土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

「イルネス製作所 ~今世紀最大の発明~」(2015年12月23日)

 

2016年1月11日視聴。

 

三連休も今日で終わりだ。この三日間、それなりに有意義な時間を過ごしてきたつもりだが、それでも最後の一日だと思うと、無闇に気持ちが焦ってしまう。しかし、だからといって、何かを始めようとしたり、何処かへ出かけようとしたりしたところで、どうにかなるものでもない。目的を持たずに先走って行動して、何も残らなかったということにでもなってしまえば、それこそ目も当てられない。だから、今日は腰を据えて、まだ鑑賞していなかったDVDを消化していくことにした。

 

そこで選んだのが本作である。加藤浩次極楽とんぼ)が2015年7月4日・5日に東京グローブ座で開催したコントライブより、5日の最終公演の模様を収録している。他の出演は、六角精児、矢作兼おぎやはぎ)、マンボウやしろ、秋山竜次(ロバート)、吉村崇(平成ノブシコブシ)。前年2月に開催されたコントライブ『イルネス共和国』とまったく同じメンバーが集まっている。脚本・演出も前作と同様、加藤浩次石原健次の二人が担当している。

 

オープニングコントの舞台は記者会見場。大勢の記者たちが集まって、会見が始まるのを今か今かと待ち構えている。そんな中、最前列で横に寝転んで、パイプ椅子を五席ほど陣取っている男(六角)がいる。遅れてやってきたテレビスタッフ(吉村)とリポーター(矢作)が、他に空いている場所がないからと席を譲るように話しかけるが、まったく言うことを聞こうとしない。無理矢理に席を奪おうとすると、何故か後ろの席の二人(秋山・加藤)から激しい暴力を受けることに。二人の話によると、彼らは雑誌社の人間で、寝転んでいる男の正体はカメラマンだという。ただ、先日クビになってしまったので、次の仕事が見つかるまでカタチだけやらせてあげているのだそうだ。しかし、男がどうして、最前列で寝転んでいるのか、その理由は明かされない。やがて記者会見が始まり……。

 

基本的な流れは前作『イルネス共和国』とあまり変わらない。最初に謎が提示され、それぞれのコントが繋がっていき、最後に真相が明らかとなる。ただ、出演者全員が騒動に巻き込まれていた前作に対し、本作は明確にとある人物が主人公として描かれており、一人の人間を巡るドラマとしての趣が強い内容になっている。メインテーマが架空の国家から日本にある架空の企業へと移されたことで、世界観をより身近でリアルに感じられるようになったことも効果的に働いている。その結果、かねてよりフェイクドキュメンタリーを得意としていた極楽とんぼの本質的な良さが、前作よりも引き出されているように感じられた。

 

出演者の魅力を反映した台本は今回も健在。とりわけ、『10周忌』で十年前に暴走族の弟を亡くした元レディースの女を演じたやしろと、『工場』で作業音による有名曲のインストクイズに興じるあまりに我を失ってしまう班長を演じた秋山は珠玉の演技を見せていた。舞台の狂言回しを務めているイルネス製作所の開発部長を演じていた六角の胡散臭くも哀愁漂う存在感も素晴らしかった。一方、前作で笑いを取りまくっていた矢作は、本作では少し控えめ。とはいえ、ちょっとした言い回しだけで、次々に笑いを勝ち取っていくテクニシャンぶりは相変わらず。恐るべし。

 

前作とはまた少し違ったアプローチを見せてきた本作。このまま一か所に留まらず、素知らぬ顔してじわりじわりと継続し、いずれもう一人の極楽とんぼを迎え入れられるようになればいいのではないかと思う。偶数の六人よりも、奇数の七人の方がしっくりくるからなあ……。

 

■本編【138分】

「記者会見(記者側)」「治験」「10周忌」「工場」「世紀の対決」「記者会見(会社側)」

 

■特典映像【27分】

「貴重なメイキング映像初公開!」