白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

コント知新の大阪旅行(2019年7月13日~15日)

七月十三日、土曜日。

午前五時起床。身支度を済ませ、午前六時に自宅を車で出発。途中、うどん屋に立ち寄って朝食を取る予定だったが、予想以上に時間に余裕が無かったため断念。替わりに、マクドナルドのドライブスルーに立ち寄り、ソーセージマフィンとソーセージエッグマフィンを購入する。日頃、朝マックを注文することがないので、その値段の安さに驚かされる。直後、コンビニに立ち寄る。バスの中で口寂しくなったときに飲む500ミリリットルのペットボトルジュースを買い求めるためである。個人的にはフルーツジュース系が好ましいのだが、見当たらなかったので、果物フレーバーウォーターを購入する。結局、それらしい味がしていれば、それで納得してしまえる。午前六時四十五分ごろ、善通寺インターバスターミナルに到着、駐車場に車を停車する。午前七時、大阪行きの高速バスで出発。道中はradikoで『神田松之丞 問わず語りの松之丞』『シソンヌの「ばばあの罠」』『爆笑問題カーボーイ』を聴く。

午前十時半ごろ、OCAT(大阪シティエアターミナル)に到着。天候は芳しくない。一応、折り畳み傘を用意しているが、使わないに越したことはない。午前十一時、とある雑居ビルに押し掛け、とても重要な契約を交わす。重要である。あまりに重要なので、ここで詳細は書けない。午後一時に再びこの場所に戻ってくるようにいわれ、また街中へと飛び出す。ひとまず昼食を取るために、なんばwalk(なんばの地下街)を彷徨い歩いてみるが、元来の優柔不断が災いし、どの店にも入れず途方に暮れる。さんざん歩き回った午前十二時半ごろ、他の店舗には入ったことがあるラーメンチェーン店「三豊麺」を見つけたので、ここで昼食を取る。特性濃厚魚介つけ麺(大盛)を注文、軽やかにこれを食す。正午であるにも拘わらず、店内には私以外の客の姿が見えない。味は悪くなかったので、単純に立地が良くないのだろう。そもそも、どうしてインド料理店とビデオ個室店の間に店舗を構えようと思い至ったのか。

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午後一時、先程の雑居ビルを再度訪れる。それから近隣のホテルに移動し、とても重要なミッションを完遂する。重要である。あまりに重要なので、やはりここには書けない。ただ……人それぞれに好みはあるのだろうが、個人的には未経験者よりも経験豊富なベテランの方が有難い。どうでもいいことだが。

午後二時二十五分、ミッションを終える。御堂筋線なんば駅から本町駅へと移動し、駅から歩いて数分のところにある書店「toi books」を訪れる。以前、かつて一緒に大喜利をやっていたこだま氏がオススメしていて、少し気になっていた書店である。実際に突入してみると、とても雰囲気が良く、自宅の近所にあれば月に一度は訪れていただろう。こだま氏も参加している同人誌『でも、こぼれた』を発見、購入する。来客者用のノートが置かれていたので、「こだまさん、買ったよー」と乱雑に書き込む。外へ出ると雨が酷くなっている。もはや傘がないとどうにもならない。折り畳み傘を取り出し、駅へと戻る。御堂筋線本町駅から梅田駅へ移動。

午後四時、「サウナ&カプセル大東洋」を訪れ、チェックイン。大きいキャリーバッグと現時点では不必要な荷物を預ける。午後四時半、ホテルの近くにあるメロンブックスを訪れ、何冊かの同人誌を購入。以前にも書いたような気がするが、若い頃に比べて、性欲を煽られるようなエロティックな版権パロディ作品よりも、見せ方を工夫しているオリジナル作品に魅力を感じるようになってきた。とりわけ同人誌は一期一会の出会いとなる確率が一般流通本よりも格段に高く、だからこそ出会いそのものが尊い。午後五時、大阪環状線大阪駅から福島駅へ。「街かど屋福島店」で夕飯。チキン南蛮定食を食べる。チキンは大したことがなかったが、タルタルソースの量に幾分か驚く。

