白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年10月1日)

「集大成」。一週勝ち抜き。芸歴十七年の集大成を見せたいという篠宮が、「レポートロケ」「腹話術」「パントマイム」などの芸を披露する。前回と同様、篠宮が多種多様なギャグを披露し、それらに高松がツッコミを入れていくスタイルの漫才。一応、今回は「芸」に焦点を絞っているためか前回よりも全体がまとまって、幾分か見やすかった。ただ、個人的に一番笑ったのは、篠宮が芸人を辞めるように言われるラストのくだり。「辞めます、やります、芸歴一年目! 驚異の新人現る~!」。このフリーダムな感じが現状のオジンオズボーンにとっての最大の魅力である。

 

  • サイクロンZ36

「歌ハメシチュエーション」。何年か前のR-1ぐらんぷりでも披露していた、まず動きを見せて、その動きが実在する楽曲と上手くかみ合う様を見せるスタイルのパフォーマンスだ。権利の問題でソフト化されにくいネタなので、テレビで見るとちょっとだけお得感を覚えてしまうのは私だけではないだろう。ただ、今回のパフォーマンスは、以前に見たときよりも使用している楽曲の演奏時間が圧倒的に短くなっており、ちょっとだけ権利関係を意識したような印象を受けた。……いや、長短の問題ではないのかもしれないけれど。肝心の内容は相変わらず上々の出来。不思議な動きに意外な楽曲がシンクロする面白さを堪能させてもらった。特に最後の、あの五人組を起こすシチュエーションには笑った。なるほど、そういう風に繋がるのか!と。ただ、一点だけ気になったことが。……ムダ毛処理のシチュエーションで、前フリの「1、2、3、4」を忘れてなかったか。

 

【ふきだまりコーナー】

アイロンヘッド、アナクロニスティック、Aマッソ、鬼が島、むらせ、ジグザグジギー手賀沼ジュンなすなかにし、のばしぼん、ハブサービス、プラス・マイナス、ロビンソンズ、平野ノラが登場。「金メダル級のギャグ」というテーマの元、アイロンヘッド、むらせ、ハブサービスがギャグを披露した。アイロンヘッド面白かったなあ。ちなみに、この回から平野ノラがボードを持つ係に昇格するらしい。

 

  • ハルカラ31

「合コンの待ち合わせ」。合コン相手との待ち合わせ場所に到着した女性二人が、そのことを連絡せずに、こっそりと相手側の顔を伺おうと目論む。クセの強い女性の演技に(私の中で)定評があるハルカラだが、今回も魅せてくれた。とにかくクセが強い。クセが強いのに、イヤらしくない。相手方に連絡を入れずに顔をチェックしようとする女性たちの姑息さが、まったく露呈していない。このデフォルメ加減が実に素晴らしい。ネタの内容も、自然に周囲をチェックしようとして逆に不自然な動きになってしまうというオーソドックスなもので、それなのに古臭くなっていないところがいい。二人が至近距離でお互いを見つめ合うような体勢になってしまったくだりは、あまりにもバカバカしくて大笑いしてしまった。近年、他者を観察して再現するようなタイプの女性芸人が増えているなかで、その流れに寄り添いながらも、きちんとコントの本流の中にいるハルカラはもうちょっと評価されてもいいと思う。まあ、盆踊りのくだりは、流石に強引が過ぎていた気もしたが……(笑)

 

赤ずきんちゃん」。一週勝ち抜き。赤ずきんちゃんのコントを始める前に、しばらくトークを。いつもなら楢原がテーマのない奔放なトークを展開するところだが、今回は「実家」という明確なテーマが存在していたため、それをそのまま漫才にしてしまっても良かったような気がしないでもない。……とはいえ、このトーンを漫才として演じてしまうと、観客はなかなか受け入れてくれないような気もする。トークと漫才の距離を上手く埋めることが出来れば……って、最近の彼らはその作業をやっているところか。楢原の言葉遊びに満ちたボケ、それを丁寧に捌く出井のツッコミ、どちらも面白かったが、とりわけ楢原の母親からの仕送りの正体がビッグマックだと発覚したくだりには笑った。話のオチもしっかり。「なんでお母さん、俺にビックマック作ってほしいんだろう?」「ホントそうだね!」

 

【今週のふきだまり芸人】

鬼ヶ島「飲み会のゲーム」
平野ノラ「バブリーな芸能人の宣材写真モノマネ」

 

次回の出場者は、オジンオズボーン(二週勝ち抜き)、サイクロンZ(一週勝ち抜き)、ハルカラ(一週勝ち抜き)、ヤーレンズ(二週勝ち抜き)。……ハルカラの次回のネタ、どういうことになっているんだ。