白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年10月29日)

「将棋解説」。「合コンの帰り道、やっと二人きりになれたね」からの状況を将棋盤で解説する。男女の交際を将棋のシステムで解説するという設定の斬新さが面白味を引き出しているが、あくまでビジュアル的なインパクトを残しているだけで、「手」「犬」「映」などの駒がどうしてその場所に置かれるのかという考察にまでは至っていないため、ネタに奥行きがない。また、男が女を誘う手段もありがちで、遊び要素が足りないのも気になる点ではある(しいていえば「寅」がそうだったのかもしれない)。次回予告によれば、また同様のフォーマットを使ったネタをやるようなので、そこで更なる進展がなされているのかを確認したい。

 

「回文ハードロック」。一週勝ち抜き。ハードロック調の曲に合わせて回文。回文のクオリティは前回よりも低め。ただ、今回は芸能ネタに特化していたので、むしろ分かりやすさを重視した結果といえるのかもしれない。個人的に笑ったのは、数々のアイドルに関する回文を出した後で、「キスマイが今好き」という回文をぶち込んだところ。ある種のアイドルファンの薄情さをここまでストレートに捻りなく回文で表現したのは見事だった。また、曲調がハードロックになったことで、キレ味のある印象になったのも良かった。回文ネタは基本的に「面白さ」より「感心」だから、パッと見て笑えるくらいが丁度良い。

 

【ふきだまりコーナー】

アイロンヘッド、イヌコネクション、インポッシブル、勝又:、ジグザグジギー、助走、ハナコ、はなしょー、ハブサービス、平野ノラ、マツモトクラブ、むらせ、トンツカタンが登場。「ハロウィンパーティーで盛り上がりそうなギャグ」というテーマの元、澤部佑を筆頭に、ジグザグジギー、はなしょー、ハブサービス(両方下半身)がギャグを披露した。……でも、それよりも、両津勘吉の恰好になっていたインポッシブル蛭川が気になった。どういうネタをやるつもりなのだろう。

 

  • ロビンソンズ33

「ダサい」。二週勝ち抜き。ブスな自分を好きになってくれた男性のセンスが究極にダサい。山崎の言動に対して北澤が激しい嫌悪感を示す姿が笑いになっているのだが、フリとなっている山崎がスマートなイケメンなので、そのダサさにさしたる説得力を感じない。まあ、だからこそ、山崎ではなく、ダサい言動がクローズアップされているといえるのかもしれない。ただ、その言動もありがちなものが多く、ボケの領域に達しているように思えなかった。結果として、残るのはブスの北澤がダサいとされる接待を受けて困惑するだけの、独り相撲である。……どうも、ロビンソンズのネタは「ブスの自意識」を土台にした笑いが多すぎる。それはそれで笑えないことはないが、その内面にまで立ち入らず、美味しい所だけを持っていくようなスタイルはやはり好きになれない。……今回、披露されなかっただけで、それ以外のネタもあるのだろうか。あってほしいなあ。三週連続勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定!

 

  • のばしぼん【26】

「身長」。一週勝ち抜き。一般的な女性よりも背が低いことがコンプレックスな篠原に、若林が様々な工夫を提案する。面白かった。前回の漫才は少し内容がごちゃごちゃしていて見辛かったが、今回は「篠原が低身長を理由にフラれる→背の高さコンプレックス」までの流れが明確になっていて、不快感を覚えることなく楽しめた。内容も良かった。身長差をごまかすために遠近法を駆使したり、ジャンプして同じ高さだと主張したり、舞台を広く使った面白い漫才になっていた。最後の笑い合うくだりまで、ほぼ完ぺきな出来だと思っていたのだが、まさか敗北を喫することになろうとは。内村と土田が観客に「笑ってたじゃん!」と抗議していたが、今回に関しては、本当に意味が分からなかった。オードリーっぽいオチがいけなかったのだろうか……。

 

【今週のふきだまり芸人】

トンツカタン「台風情報」

アイロンヘッド「悲しんではいるけど声の張りが弱いヤツ」

 

次回の出場者は、アナクロニスティック(一週勝ち抜き)、勝又:、ジグザグジギー手賀沼ジュン(二週勝ち抜き)。