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土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

「江戸むらさきライブ「レインボーマン」」(2016年6月3日)

視聴記録

 2015年6月13日・14日にしもきた空間リバティで開催されたライブを収録。

 

“ショートコントの魔術師”の異名を持つ江戸むらさきがおよそ十二年ぶりにリリースした単独ライブDVDである。特にお笑いに関する何か大きな賞を獲ったわけでもなければ、ギャグやキャラクターで大衆の注目を集めたわけでもないのに、どうして十二年ぶりにDVDがリリースされることになったのか、その詳細は定かではない。……いや、本当に。どういういきさつなんだ。

 

前作『江戸むらさき B.M.W~BEST MEETS WORST~』はショートコントだけで構成された作品だった。一見、それはストイックな姿勢に見えるかもしれないが、当時の彼らがショートコントだけで【学園祭キング(2004年)】にまでのし上がっていったことを思えば、当然の結果といえるだろう。だからこそ、今でも「江戸むらさき=ショートコント」と認識している人が、(私も含めて)数多く存在しているのだ。

 

そのため、今回もショートコント中心の内容になるのではないかと思っていたのだが、いざ蓋を開けてみて驚いた。本作はシンプルにコント中心のラインナップとなっていたのである。……なるほど。あえてショートコントを控えることで、既存のイメージを払拭しようという魂胆か。そして事実、本作ではショートコントという時間の制限されたスタイルでは見せることの出来ない類まれなる演技力と前衛的かつ個性的な脚本力をここぞとばかりに発揮した名作コントの数々が……披露されてはいない。そんなわけがない。

 

本作で江戸むらさきの二人が披露しているコントは、ショートコントの時と同様、等身大の彼らが自然体のスタンスで演じているものばかり。まるで素の二人がそのまま舞台に上がっているかのよう。とはいっても、別に気を抜いているようには感じない。むしろ、コントだけを見ると、それなりに作り込まれている。声が小さい兄貴分の言っていることをなんとか聞き取ろうと必死になっているチンピラの奮闘ぶりを描いた『MIDORI NO ALOHA』、偶然にも会社の同僚が正義のヒーロー「レインボーマン」だと知ってしまった男が思わぬ事態に巻き込まれる『青天の霹靂』、お寿司の食べ放題なのにガツガツしなかったお互いを褒め称え合っていた二人が裏にもメニューがあったことに気が付いて……『藍井寿司』など、設定からしてコミカルなネタが連なっている。

 

ただ、その合間を縫うように、さりげないやりとりの中に、さらりと軽快で下らないボケが挟み込まれる。この軽さが江戸むらさきの味というか、魅力というか、堅苦しくない自然体の良さであるように感じられるのだ。これをあえて「いぶし銀」と表現するのは……ちょっと持ち上げ過ぎだろうか。インパクトもなければエネルギーも感じさせない適度なコントの数々、実に面白かった。

 

しかし、ひとつだけ残念だったのは、コントとコントの間に挟み込まれるようにこそっと鎮座していた『江戸むらさきのショートコント』ブロックで披露されたネタに、旧作が混ざっていたこと。そこは全編、新作であれよ! いや、『獅子舞』とか『ジェットコースター』とか『おとめ心』とか、めちゃくちゃ懐かしかったけど! あんまり懐かしくて少し目頭が熱くなったけど!

 

■本編【78分】

「MIDORI NO ALOHA」「赤牡蠣様」「青天の霹靂」「オレンジサンセット」「江戸むらさきのショートコント」「ハッピーバースデー黄昏」

 

■特典映像【9分】

「良司の達人」「ISOYAMA VS ○○○」

 

■副音声

江戸むらさき本人によるオーディオコメンタリー付き