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午後六時、この日のメインイベントである『チョップリン結成20周年単独ライブ「7300days」』が開催されるABCホールに向かう。雨が酷くなっていく最中、雨のあたらないところで待機している人々の列に紛れ込む。こういう事態は想定されているのだから、喫茶室のようなスペースを設けてくれても良さそうなものだ、などと施設に対する不満を膨らませる。午後六時半、開場。チケットをもぎってもらい、中に入ると、ロビーに物販コーナーが設置されていたので覗き込む。ポストカードやステッカーなどとともにコント台本が数量限定で売られていたので、迷わず購入する(帰宅後、中身を確認したら、いわゆるシナリオ本の類ではなく、本当に印刷されたままの台本が透明な袋の中に詰め込まれていたので驚いた)。ホールへ移動し、席に着く。前から三列目の好ポジションである。

午後七時開演。午後九時過ぎ終演。

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ソフト化を予定しているため、細かい内容には触れられないが、驚きの多い公演だった。チョップリンのコントといえば、これといったカタチを持たないナンセンスな笑いのイメージがあったのだが、本公演で披露されているネタは風刺が色濃く盛り込まれていて、しかもそれがなかなかに生々しかった。特に、オープニングコント後、一発目のコントには度肝を抜かれた。かつて、大竹まことが「シティボーイズの次はチョップリンかもしれない」とコメントしていたが、その言葉がいよいよ現実味を帯びてきたように感じられた。終演後、ロビーに西野が現れた気配を感じ取りながらも、心身ともにすっかり疲れ切ってしまったので、とっとと退散する。大阪環状線で福島駅から大阪駅へ戻り、すぐさまホテルへ……戻ろうとするも、迂闊にも道に迷ってしまう。阪急の方に出なくてはならないと頭の中では理解しているのだが、阪急へと通じる道が分からない。あっちこっちを歩き回って、午後十時にようやくホテルへと戻る。大浴場で風呂に浸かり、食堂で『激レアさん』を見ながら酒を飲み、良い心持ちになりながら午後十一時ごろ就寝。

明けて七月十四日、日曜日。

午前七時起床。酒と疲れのために、よく眠れた。しばらくカプセルの中に篭って、スマホで漫画をだらだらと読みながら時間を食いつぶす。午前八時半ごろ、カプセルを出て大浴場へ。軽く湯船に浸かり、洗面所で髭を剃る。T字カミソリは何度使っても慣れない。午前九時半、ホテルをチェックアウト。連泊するので荷物は預けたまま。相変わらず天候は曇り空で、片時も油断できない状態である。カバンに折り畳み傘を潜ませて、外へ飛び出す。

午前十時、従兄弟が切り盛りしているラーメン屋「麦と麺助」で食事を取るため、店のある中津に向かう。開店時刻は午前十一時だが、既に何人かの人が並んでいたので、その列に続く。待っている間、昨晩の『オードリーのオールナイトニッポン』を聴く。午前十一時ごろ、なんとなしに後ろを振り向くと、二十人以上の行列が出来ていて、あっと驚く。もしも今から並んだとしたら、一時間といわず待たされていたことだろう。開店とともに店の中に入り、食券を買い求める。イリコそばと炙りチャーシュー丼を注文。店内はカウンター席のみで、調理場の様子が丸見えになっている。ラーメンを作る従兄弟の姿を、声をかけることなく、ただじっと眺める私。気安く声をかけられるような関係性を築いていないので、どうも微妙に距離を置いた態度を取ってしまう。そのうち、私の注文したラーメンが完成したので、従兄弟から直接手渡される。そこで彼はようやく私の存在を確認、驚きの表情で「あっ、どうも」と挨拶されたので、軽くお辞儀して返す。私の方がずっと年上なのだが、滅多に会わない間柄であるが故に、ついつい人見知りしてしまう。なんだかどうもみっともない。イリコそばは美味しかった。

