土曜深夜の視聴覚室

Saturday midnight audio-visual room.

「M-1グランプリ2018」準々決勝敗退者・オススメの五組(2018年11月5日・大阪予選)

どうも菅家です。

東京予選バージョンがそこそこウケたので、大阪予選バージョンも更新する運びとなりました。これでアクセス数が伸びなかったら、ちょっと寂しいかもしれません。嘘ですが。M-1勝戦の日まで、ゆるーくぬるーくお楽しみください。ちなみに東京予選バージョンはこちら。

正直、独自性の強いコンビが多かった東京予選に比べて、大阪予選は悪い意味での漫才の堅さが目立っていた印象があります。安定して面白いんだけど、パンチが足りないというか。そのため、五組を選んでおりますが、ドカンと爆発するような面白さはなかったかしらんと。というわけで、以下は来年もうちょっとトバしてくれると嬉しいような、そんな五組であります。ご賞味ください。

ロングコートダディ

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。堂前透(左)と兎(右)によって2009年に結成。コンビ名は兎がロングコートを着たおじさんを見かけて思いついたという。ちなみに、兎という名前は「本名がダサいから」という理由でつけられた芸名である。三回戦「忍者の飼いかた」準々決勝「シンデレラっぽい話」。「家で忍者を飼っている」「家族がダンスパーティに出かけ、招待状を貰っていない自分だけ家に残っている」などのように、あまりにも突飛だが妙に筋道の立っている話を繰り広げる堂前に対し、それを否定せずに「マジで!? めっちゃええやん!」と完全に受け入れてしまう兎というコンビとしての関係性が良い。金属バット、Aマッソ等に通じる、浮世離れしたヘンテコ世界の幕開けだ。とはいえ、きちんと随所に絶妙なボケが散りばめられていて、マメに笑えるのがとても嬉しい。タキシードに関するくだりは全て好き。

 

ヒガシ逢ウサカ

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。高見雄登(右)と今井将人(左)によって2010年に結成。コンビ名は高見の出身地「東大阪」と今井の出身地滋賀県大津市にある地名「逢坂」を掛け合わせたもの。三回戦「ヘンなヤツを見た」準々決勝「ヘンなヤツを見た」。最初は、スキンヘッドの今井がボケで、スーツの高見がツッコミのように見える。事実、序盤のやり取りでは、今井の方が素っ頓狂なことを言っているし、それを高見が適切にツッコんでいる。ところが、高見が見かけたという「ヘンな人」の話が始まった途端に、事態は急変する。明らかに話の内容がヤバい。ただヤバいのではない。先程までボケを冷静にツッコんでいた人がヤバいのである。しかも、当然のことのように、しれっと話してみせるのである。これはもう、ただごとではないぐらいにヤバい。しかし、そのヤバさとともに、得も言われぬ笑いがどっと押し寄せてくる。今はまだヤバさが勝っているが、笑いの方が多くなったとき、このコンビはスゴいことになるかもしれない。

 

プリマ旦那

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。野村尚平(右)と河野良祐(左)によって2008年に結成。野村は高校生の頃に“デロリ庵”というコンビでM-1甲子園2006に出場、決勝進出を果たしている。三回戦「友達をつくろう」準々決勝「子どもは大変」。話芸という点においては、もはや完成されているといってもいいのではないだろうか。どうでもいいようなことに引っかかって、ボヤキの口調でくどくどと話し続ける野村と、そのリズムを崩さないアクセントとしてのツッコミを適切に投げ込む河野によるオーソドックスなしゃべくり漫才。しかし、準々決勝において、そのボヤキがピタッと止まってしまった瞬間……じわっとした静寂の、なんともいえない面白さ。これもまた良い。復活後のM-1では一度も準決勝戦に進出できていないが、来年あたり、そろそろまた……。

 

ジソンシン

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。酒井孝太(右)と下村啓太(左)によって2013年に結成。コンビ名は酒井の元相方であるヘンダーソンの中村によって付けられた。三回戦「休んだ友達の家にプリントを届ける」準々決勝「おるすばん」。三回戦、準々決勝、ともに酒井が演じている小学生のキャラクターが絶妙。ただ、単に小学生を演じているだけではなく、そういうヘンテコなことを喋る小学生が実際にいるのではないか……と、そんな風に思わせてくれるような、適度なラインを突いてくる。準々決勝戦、掛かってきた電話の相手をデブと決めつけるくだりなど、とても子どもらしい。また、そんな子どもらしいキャラクターを、三十歳とは思えない老け顔で渋いスーツを着こなした酒井が演じているのが、実にたまらない。その井出達で、いちいち笑顔で「ぼくはさかいこうた」と応対する、なんともいえない面白さ。今後の進展がとても気になるコンビだ。

