白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「うしろシティ・ラブレターズの居残り学級会~あの日みんなが見た青春を僕達はまだ知らない。~」(2016年1月27日)

それぞれの理由で、学生時代に青春を謳歌できなかったうしろシティラブレターズが、とある学校を貸し切って、当時からやりたかったけれど出来なかったことを実行する。

一見すると、本作はただただ「二組の若手お笑いコンビが学校を舞台に遊ぶ」だけの作品に見える。だが、うしろシティラブレターズという、一癖も二癖もある二組が選ばれていることに、ほのかな期待を抱いている人も少なくないのではないだろうか。ひょっとすると、本作は青春を取り戻すバラエティ作品に見せかけた、壮大なフェイクドキュメンタリーなのではないか……と。

正直なところ、私はそちらの展開に期待していた。キングオブコントファイナリストの二組を揃えておきながら、ただ学校で遊ぶだけの作品なんて、この不況の時代にそんな能天気な作品をリリースするわけがないと。だから、実際に鑑賞してみて、本当に驚いた。本作は純然たる「二組の若手お笑いコンビが学校を舞台に遊ぶ」作品だったのである。「黒板消しでいたずら」「上履きペインティング」「廊下ボウリング」など、学生でなければ出来ないことを楽しんでいる四人の姿をニヤニヤしながら見守る作品だったのである。なんという逆サプライズ。

とはいえ、そこは笑いに貪欲な若手芸人が集まっているので、単なるお遊び作品では終わらせていない。学生時代にそれぞれの理由で友達がいなかった阿諏訪とラブレターズに対し、生まれ育った町がド田舎だったために学校ならではのイベントを体験できなかった金子が少し距離を置かれたり、溜口の友達がいなかった理由のヒドさに距離を置かれたり、随所でそれぞれの学生時代の出来事が引きずられるところが妙に可笑しかった。とりわけ、阿諏訪の空気を読まない痛々しい行動は、本作の軸になっていたと言っても過言ではないだろう。「給食」から「上履きペインティング」への流れは、なかなか濃ゆかった。二組がともにラジオ番組のパーソナリティを務めている(務めていた)ことも、この面白さに繋がっているような気がする。特に根拠はないが。

うしろシティラブレターズそれぞれのファンはもちろん楽しめるだろう。二組のコントしか知らないという人でも、そのアイデンティティに触れることで、より彼らに対して親近感を抱けるようになるだろう。とどのつまり、なかなか面白かった。ただ、一点だけ気になったのは、ラブレターズうしろシティに対して敬語を使っていたところ。確かに芸歴でいえばうしろシティの方がラブレターズよりも先輩なのだが(※結成年は同じ2009年)、作品のコンセプトを思うと、そこはフランクにタメ口を使っても良かったのではないかと。また、うしろシティが先輩を気取らないタイプだから、余計に違和感が……。

それでも、コンセプトそのものは面白かったので、またこういったバラエティ作品を作ってもらいたい。出演者を変えたり、設定を変えたりしたら、可能性は無限だ。 

■本編【136分】

「朝の会」

「卒業アルバムチェック」

1時間目「遅刻したのを気付かれないように着席」

2時間目「黒板消しでいたずら」

3時間目「校庭に迷い込んだ犬をつかまえる」

「給食」

4時間目「上履きペインティング」

5時間目「廊下ボウリング」

帰りの会