白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「三遊亭小遊三独演会」(2016年12月7日)

前座:三遊亭遊里「平林」

三遊亭小遊三「鮑のし」

 仲入り

鏡味初音「太神楽」

三遊亭小遊三「らくだ」

「市民会館川之江会館」にて鑑賞。午後六時半開演。

少し遅刻してしまったため、ホールに入った時点で既に前座の遊里さんが『平林』を演じていた。前座噺を軽快に乗りこなしていて、最初から聴けなかったことが残念でならない。続いては、今回の主役である小遊三師匠。立川談志との思い出話を皮切りに「笑点」にまつわるエピソードをつづったマクラから、祝儀に持参した鮑が騒動を招く『鮑のし』へ。人生ついでに生きているような甚兵衛さんの能天気な様もさることながら、威勢のいい魚屋の親分が気持ちいい。小遊三師匠はこういうザ・江戸っ子なキャラクターがしっくりくるよな。オチは「笑点」寄りにアレンジ。しかし、逆に分かり辛くなってしまっていたような……。

仲入りを挟んで、鏡味初音さんによる太神楽。女性の方が一人でやっているのを見るのは初めてだ。やっぱりナマで見ると迫力が違うな。後ろの方の席に座っちゃったから、臨場感はなかったけど。そして再び小遊三師匠、酒にまつわる話から『らくだ』へ。個人的に『らくだ』という噺は陰惨な空気がどうも苦手なのだが、師匠の場合は軽やかで飲み込みやすかった。屑屋の久さんも何処か呑気で、しかし、それでいて終盤の展開はやはりスリリングで、面白かった。