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店を出ると時刻は正午。特に予定がなかったので、ふらっと梅田ロフトに立ち寄り、各フロアを眺めて回る。なんとなしに立ち寄ったスペースに【那由他】と書かれたタオルが置いてあったので、なんだこれはと手に取ってみると、さらば青春の光の名作コント『ぼったくり』をモチーフとしたグッズで驚く。よくよく見ると、そこには芸人関連の商品がまとめられており、他にも、金属バットやトム・ブラウン、風穴あけるズのグッズなどが販売されていた。しかし、それらはスルーして、最近お気に入りのコンテックスのてぬぐいタオルとベーシックなフェイスタオルを購入する。思い入れよりも実用性である。

午後一時、大阪環状線大阪駅から大阪城公園駅へ。この日のメインイベントである『シソンヌライブ[huit]』が行われるCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールへと向かう。てっきり駅から程近い場所にあるものだと思っていたのだが、けっこうな距離を歩かされる。道中、これといった施設もなく、どうもあまり利便が良くない。会場に到着すると、既に多くの客が会場のロビーで開演を待ち構えていた。どうやら、悪天候を受けて、当初の予定よりも早い時刻から開場していたらしい。他に時間を潰せるような施設もないので、苦肉の策だったのだろう。チケットをもぎってもらい、中に入ると、ロビーに物販コーナーが設けられていたのでやはり覗き込む。ステッカー、マグネット、過去公演のDVDなどが売られている中、長谷川忍が編集長を務めるZINE『混沌』の第二弾を見つけたので、これを購入する。手で触れてみると、前回に比べて紙質が少し落ちているような印象を受けた。尤も、大事なのは中身である。ホール内へ移動し、席に着く。今回の席は最前列のど真ん中。演者からも丸見えな席だったので、少なからず緊張する。

午後二時開演。午後三時四十五分終演。

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こちらもソフト化が予測されるため細かい内容には触れないが、今回は日常において人が直視し辛いアレがテーマになっているように感じられた。そのことを強く感じさせられたのが、最後のコントである。アレには驚いた。あんなにも生々しくて触れにくいテーマをコントにして、笑いへと転換してしまえるのか、と。九月にはWOWOWでも放送されるようなので、観られる環境の方には是非ともご覧いただきたい。

午後四時十五分、大阪環状線大阪城公園駅から大阪駅へと舞い戻り、再び迷子に。どうしても阪急方面へ向かう道が分からない。午後五時、ホテルでチェックインを済ませ、すぐさま東梅田にある「焼き肉ホルモン 大松」へ向かう。

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いつもの飲み仲間である通称〈鳥貴族会〉の面々で集まって、オフ会を開くためである。午後五時半、各々が集まったところで、オフ会開始。面倒臭いことに定評のある人間同士で集まって、己の知識と思想をぶつけ合いながら、面倒臭い話を延々と繰り広げる。とても楽しい。二時間の制限時間が設けられていたため、午後八時ごろに店を出る。まだ解散には早かったため、近隣の空いている店を探し回り、最終的に「ぷりんす」という名のカフェに入る。それからまた二時間以上話し込む。午後十時四十分ごろ解散。午後十一時にホテルに戻り、大浴場でひとっ風呂浴びて、食堂で『ガキ使』を見ながら酒を飲み、午前零時ごろ就寝。

七月十五日、月曜日(海の日)。

午前六時十五分、起床。例の如く、やはりなかなかカプセルから出られない。午前八時ごろ、大浴場で身を清めて髭を剃る。午前九時半、ホテルをチェックアウト。午前十時、阪急三番街のコインロッカーにキャリーバッグを預ける。御堂筋線北大阪急行)で梅田駅から千里中央駅、大阪モノレールに乗り換えて万博記念公園へ。

午前十一時ごろ、万博記念公園に到着。駅を出て、長めのスロープを下っていくと、左に巨大な太陽の塔がお目見えし、素直に感動する。何年か前にも一度訪れているにも拘わらず、この感動の気持ちは常に新鮮だ。

