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土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

「ラバーガール solo live+「T/V」」(2014年9月24日)

ラバーガールsolo live+「T/V」 [DVD]
 

 

2014年6月27日から29日にかけて恵比寿・エコー劇場で行われたライブを収録。

 

シチュエーションコントの名手として『エンタの神様』などのネタ番組に数多く出演しているラバーガールと『ぱいかじ南海作戦』(主演:阿部サダヲ)、『オケ老人!』(主演:杏)などの映画作品を手掛けている新進気鋭の映画監督・細川徹による「solo live+」シリーズ第二弾。タイトルのモチーフにもなっている「TV」にちなんだコントが数多く披露されている。

 

前作「GAME」では作・演出を担当している細川徹のセンスが色濃く反映された台本のコントが主に演じられていたが、今回はよりラバーガールのキャラクターに寄せている印象を受けた。とにかく大水は素っ頓狂なボケを連発するし、飛永は落ち着いてツッコミを入れている。例えば、ある殺人事件の目撃者がいわゆる“サヴァン症候群”で当時の情報を聞き出そうとするたびに事件とは無関係な芸能人のエピソードを披露し始めてしまう『サヴァン症候群』、テレビドラマの企画として様々なテーマのドラマの相関図が紹介される『相関図』、衣装や展開を課金によって変えることが出来るシステムを取り入れた二時間ドラマを鑑賞する『課金』など、どのコントも二人の等身大のスタンスを維持しつつ、ちょっとヘンテコな設定のコントが展開されている。様々なお店を舞台にしたショートコントが矢継ぎ早に繰り出される『店』というコントに至っては、いつもの彼らが演じているシチュエーションコントそのものだ。もちろん、それだけでは終わらずに、きちんと不可解なオチが用意されているのだが。

 

とりわけ、印象に残っているのは、『過去から来た男』と『脱出』。『過去から来た男』はバイト中の青年の元に「過去からきた君だよ」という男が訪ねてくるコントだ。なんとなくSFっぽいニュアンスを感じさせられるが、やってきたのが「未来の自分」ではなく「過去の自分」であることが、状況をより不安定にしてしまっている。案の定、過去から来たという男の行為が自分の記憶に残っていないことに対して、とことん困惑し続ける青年。この後、状況は更にややこしいことになってしまうのだが……ベーシックな設定をほんの少しひねっただけで、ここまでこんがらがってしまうのかと感心させられた。一方の『脱出』もフィクション性の高いコントだ。ある建物の中に閉じ込められてしまった六人の男女が、謎の指令に従って謎を解き明かしていく。設定だけを見ると低予算ホラー映画の傑作『CUBE』を思い出させるが(そういえば昔、人力舎にこの映画と同じ名前のコンビがいた。好きだったなあ)、やっていることはツッコミ不在のノンストップボケコント。テレビドラマの主人公のようなテンションの二人が、そのバカさをこれでもかとブチ撒けている。これだけでも面白いのだが、そこから更にコントは思わぬ方向へ。「そして、このドラマには、台本が一切無い……」というフレーズにピンときた人は、一度ご鑑賞を。

 

そして最後のコント『テレビ』で、またも舞台は大団円へ。既出の人物とアイテムを上手く繋げた細川徹お得意の構成である。今回も決してハッピーエンドとはいえないが、このバカバカしくて面白い舞台に適した残念なオチが待っている。

 

様々な角度から「テレビ」を切り取っている本作。とはいえ、その内容は決して批評的なものにはなっていない。むしろ、その取り扱い方からは、テレビドラマやテレビバラエティに対する愛情が垣間見える。まるで「でも、なんだかんだいっても、みんなテレビ大好きだよね?」と問い掛けているかのようだ。そして実際、本作はテレビをあまり見ない人よりも、普段からテレビにかじりついているような人の方が楽しめるだろう。これはいわば、ライブからテレビに向けた一通のラブレターだ。

 

■本編【83分】

サヴァン症候群」「相関図」「店」「過去から来た男」「課金」「大水は人気者」「脱出」「ドラマ」「テレビ」