令和時代のお笑い公論

心が壊死する、その前に。

「タイタンシネマライブ」(2019年8月23日)

今回もTOHOシネマズ高知で観賞。遠い。

シティホテル3号室「古賀ダンス教室」
ミヤシタガクオレオレ詐欺の電話」
ウエストランド「旅行代理店」
脳みそ夫「くだもの子の『もぎもぎゲーム』」
 ゲスト:ダイアン「出前の遅刻・喫煙を注意」
日本エレキテル連合「演芸番組のナレーション録り」
 ゲスト:新宿カウボーイ「野球の判定・ダブルプレー
まんじゅう大帝国「お金持ちになる方法」
長井秀和「闇営業・フリップ芸」
 ゲスト:ハライチ「海の日」
 ゲスト:パックンマックン「オリンピック・英語でガイド」
 ゲスト:BOOMER&プリンプリン「謝罪会見」
 ゲスト:ぜんじろう「人情噺「立川談志」」
爆笑問題煽り運転浜崎あゆみの告白本・渋野日向子・アンパンチ・闇営業」

タイタンの若手は今回も絶好調。笑いの量は少なかったが味わい深い設定のコントで楽しませてくれたシティホテル3号室アウトローの匂いを仄かに漂わせながらもエンターテインメントとしての矜持を見失っていないバランス感が絶妙なミヤシタガク、以前ほど発想が飛躍しているように感じられなかったが代わりに漫才師としての能力の向上が感じられたまんじゅう大帝国……それぞれ、事務所を背負って立つ存在に成るだろう未来を予測させる素晴らしいパフォーマンスだった。対して、そこそこ売れている中堅勢は、やや苦しそうに見えた。漫才コントスタイルへのシフトチェンジに時間が掛かっているウエストランド、マスコット的な見た目に芸人としての本質が吸い込まれ始めている脳みそ夫、相変わらずのテレビで放送できない内容のネタを乱暴に使い回すガチのアウトローぶりを見せた長井秀和と、若手に比べるとやや厳しい。常に清く正しく狂い咲いている日本エレキテル連合ですら、良くも悪くも過去のネタを薄めたような内容で、ややパンチに欠けた。……尤も、単に見る目が厳しくなっただけ、なのかもしれないが。

ゲストの中では、新宿カウボーイが圧倒的。久しぶりにその漫才を見て、安定している芸の素晴らしさを再認識させられた。期待していたダイアンはややゆるめのネタ。ただ、掛け合いの隙間で、瞬間的に見せる画の面白さがたまらない。ユースケが禁煙スペースでタバコを吸っている津田を見つけた瞬間の、あの振り向きざま。ああいう機微にこだわるコンビは油断できない。こちらも期待していたハライチは、実在しない事物を実在しているように語る妄言スタイルの漫才。面白いといえば面白いのだが、ありきたりなところで落ち着いてしまっていたような気も。パックンマックンは今までで一番ハマらなかった。彼らは基本的に“日本人と外国人の漫才”という枠組みにこだわり過ぎていて、根源的な漫才特有の面白さを切り捨てている傾向がある。それ故に、ネタがハマらなかったときの物足りなさは、他の漫才師の比較にならない。それでいいのか。それでいいのだろうか。いつもバカバカしいネタを見せてくれているBOOMER&プリンプリンはまさかまさかの宮迫・亮の記者会見パロディコント。設定が鋭利であるからこそ、ネタのベタさがいつもよりずっと上手く笑いに昇華。こういうネタを観ると嬉しくなるな。ところで、プリンプリン・田中章が最後まで登場しなかったけれど、どうしたのだろうか。なんだか心配してしまったぞ。

今回の(ある意味で)主役ともいえるぜんじろうは、スタンダップコメディ形式で立川談志との思い出を語るパフォーマンス。自身の記憶の中にある談志の思い出を語り上げたもので、面白いといえば面白いのだが、笑えるかというと笑えない。なにせ立川談志という人物は数多くのエピソードの持ち主なので、彼がこんなことを言っていたという程度の話など、わざわざ彼の口から聞く必要が無いのである。無論、それでも尚、立川談志という人物に対するイメージ、認識、批評などを独自に展開していれば、漫談として成立させることも出来ただろうが、ぜんじろうの話は徹底的に談志と直面した自らの思考を中心としていて、氏に対する考察は皆無に等しく、ただのぜんじろうの記録の一ページ以外の何物にもなっていない。『爆笑問題カーボーイ』に出演したときと同様、その自己愛の強さに起因しているであろう客観性の無さが露呈してしまっていた。むしろ、この場で披露すべきは、自らの師匠である上岡龍太郎との濃密なエピソードだろう。……無いわけじゃないよね?

そんな空気の後にトリとして登場した爆笑問題は、相変わらずのアグレッシブさを発揮。あおり運転殴打事件の容疑者の逮捕時の映像を完コピしたかと思えば、先程のぜんじろうのネタを「気持ち悪い!」と一喝(ここで笑いが起きていたので、観客も同様のことを感じていたのだろう)。そこからN国、浜崎あゆみ告白本、渋野日向子の快挙、アンパンチ問題など、数々の時事ネタを笑いに変えていく。中盤、田中が暴走しそうになるシーンは、ちょっとドキッとしたが……。面白かった。談志師匠、観てますか?

エンディングでは告知。まんじゅう大帝国の単独、脳みそ夫は井口の画像を持っていないと弁明(そういえば井口の件を日本エレキテル連合がネタにしていた。仲が良い)、ダイアンが大阪のよく分からない名前のホールで単独、ぜんじろうは田中がキレるのを怖がりながら海外での公演、で終わり。もうちょっと色んな人のトークが聞きたかったような気もするが(プリンプリン田中の不在が本当に謎)、ワチャワチャ感がまた楽しかった。あと日本エレキテル連合の服装が異常に可愛かった。アレは私服だろうか。

次回の「タイタンライブ」は10月11日とのこと。ちょっと時期的に厳しそう。