白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年12月24日)

アイデンティティ「医者」【36】

アナクロニスティック「男女交際解説」【29】

ロビンソンズ「説得」【31】

手賀沼ジュン「回文演歌」【23】

ジグザグジギー「喫茶店(ジャムトースト)」【30】

インポッシブル「ムテキマン」【40】

しゃもじ 「ですけど」【46

マツモトクラブ 「加藤さん(ハデなパンツ)」【25】

はなしょー「体育の後」【23】

ヤーレンズ「ジム」【15】

サイクロンZ「歌ハメシチュエーション」【27】

ネルソンズ「同姓同名」【40】

 

【今週のふきだまり芸人】

ハリウッドザコシショウ「誇張しすぎたパッション屋良

本当は一組ずつ感想文を書くつもりだったのだが、年が明けて完全にモチベーションが失われてしまったため、ざっくりとまとめる。満を持してのチャンピオン大会だが、十二組のネタを一度に放送するのは時間的に無理があると考えたのか、通常回よりも短い二分間のパフォーマンスで競い合っていた。以前、通常回の枠で前後編に分けてチャンピオン大会が行われたとき、「どうしてまとめて放送しないのか」と批判した記憶があるが、だからといって、短くして強引にまとめればいいというものではないだろう。帯に短しタスキに長し、とはよく言ったものである。

ネタ時間の短縮により、普段よりも持ち味を出し切れていない芸人が少なくなかった中で、しっかりと面白いネタを演じていたのは、ロビンソンズ、手賀沼ジュン、インポッシブル。とりわけインポッシブルは素晴らしかった。「ムテキマン」という番組のインパクトの強さばかりが頭に残るが、そもそもの残業で疲れているサラリーマンがテレビを点け、そこで放送されている番組の内容の破天荒ぶりにツッコミを入れる……というディティールの細かさがたまらない。単純の中にこだわりがある。いいコンビだと、改めて思った。あと、ネルソンズも良かった。ただ単に芸能人との同姓同名で嘆いている人を描くのではなく、そこに密かな憧れを垣間見せるという複雑な精神性を描く。この一筋縄ではいかないところが実にいい。

そんな実力者たちの中から、頭一つ抜きん出たのがしゃもじ。リアルタイムで視聴しているときは、正直言ってピンとこなかったのだが、後々になって、最後の台詞からなんともいえない清涼感を覚えたような気がしてきた。つまり、あの瞬間、あのキャラクターは、単なるコント内のキャラクターを突き抜けてしまったのだ。メタ視点を見せることで、ネタの枠を超越してしまったのだ。それが、なんだかとても、たまらなく清々しかったのだ。

というわけで、結果に対してはさほど不満を抱いていないのだが、それにしてもヤーレンズの点数には驚いた。面白かったけどなあ……。