 

【ミルクボーイ】

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。駒場孝(左)と内海崇(右)によって2007年に結成。大阪芸術大学落語研究会出身。今年四月より大阪市天王寺区住みます芸人に就任。三回戦「SASUKE」準々決勝「SASUKE・玉せん」駒場が母親の好きな番組のタイトルが思い出せないというので、母親の証言ヒントを元に内海が正解を出そうとする。16年大会での『田舎に住みたい』、17年大会での『叔父』と同様、ネタのテーマに対する「あるあるネタ」と「なしなしネタ(からのテーマについての説明)」を交互に繰り出すことで、テーマに対する底意地の悪いイメージを表出する手法の漫才である。直にテーマを攻撃するのではなく、あくまで解説するために結果として厳しいことを言ってしまう、という遣り口がとても性格が悪い。でも、そのおかげで、見ているこちらも自らの中にある性格の悪さを感じつつ、気兼ねなく笑える。有難いことである。こういうスタイルの笑いは、同じTBS系列の番組を手掛けている藤井健太郎に通じるところがあるように思うので、どっかで上手く繋がってくれないものかと思わなくもない。

この他、Dr.ハインリッヒありんくりん、丸亀じゃんご、ダブルヒガシ、ガーベラガーデン、セルライトスパさや香 が面白かったです。Dr.ハインリッヒに関しては、「青春ゾンビ」さんが記事に書いているので、そちらを読まれるとどのような漫才だったか非常に理解しやすいのではないかと思われます。ことによると、私たちは誰しもが、何も失っていないのに何かを取り戻そうとしてるような気がする。

以下、準々決勝(大阪)のネタまとめ。

ラニーノーズ「公共のトイレの何がいいの?」
黒帯「演技力を確認する筈が…」
バッドナイス「親孝行ってなんだろう?」
ロングコートダディ「シンデレラっぽい話」
絶対的7%「美容室でやらかしたことを懺悔する」
Dr.ハインリッヒ「トンネルを抜けると、そこは…」
もも「見た目に反して、嫌いなもの好きなもの」
てんしとあくま「リズムくった「こだわりのメロンパン」」
ラフ次元「電車内でマナーの悪い高校生(ウマいこと言いあい)」
【準】金属バット「漫才師は立ち仕事」
マルセイユ「創作絵本(文と挿絵)」
【準】ニッポンの社長「最終面接」
ヒガシ逢ウサカ「ヘンなヤツを見た」
【準】マユリカ「お祭りデート」
ありんくりん「道に迷っている外国人を案内する」
ツートライブ「出前を頼もう」
【決】見取り図「盛山をコーディネイト」
藤崎マーケット「三途の川ワタル」
【決】かまいたち「言い間違いを認めない」
【決】ジャルジャル「国名わけっこ」
武者武者「ショップ店員の練習」
プリマ旦那「子どもは大変」
丸亀じゃんご「小学校の終わりの会」
祇園「卒業式終わりの第二ボタン」
アインシュタイン「しゃくれている割には…・早口言葉」
ダブルヒガシ「はないちもんめ」
【準】たくろう「人間ドック」
【決】ギャロップ「合コンの代理」
トット「この中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」
ガーベラガーデン「学校vs塾」
学天即「年を感じるとき・メタリックボディ」
【決】霜降り明星「情報番組」
モンスターエンジン「おっさんのエキストラ」
ジソンシン「おるすばん」
セルライトスパ「相手が思い浮かべていることを三回質問して当てる」
さや香「合コンで知り合った両親」
吉田たち「犬を飼いたい・ケルベロスを飼う」
【準】ミキ「新婚旅行の計画」
ミルクボーイ「SASUKE・玉せん」
【準】からし蓮根「新入りの囚人に優しくしたい」
【準】アキナ「山登りのガイド」
【決】和牛「私と仕事、どっちが大事?」
【決】スーパーマラドーナ「借金取りの電話」