白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2017年1月21日)

  • センサールマン31

「うさぎとかめ」。有名な童話のひとつ『うさぎとかめ』を競馬実況風に読み聞かせる。非現実的な童話の世界観を現実的な競馬実況のトーンで読むというギャップを軸とした漫才である。このギャップだけで、それなりに笑いが起きる程度の上手さはあるのだが、それ以外のボケにさしたる工夫が感じられない(競馬実況のネタで「ディープインパクト」「ウサイン・ボルト」は発想として手堅過ぎる)ため、笑えるけれども物足りないという残念な印象が残ってしまう。喋りに地力があるコンビだと思われるので、もっとフザケた方が良いのかもしれない。

 

  • ワールドヲーター38

「葛藤~ファイティング~」。黒縁メガネにネルシャツの裾をしっかりとジーパンに収めるという古き良き時代のオタクを彷彿とさせる見た目に無言のダンスパフォーマンスを絡めるというギャップで笑いを取るスタイル。先程のセンサールマンと同様、手法としてはあまりにもシンプル過ぎて物足りないのだが、余計な雑味が加えられていないためか、ひたすらに続く無言のパフォーマンスがじわりじわりと効いてくる。正直、声を出して、笑ってしまった場面もあった。ただ、今回のように、「眼鏡をかけている」という点だけをクローズアップしたようなパフォーマンスで止まってしまうと、先細ってしまうような気もする。これからの進展がどうなっていくのか気になるところ。

 

【ふきだまりコーナー】

インポッシブル、うしろシティえんにちオジンオズボーン、カミナリ、サンシャイン池崎、下村尚輝、すゑひろがりず、てんしとあくま、なすなかにしハリウッドザコシショウ、ばーん、プラス・マイナスが登場。「ライバルに捧げるギャグ」というテーマの元、えんにちなすなかにし、プラス・マイナスがギャグを披露した。とうとう平野ノラがいなくなってしまった。ちょっと寂しい。

 

  • イヌコネクション41

バイトの休憩」。少し早めにバイト先に来てしまったため、新人バイトの“生乾木”と気まずい時間を過ごすことに。ちょっとしたことですぐにイライラしてしまう生乾木の姿を描写したキャラクター色の強いコント。ネタの内容だけを見るとそれほど密度は高くないのだが、杉浦演じる生乾木の挙動で強引に笑わせられる。内容が薄いからこそ、キャラクターの突出性が浮き彫りになる。かつて、この番組におけるイヌコネクションといえば、ただただ気持ち悪いだけの薄ら寒いパフォーマンスを披露していた印象だったのだが、こんなにちゃんとコントで魅せられるコンビだとは思わなかった。彼らが変わったのか、それとも元から素質があったのか。いずれにせよ、認識を改めなくてはならないだろう。イヤホンのケーブルを引きちぎろうとする様、ビニールを剥がせずに思わず叩き割ろうとしてしまう様、その全てが危うく、面白かった。お見事。

 

  • ペコリーノ【21】

「M」。一週勝ち抜き。マゾヒストの恋人が「イヤなことをされたいのに、イヤなことをされているとイイと思ってしまうから、私の脳がイイって感じる前にやめて!」と面倒臭い要望を押し付けてくる。冒頭、クロコダイル ミユが植木おでんの素足を舐めるという画の異様さで、すっかり気持ちが引いてしまった観客を引き戻しきれなかったという印象(どうでもいいけど、個人の芸名どうなってんだよ)。ただ、ネタそのものは悪くなかった。イヤなことをされると快感を覚えてしまうから「イヤなこと=イイこと」になってしまうマゾヒストの葛藤を描く……という着眼点は、とても面白かった。とはいえ、その感覚は共感されるにはあまりにもややこしくて、最後まで説明で終わってしまった気もする。その上で、更にもう一歩踏み込んだモノがあれば、もう少し結果が違っていたかもしれない。

 

【今週のふきだまり芸人】

うしろシティ「ゲームセンター」

オジンオズボーン元気玉

サンシャイン池崎「人間ポンプ」

 

次回の出場者は、イヌコネクション(一週勝ち抜き)、うしろシティ、センサールマン(一週勝ち抜き)、ワールドヲーター(一週勝ち抜き)。