白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「ラバーガールsolo live+「GAME」」(2013年11月27日)

 2013年8月19日に銀座博品館劇場で行われたライブを収録。

日本一のコント王を決する「キングオブコント」に二度の決勝進出を果たしている実力者・ラバーガールシティボーイズコントライブや自身が手掛けるコントユニット“男子はだまってなさいよ!”で作・演出を担当している細川徹による「solo live+」シリーズ第一弾。タイトルの「GAME」にちなんだコントが数多く披露されている。

ラバーガールのコントといえば、思考も論理もズレた大水のボケとそれを丁寧に受け止めて処理する飛永のツッコミが冴え渡るシチュエーションコントのイメージが強いが、本作で演じられているコントは、作・演出を担当している細川徹の特徴である無意味でバカバカしい内容になっている。テレビゲームをプレイできるお店でパックマンに扮した大水がアイテムを模したシュークリームを食べ続ける『リアルパックマン』を皮切りに、リアルさを追求してしまったがためにゲームとしての面白味が失われてしまった恋愛シミュレーションゲームをプレイする『恋愛シミュレーションゲーム ラブリアル』、財布から二万円を抜いていたことを友人に告白されるもサッカーの観戦中だったために集中して追及できない『サッカーと二万』、大金を賭けたゲームに半強制的に参加させられるもその内容がノーリスクハイリターン『ゲーム』など、骨の髄までバカバカしさを追求したコントの目白押し。『ゲーム』では、後に大水の特技として知られるようになる、「与えられたキーワードをなぞなぞっぽくする」が披露されている点も無視できない。「カメラはカメラでも、冬によくとれる甘くておいしいカメラな~んだ?」と、こちらをなんともいえない気持ちにさせてくれる。実に有難くない。

とりわけ、友達がいない飛永が部屋に現れた大水扮する妖精と友達になろうと試みる『妖精がいる部屋』と、大水が先日の飲み会で急に帰ったことをパワーポイントを駆使して説明する『パワーポイント』は珠玉の出来だ。『妖精がいる部屋』はファンタジー色の強い設定に対し、生々しくて不快感漂う後味が残されたコント。オチに至っては、そっち系が苦手な人は嫌悪するかもしれない。『パワーポイント』は情報をスムーズに解説するための現代的な道具を駆使して、口頭で簡単に説明出来るようなことを逆に回りくどくしてしまっているバカバカしさが炸裂したコント。その下らなさが膨れ上がったところで繰り出されるオチの痛快さ。……設定や構図の観点から、好対照な二本といえるのかもしれない。

しかし、これらのバカバカしいコントの数々が、最後のコント『ゲームセンター』で素晴らしきエンディングを迎えている。筐体を挟んで、あのコントに登場したゲームが、あのコントに登場した人物たちが、それぞれの身の上話をし始めることで生まれる、じんわりとした哀愁。そこで行われている会話はやっぱりバカバカしいけれど、バカバカしいならバカバカしいなりに、色んなことでこんがらがっている。そんなバカたちを包み込んでいるかのようなラストシーンは、希望があるようにはまるで見えなかったけれど、とても優しかった。 

■本編【84分】

「リアルパックマン」「恋愛シミュレーションゲーム ラブリアル」「サッカーと二万」「ゲーム」「妖精がいる部屋」「パワーポイント」「ギャル男たちの発想が世界を救う」「ゲームセンター」