白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「第十九回 東京03単独公演「自己泥酔」ライブビューイング」(2017年9月23日・高松)

東京03の単独公演「自己泥酔」追加公演が全国の映画館でライブビューイングされるというので、観に行ってきた。

先日、岡山で生の本公演を鑑賞したばかりだったが、追加公演ではお馴染みの“特別公演”も上映されるというのであれば、行かないわけにはいかないだろう。それにしても、全国二十四ヶ所の映画館で上映されるというのは、なかなかの規模のように思える。飯塚悟志豊本明長によるコンビ・アルファルファに元プラスドライバーの角田晃広が新しいトリオを結成した直後に出場した、「爆笑オンエアバトル」のデビュー戦をコーフンしながら見ていた身としては、ただひたすらに感慨深い。

チケットは一週間前に購入した。ローソンチケットでのみ取り扱われているようだったので、ローソン内に配置されているマルチメディアキオスク端末Loppi”からチケットを引っ張り出した。映画館で購入するチケットとは違い、席番が何処になるのか、他の観客の入り状況はどうなのか、まったく確認できなかったのが、なんとも落ち着かない。単独ライブや演劇のチケットでは当たり前のことではあるのだが、映画を鑑賞するような心持ちで構えていると、どうにも違和感がある。事前に購入できるのは前売り券ということにして、当日に席を自由に決められるという扱いにしてもらえると有り難いのだが……難しいのかもしれない。

当日は上映の一時間前に会場へ到着した。ただ、その前に回転寿司でしたたかに食べたためか、やや胃腸が活発的になってしまって、やたらとトイレに行かされたのには参った。やや記憶が不確かではあるが、開始までの一時間のうちに四度ほどトイレに突入したように思う。結果、劇場に入ったのは、上映直前となってしまった。事前に飯塚氏が「イオンシネマ高松東の集客数が良くない」とツイートしていたが、実際の劇場は三分の一ぐらい埋まっていた。……これを多いと感じてしまうのは、私が「タイタンシネマライブ(高知)」の観客の少なさを体感しているからなのだろうか。スクリーンには、現地の会場での客席の様子が撮影されていた。観客同士の会話と思しき声が時たま聞こえてきたのが、なにやら生々しく、まるで現地にいるような感覚を覚えた。

午後六時半開演。一応、ソフト化されるまではネタバレを控えたいと思っているので、内容が分からない程度に出来事を箇条書きにする。

  • オープニングコントでいきなり角田が噛む
  • 角田のアドリブのくだりが今回は意外と短め
  • (むしろ岡山公演でメチャクチャ羽を伸ばしてたってことか)
  • 東京の観客は幕間映像にも拍手するのか……!
  • 一部の幕間映像のウケが良くなかった。
  • 爆笑するような内容ではないけれど、しかし笑い声が皆無とは。
  • 最後のコントの飯塚の台詞にうっすらと違和感を覚える。
  • あそこで角田に言及する流れになるには少し展開が足りない気が。
  • 名言っぽいことを言ってのけるくだりも説明が足りなくて唐突なような。
  • 面白かったんだけれどね。

全てのコントが終了し、エンドロールが流れ切ったところで、特別公演「ショートコントを考える。~ライブビューイングの為にも~」の開始。これもDVDに収録されるようなので、細かい話は出来ないが、披露されたショートコントがどれもこれも必要以上の味わい深さが滲み出ていた。しっかりと地に足ついたコントを生業としている東京03には、いい意味での軽やかさを出すのは逆に難しいのかもしれない。その一方で、バカリズムと豊本が二人で考えたというショートコントが、いわゆるショートコントらしい内容でとても面白かった。「ウケなければ(DVDで)カットしてもらおう」と話していたが、是非とも入れていただきたい。あと、前回の特別公演で演っていた角田の歌オチのショートコントが今回も披露されたのだが、まるで揺らぐことなく変わらない面白さだった。あのスタイルが最も東京03らしさを集約したフォーマットといえるのかもしれない。

午後九時十五分終演。ほんの数週間前にまったく同じ内容のコントを鑑賞したばかりだったのだが、嘘偽りなく本当に心の底から楽しめた。ライブでは確認し辛い、ちょっとした表情の変化(主に角田の演技)や台詞をきちんと確認できたのが、とても良かった。出来ることならば、来年以降も続けてもらいたいのだが……今回の結果次第だろうな……。