白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年8月6日)

「プロポーズ」。美しい夜景の見える場所で彼女にプロポーズをしようとしている男が陰でこっそり指輪を手渡す練習をしていると、偶然にも警察官と鉢合わせになってしまい、職務質問を受けることに。序盤、男の目的を観客に提示することで、事情を知らない他の二人に振り回されるも真実を口に出来ない男の葛藤が笑いに昇華されている。最近観たヒッチコックの映画にもこんなのあったな。結果として、状況がどんどん大事へと発展していってしまうあたりも、実に喜劇的だ。やたらとクセの強いキャラクターも、コントのフィクション性を高めていて、観客が笑いやすい。マイナス点の見つからない良作だ。

 

「お寿司屋さん」。お寿司屋さんでかっぱ巻きを注文したところ、店の奥から大将がカッパと格闘しながら登場し……。小道具を駆使したコントという点だけを見ると、番組ではお馴染みとなっているスーパーニュウニュウを彷彿と。しかし、彼らほど世界観は混沌としていなかったため、複雑な気持ちになることなく素直に楽しめた(どういう意味だ!)。カッパから襲撃を受けるくだりから、スムーズにプロレスへと発展していく流れのバカバカしさがたまらない。「絶対クラッチ放しちゃダメだよ! ……伸びたー!」「2.9、2.9!」など、プロレスならではの言い回しが自然に盛り込まれていたのも良かった。次回はどういうネタになるのか、今から気になって仕方がない。

 

【ふきだまりコーナー】

天竺鼠、サイクロンZ、ゆにばーす、ハブサービス、オジンオズボーンコーヒールンバ、永野、Aマッソが登場。「夏バテも吹き飛ばす楽しいギャグ」というテーマの元、ゆにばーす、ハブサービス、サイクロンZがギャグを披露した。……ふきだまりブース、人数減ったなあ。

 

  • しゃもじ38

栄冠は君に輝く」。甲子園での試合中、うっかりボールを落としてしまい、それによってチームを逆転負けにさせてしまった男が、当時の仲間に六十年経った今でもネチネチと当て付けられている。「取る」「落とす」などのように当時の出来事を彷彿とさせるワードが当て付けのトリガーとなる、その法則性を描いたコント。ただ当て付け続けるわけではなく、見せ方を次々に変化させるあたりが上手い。「おなら」というワードからトリガーを探そうとする場面も笑ったが、「手作りの唐揚げ」での観客の意識をさらりと逸らしてからの落とし方が実に見事だった。この洗練された台本を、ちょっとゆるやかな空気を纏った彼らが演じているから、また良いんだよな。

 

 「免許」。「免許を取らずに真面目に勉強していれば東大に行けたのではないか」と後悔している田畑に対し、東大卒だが運転免許を持っていない藤本が猛反発。彼らのキャッチフレーズである「東大卒」そのものをクローズアップするのではなく、「東大卒」の価値を強引に揺らがせることで笑いを取る変化球タイプの漫才。かなり熱の入ったやりとりが行われており、察するにキングコングブラックマヨネーズのようなしゃべくり漫才をやりたいのだろう。ただ、言葉数と情報の多さが故に、そのやりとりから演技を感じてしまう。面白くないわけではないのだが、そこに入り込みにくい。「松井秀喜が言うてたけどな!!!」のように、素晴らしいパンチラインもあったのだが……。ただ、ラフレクランの例もあったので、次回に期待してみる。

 

【今週のふきだまり芸人】

 コーヒールンバ「せならを鳴らし続ける」

オジンオズボーン「オレなりの加トちゃんペ」

 

次回の出場者は、しゃもじ、田畑藤本ネルソンズローズヒップファニーファニー(全組一週勝ち抜き)。但し、来週からは、二週に渡って「チャンピオン大会」を放送する。過去に三週勝ち抜けを決めた「インディアンス」「キャラメルマシーン」「グランジ」「トンツカタン」「ななめ45°」「平野ノラ」「マツモトクラブ」「ラフレクラン」「全力じじぃ」「脳みそ夫」が登場する。