同じ事務所に所属している(姉は土田と同い年!)「阿佐ヶ谷姉妹」をクローズアップ。

 

  • 大福09

「被告人」。裁判長が「矯正わいせつ事件」の判決をギター弾き語りで歌い渡す。判決内容を歌で申し渡すギャップの笑いに加え、ラブソングにありがちな表現、ミュージシャンがライブでやりがちなパフォーマンスを織り交ぜたスタイルのコント。とてもバラエティに富んだ内容になっていたが、一方で、ネタの軸である「判決を歌い渡す」部分が後半でおざなりになってしまっているように感じた。それでも押し切ってしまえるところが芸人のネタの良いところではあるのだが、今回の場合、「え? なんで無罪なの?」と少しでも疑問を残すようなネタだとテーマがテーマなだけに後味が良くないだろう。理由を明確に歌い渡していれば、もうちょっと良い点数を出せたのでは。

 

「そば」。1週勝ち抜き。落語を勉強しているという関が、落語でお馴染みの「おそばを食べるシーン」が意外と難しいと言いながら披露する。関のおそばを食べる描写のあまりの酷さに対比して、他の部分の極端な上手さが笑いに昇華されている漫才。普通なら、上手さが続く中に下手さが露呈してしまうことで笑いが起きるようにするところを、下手なところが本当に極端に下手なために、それからの極端な上手さが笑いになるようにしている。その構図がとても面白い。関も上手いが山本も上手い。関の描写に対して、常に的確な言葉を寄せている。「七味入れるなんて、なかなかツウだねコイツ……つまようじだったっていうね!」「器のデカさからして「つるとんたん」かな?」の心地良さ。結果は史上初の満点。『爆笑オンエアバトル』で観客・視聴者に愛された漫才師としての腕は衰えていない。

 

次回の出場は、阿佐ヶ谷姉妹、勝又(1週勝ち抜き)、タイムマシーン3号(2週勝ち抜き)、メイデン玉砕。