白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年10月22日)

  • ロビンソンズ44

「電車」。一週勝ち抜き。電車の中、ケータイで話しているチンピラを注意したら、「黙ってろよ! 静かにしていたらいい女なんだからよー!」と言われて……。とどのつまりは「話とは無関係な流れで見た目を褒められたブスが戸惑う」コントである。明らかにダメなモノをあえて高く評価することで笑いを取る手法は割とオーソドックスだが、こういう笑いの取り方は個人的にあまり好きではない。ブスな女性が美人と持ち上げられて「そんなわけがない!」と否定する姿が、なんだかとても悲しいからだ。加えて、終盤でチンピラがちょっといいヤツっぽい風に見せる展開も苦手である。これは単純に、私個人の倫理的感覚に基づくものだ。ただ、オチは好き。

 

「ハエ」。一週勝ち抜き。定食屋で達人らしき男がハエを箸で掴む。「キングオブコント2016」決勝戦で披露していたコントである。当時と大して感想は変わらない。後半の展開が少し違っていたが、やはりハエが大量発生するあたりからの流れが物足りない。とりわけ「達人がハエを自覚的に食べ始める」というオチがあまりにも弱すぎる。秀逸なオチをつけることはないが、なにかしらか、客が納得できる程度のオチをつけるべきだろう。

 

【ふきだまりコーナー】

アイロンヘッド、アナクロニスティック、Aマッソ、むらせ、鬼ヶ島、なすなかにし、ハルカラ、平野ノラ、ジグザグジギー、ハブサービス、プラス・マイナス、オジンオズボーンが登場。「イチロー選手が喜びそうなギャグ」というテーマの元、アナクロニスティック、ハブサービス(C3PO)、プラス・マイナスがギャグを披露した。

 

「回文演歌」。演歌のメロディに載せて、様々な回文を披露する。昔、スマートに回文ネタを披露してみせるレム色というコンビがいたが、手賀沼のパフォーマンスは逆にこってり感が強い。思うに、演歌という音楽ジャンル、手賀沼当人のビジュアル、そして落書きのようなイラストによる印象が大きいのだろう。回文に有名人を取り入れたり、やたらと長い回文を作ったり、何度も「怪人棒棒鶏」が登場したり、色々と工夫を凝らした回文を見せていたが、個人的に一番しっくりきたのは「さりげなく酷な下痢さ」からの「駄目、人おる! 音姫だ!」。思うに、回文ネタはてらいのない方が面白い。ただ、それだと、あまり印象に残らないのだろうな。

 

  • のばしぼん36

「全部しゃべります」。若林からの質問に篠原が答える形式で自己紹介。「顔がうるさい」「腕の短い格闘家」「十年かけて一センチ」など、一つ一つのボケは良かった。かなり良かった。「顔がうるさい」に関しては、もうちょっとボケを掘り下げてほしかったのだが(どういう音がしているのか、とか)、他の漫才師があまりやっていないようなタイプのボケだったように思う。ただ、最初の若林の「相方の話を聞くと言っておきながら自分の話を始める」というボケに対して、篠原が「隙が無ぇ!」といきなり少し捻った角度からのツッコミをしてきたことで、一瞬だけ観客に違和感を抱かせてしまったのは残念。こういうリズムとテンポで魅せるタイプの漫才は、微細な躓きが致命傷になるから気を付けてほしい。とはいえ、なかなか面白かったので、次回にも期待したい。

 

【今週のふきだまり芸人】

むらせ「「だけれども」が多い中田英寿」「ミハエル・シューマッハ
アイロンヘッド「トロフィーの上のヤツシリーズ」

なすなかにし「ヘビとにらみあいゲーム」

 

次回の出場者は、アナクロニスティック、手賀沼ジュン(一週勝ち抜き)、のばしぼん(一週勝ち抜き)、ロビンソンズ(二週勝ち抜き)。