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この日のメインイベントは、そんな太陽の塔内部への入館である。太陽の塔は2018年3月から内部公開を開始、ホームページで事前に予約していれば誰でも入れるようになっている。但し、公開当初は予約が殺到したため、余程に早い段階でなければ入館の権利を得ることは出来なかった。とはいえ、公開開始から一年以上が経過し、その人気も今は幾らか落ち着いてしまったようで、今回の入館予約も、これといった苦労もなく、あっさりと取ることが出来た。

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正午に入館予約を取りつけていたので、それまで「EXPO'70パビリオン」で当時の万博について学んだり、青い芝生が目に優しい公園内を散策したりしながら、時間を潰す。入場料を要するにも拘らず、万博記念公園内には多くの親子連れが訪れていて、それぞれに楽しい休日を過ごしていた。事実、とても居心地の良い場所で、何度か芝生の上に寝転がりたい衝動に駆られた。もしも、自分に家族がいたならば、一度はここを訪れたいと思えるほどに心地良い。

頃合いを見計らって、太陽の塔の入場口である塔の裏側へ向かう。

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塔の根本に向かって伸びている階段を下っていくと、その先には自動ドアがあって、そこを通るとすぐさま受付が構えられている。圧倒的な存在感の建造物の根元に現代的な施設が設けられている様が、戦隊ヒーローの秘密基地を思わせて、なんだか素朴に恰好良い。事前予約者に送られるQRコードを提示し、無事に受付を済ませる。入場ゲートを抜け、奥に進むと、暗闇の中でギラギラと怪しく輝く〈地底の太陽〉がお目見えだ。

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その前で、同じく太陽の塔の内部見学に来たと思しき人々が、長い行列を成している。係員の説明によると、どうやら、これ以降のブロックには人数制限が設けられているらしく、十六人ずつしかご案内できないとのこと。入館者数を絞っているとはいえ、なかなかスムーズにはいかないようだ。他の人たちと同様、列に並ぶ。とはいえ、地底の太陽にはプロジェクションマッピングが施されていて、アヴァンギャルドなアニメーションが定期的に流れていたので、特に飽きることはなかった。順番が回って来て、係員の説明を受け乍ら奥に進むと、そこには〈生命の樹〉が! 塔の中で空に向かって伸びている生命の樹はなんともハクリョクに満ち溢れていた。

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午後一時、太陽の塔の外へ出て、近場のカフェショップ「クレープ&タピオカ ジェラフル」で噂に聞いたタピオカドリンクを飲む。油断すると喉の奥まで飛び込んでくるタピオカに恐怖を感じる。

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大阪モノレール千里中央駅まで戻り、せんちゅうパル内にあるラーメン屋「えびす家」で昼食。柚子ラーメンとギョウザのセットを食べる。柚子ラーメンの味は普通だったが、ギョウザが想像以上に美味かったので驚く。これはビールのおつまみに適役だ。

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午後二時、御堂筋線から千日前線を使って、日本橋駅へ。メロンブックスに向かい、同人誌を買い漁る。買い物を終え、午後四時ごろに御堂筋線なんば駅から梅田駅へ。「どうとんぼり神座」で夕飯にチャーシューメンを食べる。

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更に、梅田駅沿いにある「伊たこ焼 梅田本店」でたこ焼きの四種盛りを食べる。塩ガーリックと明太子マヨネーズが美味しかった。

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午後五時ごろ、キャリーバッグを回収し、バスターミナルへ。売店でお土産を購入し、無理矢理に詰め込む。午後五時半ごろ、高速バスに乗り込んで、出発。道中はradikoで『爆笑問題カーボーイ』と『オードリーのオールナイトニッポン』の聴き切れなかったパートを聴く。令和ノグソコグソが氏神5番6番に改名していて、笑った。きっと年末のメールNo.1グランプリで名前を聴くことになるだろう。

午後九時半、善通寺インターバスターミナルに戻る。すぐさま駐車場に停めていた車に乗り込み、道路へ飛び出す。高速道に乗り込み、最寄りのインターチェンジで降り、午後十時ごろに帰宅。お疲れさまでした。また冬にお会いしましょう。