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土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

「映像コントアワード2016」の件について。

どうも、菅家しのぶです。

クリスマスイブという全国のラブホテルの全部屋がソールドアウトになるような日に、このような場末のブログを見に来るような暇人もそうはいないだろうと思いますが、ご報告させていただきます。

先日、某所で開催された【映像コントアワード2016】におきまして、受賞作品に解説文を寄稿させていただきました。同賞は、デジタルコンテンツに特化したお笑いカンパニーであるCarrot Inc.が設立したもので、映像コントの普及と発展を目的としております。私は選考には携わっておらず、事前に選ばれた作品にコメントを付け加えるというカタチでの参加となりました。

正直、選ばれた作品は玉石混交といった印象で、素直に「面白い!」と感じた作品がある一方で、「これはどういう意図で作られた作品なのだろう……?」と本気で頭を抱えた作品もありました。ですが、まだまだ色々な点が未熟な分野に対して、そのやる気を粉砕しかねない批判をブチかますというのは酷だろうということで、かなり優しめの解説文となっております。

今後、この分野がどのように発展していくことになるかは分かりません。ひょっとすると、これといった爪痕も残すことなく、分野そのものが消滅してしまう可能性もあります。ですが、スマホの普及で以前よりもずっと身近になった動画配信の世界において、テレビや舞台の映像とは一線を画した動画配信ならではお笑い表現が生み出される可能性もあります。今回の寄稿は、その可能性に対する期待感によるものです。……早めにいっちょ噛みしておけば、発展した時に何かオコボレが貰えるかもしれないじゃないですか!(みっともない)

以下、その動画と解説文となっております。その作品の出来と解説の苦悶を各自でご確認いただけますと幸いです。

 

 

【最優秀作品賞】

映像コントとして総合的に優れた最優秀作品に贈られる賞。

 

◆本当のクリエイティブとは?/neenu

「眠っているクリエイティブな才能を開花してくれるセミナー」という設定の元に繰り広げられる大喜利大会。面白い切り口から生まれる回答とお互いの発想を称賛し合う内輪感がなかなか面白い。

 

 

【優秀作品賞】

映像コントとして総合的に優れた作品に贈られる賞。

 

◆バーベキュー/Mr.Party

バーベキュー会場を舞台に繰り広げられるボケの無差別放射。それぞれのボケにツッコミが入らないので、ボケに漂う違和感を素材のままに楽しむことが出来る。ただ、それ故に、見る人を選ぶ作品だろう。

 

 

◆野球出身のキックボクサー田中摩沙斗の試合が野球過ぎる/月出日達

野球と格闘技を掛け合わせる発想もさることながら、掛け合わせたことによって生じる歪みを上手く笑いに昇華できている。特に、かなり唐突に繰り出される盗塁のくだりは、画のバカバカしさもあって大笑いしてしまった。なんだよ、あのキレ味鋭いスライディングは。途中、中だるみする場面もあるが、良作だ。

 

 

【映像賞】

映像効果をお笑いに昇華した秀作に贈られる賞。

 

◆イメージ編集/neenu 

実際のインタビュイーの発言とそれを受けてインタビュアーが頭の中で思い描いている想像上の完成記事を照らし合わせることで、生じる差異を笑いに昇華している作品である。インタビュイーのあまりにもドイヒーな発言の数々をインタビュアーがなんとか記事として成立させようとしている、その苦労を想像するだけで同情の念を禁じ得ない……が、それがまた面白い。

 

 

【コンテクスト賞】

現代またはグローバルな事象への批評をお笑いに昇華した秀作に贈られる賞。

 

◆ポックリー/Mr.Party 

「驚くほど簡単に安楽死させられる」ことが売りの薬を注射されているにもかかわらず、何故かまったく死なない老人を様々な方法で弱らせて、なんとか“安楽死”へ導こうと奮闘する様を描いた不条理作品。一見、単なる暴力映像だが、どんなに痛めつけられても立ち上がり続ける老人の姿は、今もなお着実に伸び続けている平均寿命がもたらす長寿への不安を表しているようにも思える。果たして、これから続いていくであろう長い人生の果てに、私たちは安らかな死を迎えることが出来るのか……。

 

 

【お笑い賞】

お笑いとして本質的な面白みのある秀作に贈られる賞。

 

◆野球拳??/笑うポーカーフェイス

正直、展開は読める。唐突に始まった野球拳の説明、実践、服を脱ぐことで思わぬ事実が明らかになる。とても分かりやすい。しかし、そのプロセスを的確かつ丁寧に描いているので、その間とリズムでまんまと笑わせられてしまう。「笑わせよう」という確かな意志が感じられる、満足度の高い作品だ。

 

 

【ドラマ賞】

ドラマ性をお笑いに昇華した秀作に贈られる賞。

 

◆パパはサンタクロース/Mr.Party

クリスマスの夜、五年前に別れた夫がサンタクロースの恰好をして現れた……そんなドラマチックなシチュエーションが思わぬ事態を招いてしまう、ホームコメディの趣が強い作品。全てが明らかになるくだりの肩透かし感もまた楽しい。

 

 

【名演賞】

キャラクターの作り込みおよび優れた演技の出演者に贈られる賞。

 

◆おすすめのソファ(販売員役)/Mr.Party

とあるアンティークショップを訪れたカップルが、ふと興味を抱いた高級感漂うソファに使われている皮は、なんと……という驚きとナンセンスで構築された作品である。販売員を演じている役者の落ち着いた語り口が、あやふやで不確かな台本の面白さを上手く引き出している。

 

 

【ショート作品賞】

映像ショートコントとして総合的に優れた秀作に贈られる賞。

 

◆清潔スナイパー/藤井翔太

シンプル。とにかくシンプル。揺るぎない。揺れようがない。手作り感のある粗めの映像とキレ味の鋭い編集によって生み出された不条理感が、奇妙な後味を残している。

 

 

【特別賞】

これまでの枠組みにはない秀作に贈られる賞。

 

◆パントマイムと黒衣でアクションあるあるしてみた/maimuima

これは面白い! シンプルな機材と黒子だけを使って、アクション映画にありがちなシーンを再現しようという試みだ。カメラアングルを意識した動きと小道具の使い方がとても上手で、その再現性の高さに目を見張った。途中、アクションの域を超え、漫画的になるのも楽しい。