白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「ラバーガール solo live+ 「GIRL」」(2015年6月24日)

ラバーガール solo live+「GIRL」 [DVD]
 

2015年2月10日から15日にかけて恵比寿・エコー劇場で行われたライブを収録。

後輩がなかなか育たないので、気が付けば十年くらい“人力舎、期待のホープ”と言われ続けているような気がするラバーガールと、体力も気力も抜けきっているかのような顔をしているクセにやたらと面白いナンセンスコントを量産し続けている“コント求道者”細川徹による「solo live+」シリーズ第三弾である。タイトルの通り、本作のテーマとなっているのは【女性】。様々な角度から女性を捉えたコントが演じられている。

とはいえ、そこはバカバカしいコントに定評のある三人によるコントライブなので、女性の描き方もとことんバカバカしい。というか全体的にヒドい。例えば、『おばけが出る部屋』というコントは、ポルターガイスト現象やラップ音でしか意思疎通を取ることのできない女の幽霊と恋に落ちてしまった大水に友人の飛永がドン引きする様子を描いている。一見すると、どこぞの映画のようなロマンチシズムを感じなくもないが、冒頭で大水が実際に体験した怖い話を披露するというフリがあるため、感動路線の流れにはまったく偏らない。この衝撃的な設定から二転三転する展開にも注目。最後まで気の抜けないコントである。

この他にも、「もし誰とでも付き合えるとしたら誰と付き合いたいですか?」という質問に「綾瀬はるかかな」と答えた飛永に大水が、綾瀬はるかと付き合うことによって生じるメリットとデメリットを自己流に解説する『芸能人とつきあう』、「二十四年に一度だけ、その年に二十歳になる美人を神様に捧げる」というしきたりがある村の若者たちが、その年に二十歳になる二人のうち、なんとか美人を残してブスが選ばれるようにしようと画策する『生け贄のある村』、ビッグJに誘拐されたキャサリンを助けるために大水がダンスミュージックとともに立ち上がる!『WAKE UP OHMIZU』など、表現的にも倫理的にもちょっとどうかしているコントが多い。しかし、その中学生じみた下らない世界観が、苦笑いを浮かばせながらも心地良い。

その中でも突出して異質なコントが『ファン』。実在する某音楽グループのファンである二人が、お互いのグループに対する大好きな気持ちを電話越しに語り合うコントなのだが……とにかく凄かった。具体的に書いてしまうと面白味が半減してしまうのでここで説明することは出来ないが、とにもかくにも凄かった。前作「T/V」にも似たようなコントは存在したが、それを遥かに上回る凄さだった。是非とも多くの人に見てもらいたい。見た後で、Wikipediaで確認してもらいたい。

……以上に書いたように、今回はとりわけ癖の強い内容になっている。とはいえ、シチュエーションコントの名手であるラバーガールの手腕を見せつけるパートもあるので、純然たる彼らのファンでも楽しめるのではないかと思われる。『GIRL』というコントがそれだ。「レストランでサプライズパーティの予約」「宝石店で彼女の誕生日にプレゼントするネックレスを購入」「探偵社に彼女の浮気疑惑を調査してもらう」などなど、大水が恋人と紆余曲折を経ながら進展していく様子がシチュエーションコントを通じて伝わるように作られている。良い構成だ。どのコントでもしっかりとボケる客の大水と、そんな大水にきちんと対応しながらもマメにツッコミをぶつけていく飛永の実力をシンプルにご堪能……。 

■本編【81分】

「ビューティーフォトグラフ3」「芸能人とつきあう」「おばけが出る部屋」「ファン」「GIRL」「生け贄のある村」「WAKE UP OHMIZU」「女囚」「エピローグ」

 

■特典映像【2分】

「飛永バースデーサプライズ」