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土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

「日本エレキテル連合単独公演「電氣ノ社~掛けまくも畏き電荷の大前~」」(2016年12月21日)

2016年7月14日から17日にかけてシアターサンモール(東京)、同年9月1日から4日にかけてABCホール(大阪)で開催された単独公演を収録。日本エレキテル連合の単独公演がソフト化されるのは、2015年12月にリリースされた『日本エレキテル連合単独公演「死電区間」』以来、およそ一年ぶり。今回、彼女たちは“日本の神様”というテーマの元に、「イザナキとイザナミの国産み」「天岩戸伝説」「因幡の白兎」などの神話をモチーフとしたコントを披露している。コンテンツリーグのサイトに掲載されているインタビューによると、「中野:私たちがいろいろなキャラクターを生み出すこともするし、キャラクターをネタの中で殺しちゃったりもするので、たくさんのファンの方から「神様とやってることが一緒だ」と言っていただいて。それなら神様をテーマにしてみよう」という経緯によるものらしい。どんなファンだ。

本編で演じられているコントは、基本的にシンプルな作りとなっている。海に向かって矛をかき回しているイザナキとイザナミのやりとりが男女のマンネリ化した性行為を思わせる『国産み』、愛する男に様々な方法で殺されようとしている女がそれでも何度も蘇生して立ち上がる『ハチマタノオンナ』、大衆の面前になかなか姿を見せようとしない卑弥呼さまに起きた事件とは『真島吉三』……いずれのコントも、序盤に表明された設定が、これといった捻りを加えられることなく最後まで演じられている。それなのに、それらのコントがきちんと魅力的に感じられるのは、彼女たちの表現力によるところが大きい。コント的にデフォルメされたメイクを施した中野聡子橋本小雪の二人が、激情の演技によって演じることで、そのあまりにもシンプル過ぎるコントは、きちんとした“日本エレキテル連合のコント”に仕上げられる。おそらく、これらのコントの台本だけを読んでみたとしても、ここまで面白くはならないだろう。ただ、個人的に一番好きなネタは、部屋にひきこもっている息子の部屋に乗り込んできた母親が、暴言を撒き散らすだけ撒き散らして去っていく『ひきこもり』。二人のひきこもり経験が反映されているのか、ネタに漂う絶妙なリアリティがたまらなかった。

これらのコントが演じられている舞台を彩るセットも、とても魅力的だ。背景は真っ白な壁面になっており、その真ん中には巨大な円が描かれている。恐らくは日の丸をイメージしているのだろう。このシンプルで美しいセットに、コントが進行していくにつれて、少しずつアイテムが加えられていく。例えば、『ひきこもり』のコントから、二羽のにわとりのオブジェが円を囲むように天井から吊るされる。これは、コントのモチーフとなっている「天岩戸伝説」における、天岩戸に引きこもった天照大神を外へ出すために鶏を集めたことを受けてのものだろう。これ以降も、雲、月、稲穂などのアイテムが加えられ、舞台を華やかに飾っていく。コントを演じている二人が、それぞれピンク色(中野)と水色(橋本)に髪を染めていることも、全体の空間作りにおいて、大きな役割を果たしている。非日常的で、まるでこの世のものとは思えない、奇妙で不可思議なステージ……この画の説得力が、日本エレキテル連合のコントをよりいっそう怪しく輝かせているのだ。

その上で、コントそのものの自由度が高まっている点も、なかなかに興味深い。しれっとコントの中で物販の宣伝をしたり、日本エレキテル連合のバラエティ耐性の無さを自虐的に笑ったり、二人の間で起こった大事件におけるお互いの言い分をぶつけ合ったり……キャラクターを身にまとった状態を維持しているとはいえ、かなり奔放な印象を受ける。それでも、確かな画の説得力によって築き上げられた、日本エレキテル連合の世界観は崩れない。実に素晴らしい。

……と、長々と曖昧な解説を書き並べてみたが、どうも言葉では彼女たちの本質的な魅力を説明しきれないような気がしてならない。なので、ここはもう、本編の幕間映像でもあるこちらのプロモーションビデオを貼ってしまおう。

これに興味を持てたなら、日エ連の世界観との相性は悪くないのかもしれない。……それにしても、完成度が高い。楽曲そのものも非常に魅力的だが、衣装、キャラクター造形、声の凄味(特に中野の声はどうやって出しているのか?)に至るまで、その表現力の高さに驚かされる。

なお、日本エレキテル連合は今年も単独公演を開催する予定である。ライブタイトルは「日本エレキテル連合単独公演『地獄コンデンサ』岩下の新生姜と共に」。2017年9月8日から10日にかけて新宿シアターモリエール(東京)、15日・16日にABCホール(大阪)、17日に東広島芸術文化ホール くらら(広島)、18日に高松festhalle(香川)、22日に日立システムズホール仙台シアターホール(宮城)、23日にいわきアリオス小劇場を回る全国ツアーを敢行することになっている。

その表現力に満ちたステージは、きっと生の舞台でこそ真髄を堪能できるものだろう。私も一度行ってみようか……。

■本編【105分】

「イザナキとイザナミの国産み」「一、国産み」「OP」「二、宮司と巫女」「J-GODS「HARAITAMAE KIYOMETAMAE」ミュージックビデオ」「天岩戸伝説」「三、ひきこもり」「因幡の白兎」「四、神と兎」「ドキュメンタリー「キトウレイコという女」」「五、ハチマタノオンナ」「ヤマタノオロチ」「六、真島吉三」「触らぬ神に祟りなし」「七、都美子と比呂美~社編~」「月読命」「どぶぬめり」「CM」「J-GODS「HARAITAMAE KIYOMETAMAE」~社編~」