白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

俺は今日もメシ喰って出かけるぜ!!!

エレファントカシマシの新曲を聴いて、スッ転がった。なんだこれ!

中学生だった頃、エレファントカシマシがテレビ番組で『武蔵野』を歌っているのを見た日から、少なくとも去年ぐらいまで、彼らに対するイメージは一貫していた。上手く言葉には出来ない。「日本語ロック」だとか、「粗野で荒くれたロックンローラー」だとか、「日本文学と和ロックの融合」だとか、どんな言葉にしても嘘くさくなる。だが、自分の中で、エレファントカシマシ(=宮本浩次)に対するイメージは固定されていた。そして時に、新曲を耳にした時などに、「ああ、エレカシだよね」なんて冷笑的にスカした感想をこぼしたりもした。そうそう、これはいつものエレカシだ、確固たる不朽のスタイルだ、などというように。

ところがコレだ。なんだコレは。らしからぬリズム、らしからぬアレンジ。なにより、らしからぬメロコアバンドのような疾走感。近年、特に「さあ がんばろうぜ!」と観客に呼びかける『俺たちの明日』以降、エレカシは完全に年相応のロックバンドに成り上がっていた。その言葉には歳月の重みが宿っていた。この曲でもその姿勢は変わらない。ただ、その言葉はずっと、活力にあふれている。「偶然とノリと思いつきでさあ飛び出せ」というフレーズのなんと力強きこと。「未来こそ俺の本領 無邪気な今日の俺懐かしむだろう」というフレーズのなんときらびやかなこと。そこには、いつも通りのように、いつもとはまったく違っているエレファントカシマシの音楽があった。なんだこれ!

こういう歌を聴きながら、がむしゃらに街を駆け出したい夜がいつか来るだろう。