白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年4月2日)

  • ハルカラ32/50】

「OLの昼休み」。会社の昼休みに、お弁当を食べながら同じ職場で働いているOL仲間“カオリ”の陰口で盛り上がっている先輩と後輩。ところが、後輩がカオリに関する話題として提供したエピソードが、そのまま先輩にも当てはまることが分かり……。コントの設定としてはありがちで、正直言って面白味に欠ける。設定がベタという意味では『こそこそチャップリン』最終回で披露していたネタに共通している部分もあるが、これまで所作にクセのある人間を演じてきた和泉による先輩が割と普通の人だった分だけ、パワーダウンしているように感じられた。それでも、浜名のコント全開の演技で、なんとか笑いに昇華してはいたが。どうも、回を増すごとに、ネタの面白味が減ってきている気がするので、改めて兜の緒を締め直してもらいたいところ。

 

  • マツモトクラブ【21/50】

「記念写真」。東京から牛久大仏を見るためにやってきたマツモトが、その場にいたアオキという男性に記念写真を撮ってもらおうとするのだが、取り扱いに慣れていないためか、なかなか上手に撮ってもらえない。マツモトクラブが編み出した「自身の演技に第三者のセリフをあてがう」システムのコント。前半はマツモト自身のビジュアルや行動を第三者にツッコませ、後半はそれらのツッコミがマツモトにバレてしまうという構成になっている。前半のツッコミパートもしっかりと面白かったのだが、後半への急展開がとにかく見事。慌てるアオキが早口になって謝り倒すところなんか、たまらないものがあったが……結果は惨敗。うーむ、残念。

 

【ふきだまりのコーナー】

ラブレターズグランジ、イヌコネクション、トンツカタンかもめんたるななめ45°、しゃもじ、インデペンデンスデイ、モグライダー、風藤松原、ヤーレンズ、Aマッソ、ハリウッドザコシショウ、ルシファー吉岡、アキラ100%、高橋ちゃん、神宮寺しし丸、スーパーニュウニュウ、マツモトクラブが登場。R-1王者の「ハリウッドザコシショウ」、キングオブコント王者の「かもめんたる」、その並びに何故か立っている「神宮寺しし丸」をクローズアップ。

 

「職務質問」。警察官の風藤が酔っ払っている不審者の松原に職務質問する漫才。以前に比べて漫才コントが上手くなった印象。ボケが突飛になっておらず、シチュエーションに適切な内容になっている。とはいえ、松原のスリリングなセンスを反映したボケは今回も健在。「私は今ですね、人々に不快感を与えています」「お前だってメガネにかけられてんじゃねーか」「(アップルのリンゴのマークの)ウチはかじった方だよ」など、斜め上の方向から投げつけられるボケがたまらない。ただ、身分証のくだりや名刺手裏剣のくだりから漂う「仕込み感」が、ちょっとだけ残念でもあった。

 

「ゴキブリ」。部屋に出てきたゴキブリを退治するためだけに女友達から真夜中に呼び出された男には、ある隠された真実があった。前半はゴキブリというアイテムを使ったシンプルなコントだったが、後半でまさかまさかの急展開。本来ならば、激しすぎる不快感でドン引きされてもおかしくないところを、ギリギリのラインに留まり、そのおぞましい展開を笑いに昇華させているあたり、流石は王者といったところ。後半の男の急変ぶりが印象に残るが、前半で女の方の割とろくでもないところを見せていたからこそ、このバランス感が成り立っているのだろう。復讐劇として見れば、後半の展開にむしろ爽快感すら。それでいてオチはシンプルでバカバカしく。面白かったものの、観客にはこの魅力が伝わり切れていないのではないか……と危惧していたが、結果は上々。次回も楽しみだ。

 

【ふきだまり芸人のコーナー】

ハリウッドザコシショウ「ズボンを上げる」

 

次回の出場は、かもめんたる(1週勝ち抜き)、グランジ、トンツカタン、ハルカラ(1週勝ち抜き)。