白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「こそこそチャップリン」(2016年3月19日)

  • 全力じじぃ【18

「趣味の話」。じじぃになったので色んな趣味を持っていきたいという二人が、様々な趣味事の例を挙げていく。シンプルなボケを「ひょうきーん!」の一言を入れて処理することによって観客の心を掴み取ってしまう手腕には感心させられたが、同じトーンのノリが延々と続くため、中盤ではっきりと中だるみが起きていた。「趣味」という漠然としたテーマの中に、一つでも軸となるような場面を盛り込むことが出来ていれば、ちゃんと最後まで楽しめたのではないかと思う。ただ、徹底的に軽さを売りにしているコンビなので、そういった要素を組み込むことが必ずしも彼らにとってプラスに働くとはいえない。むしろ、テーマをもっと狭めて、選択肢を削ってしまった方がいいのかもしれない。
 

  • 鬼越トマホーク【16

「デブ対ハゲ」。1週勝ち抜き。キャバ嬢にまったく話を聞いてもらえないという金野のため、坂井がキャバ嬢となって金野の話を聞いてあげようとする。前回、見た目のギャップを取り入れたネタで勝負した彼らだが、今回は純然たる漫才コントで勝負。相変わらず坂井の不穏なキャラクターがこってりと浮き出ているが、前回のようなふてぶてしさを感じさせるボケがなかったため、ややパンチに欠ける印象を受けた。「サーファー?」「キャバ縄文時代」「(小声で)こんなデブの卓で酔いたくない!」と、良いワードセンスが垣間見られただけに残念。
 

【ふきだまりのコーナー】

相席スタート、オーストラリア、ザ・ギース、GAG少年楽団、トンツカタン、ニューヨーク、ネルソンズ、パーマ大佐、平野ノラ、昼メシくん、マッハスピード豪速球、マツモトクラブが登場。元気いっぱいで会場の空気を変えると宣言した「ネルソンズ」、実は15週連続でふきだまりスペースにいることが発覚した「マツモトクラブ」をクローズアップ。

 

  • ハルカラ【23

「化粧品」。店先で化粧品を売る仕事を始めた浜名が、先輩の和泉から基本的なことを教わるのだが……。いやいや、面白かった! 日本エレキテル連合を彷彿とさせるクセの強い演技で柳原可奈子を思わせる写実的なキャラクターを演じるという既出の方法論を掛け合わせた手法が、自分の中でまんまとヒットしてしまった。日エ連にしても、柳原にしても、どちらも確かに面白いのだが、そこには濃厚な灰汁が伴われる。しかし、ハルカラのコントは、両者の評価されている部分だけを上手く混ぜ合わせることで、灰汁を最低限に抑えられている。この塩梅が丁度良い。構成もよく出来ている。前半は和泉のクセの強い演技に巻き込まれる浜名という構図を見せているが、後半は変な個性を強調し始めた浜名に和泉が巻き込まれるという逆転の構図を見せている。この流れがとても自然で心地良い。次回以降にも期待したいところ。

 

  • ドドん28

「ナンパ」。2週勝ち抜き。「ナンパしてぇなー!」という石田が、安田からナンパのコツを教わろうとする。本題に入らずに漫才を終えてしまう構成には不満が残ったものの、ネタの内容は前回と同様に面白かった。とにかく仏教ワードを盛り込むのが上手いし(とはいえ今回はちょっと薄めのモノが多かったか?)、動きで観客を飽きさせないようにしているのも良い。「シークレット合掌」「修行で学んだこの深さ!」のキレの良さよ。内輪ネタのくだりはあまりハマらず。いや、参拝にやってきたスウェーデン人に手を出して、破門になった先輩修行僧の話は笑ったが。3週勝ち抜きで春の特番への出場が決定!

 

 次回の出場は、ザ・ギース、ネルソンズ、ハルカラ(1週勝ち抜き)、マツモトクラブ。