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「ベストネタシリーズ バイきんぐ」(2017年8月23日)

ベストネタシリーズ バイきんぐ [DVD]

ベストネタシリーズ バイきんぐ [DVD]

 

キングオブコント2012」王者・バイきんぐが2012年から2016年の間にリリースしたDVDからセレクトされた、十四本の珠玉のコントを収録したベストセレクション。収録内容は以下の通り。

◆本編【65分】(カッコ内は収録元のDVDタイトル)

「卒業生」(「King」)

「オーダー」(単独ライブ「ハート」)

「マキガミ」(単独ライブ「クィーン」)

「処方せん」(「King」)

「クイズ」(単独ライブ「ハート」)

「ポイントカード」(単独ライブ「エース」)

「これを…」(単独ライブ「Jack」)

「BAR」(単独ライブ「エース」)

「交通量調査」(「King」)

「アパート」(単独ライブ「Jack」)

「コンビニ」(単独ライブ「Jack」)

「殺人現場」(単独ライブ「Jack」)

「セールスマン」(「King」)

「帰省」(「King」)

彼らの出世作である『卒業生』と『帰省』で挟み込んだ構成が味わい深い。

収録されているコントは、2012年にリリースされたベストライブ「King」からのネタが多い。既出のベスト盤に収録されている作品を中心に収録しているベスト盤というのは、どのようにしてアイデンティティが保たれるものなのだろうか……と思わなくもない。まあ、そこに文句を言い始めたら、今後レビューする予定のアレはどうなるんだという話になるので、あまり深くは考えない方が良いのだろう。面白いことには変わりないわけだし……。

通常の単独ライブからは「Jack」(2014年リリース)のネタが多く選ばれている。事実、数々の名作コントが演じられた傑作と呼ぶに相応しい公演なので、納得のチョイスといえるだろう(私も過去に「SHOW COM」の連載で「Jack」を取り上げている)。それらの中でも、小峠の住んでいるアパートの部屋に前の住人だった西村が押し掛けてくる『アパート』と、殺人事件現場となった部屋の環境の良さに刑事・西村のテンションが上がり始める『殺人現場』が選ばれていることが嬉しい。クレイジーなキャラクターが注目され始めた、西村瑞樹の狂気的な演技がギラギラと光り輝いている。

また、一つの発見として、それぞれの年代のコントを合わせて視聴することで、「King」の頃の小峠英二が今よりもずっとパッションに満ち溢れたツッコミを繰り出していることに気付かされた。「キングオブコント」での優勝直後、まだまだ世間には山のものとも海のものとも分からないコンビだったバイきんぐ。そんな状況を打破して、更なる高みを目指してやろうという気持ちが、小峠の演技に強く表れていたのだろうか。その意味では、今の小峠のツッコミは、ちょっと無理矢理に絞り出しているような印象を受ける。無理にキャラクターを演じようとせずに、もっと自らの現状に適した人物を演じるように変化すべき時期が来ているのかもしれない。もう、そろそろ「なんて日だ!」を超えていかなくては……。

とりあえずバイきんぐのコントを見てみようという人にとって、本作は最適といえるだろう。彼らの出世作『卒業生』『帰省』は入っているし、西村のヤバさが表出している『アパート』『殺人現場』もあるし、本来ならばツッコミであるべき小峠が西村と一緒にはしゃいでしまう変化球のコント『コンビニ』もある。ただ、彼らの単独ライブには欠かすことの出来ない、二人が遊びに出かける様子を撮影した幕間映像「はじめての○○」が入っていないことだけが惜しい。全力で楽しむために計画を立てる西村と、そんな西村に呆れながらもちょっとずつ楽しくなっていく小峠の、コントでは見られないほのぼのとした関係性が見られないというのは、なにやら画竜点睛を欠く。だからこそ、本作を鑑賞して、彼らのことをもっと知りたいと感じたならば、絶対に単独ライブを観ていただきたい。そうすれば、もっと濃厚で、バカバカしく、親しみやすい彼らの姿を見つけることが出来るだろう。

ちなみに、バイきんぐは10月に最新作をリリースする予定だ。

バイきんぐ単独ライブ「クローバー」 [DVD]

バイきんぐ単独ライブ「クローバー」 [DVD]

 

特典映像「はじめての西村プロデュース キャンプ」がとても気になる。