白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

音楽

吟遊詩人・粗品が紡ぐ『サルバドルサーガ』

霜降り明星の粗品がファーストアルバムをリリース。タイトルは『星彩と大義のアリア』。ミュージシャンとしての粗品といえば、ボーカロイドに歌わせるボカロPとしてのイメージが強かったのだが、本作は自身の歌唱による完全オリジナルアルバムになるという。…

『氷の城壁』を読んだ後で聴いたとある曲に感心した話。

氷の城壁 単行本版【フルカラー】 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:阿賀沢紅茶 集英社 Amazon ジャンプ+で『正反対な君と僕』を連載中の阿賀沢紅茶氏が、LINEマンガで連載していた作品『氷の城壁』の単行本を、遅ればせながら読み始めた。男女の関係性…

僕もあなたも試しに『こんなボート』に乗り込んで一気呵成!

ヒップホップに詳しくない素人にも韻やライムの魅力を分かりやすく伝えてくれる動画を発信している一九九というYouTubeアカウントがあり、その情報の幅広さと奥深さに普段から非常に重宝しているのだが、そこで先日、MC Taniguchiというラッパーの楽曲『こん…

1996年の玉置浩二『メロディー』は、もはや「大好きなあの歌」そのものになっているのではないだろうか

CAFE JAPAN アーティスト:玉置浩二 ソニーミュージックエンタテインメント Amazon 自分の人生において、初めて「これは自分の所有物である」と認識した音楽アルバムは、玉置浩二の『CAFÉ JAPAN』(1996年)である。父親がドライブ中に聴いていたCDを、半ば強…

それでもやっぱそれでいてやっぱり志村のソレがいい!

久しぶりにフジファブリックのアルバムをちゃんと聴く。 志村正彦がフロントマンを務めていた時代のアルバムである。志村の訃報から十四年の月日が経過し、今やフジファブリックは、山内総一郎をボーカルとしたスリーピースバンドとして確固たる存在感を放っ…

喪失感はいつも『懐かしくなってくれない』。

「リサイクルシテネ」という不思議な名の音楽ユニットによる楽曲『懐かしくなってくれない』が良くて、このところずっと聴き続けている。 少し前に、『びじゅチューン!』で知られる井上涼の手掛けたMVをきっかけに知ったのだが、ここ最近は純粋に楽曲の魅力…

『ほんとのきもち』だけは見失わないように

分かってしまう。どうしようもないほどに、分かってしまう。高橋優の『ほんとのきもち』を聴くたびに「これは私のことではあるまいか」と思ってしまう。当然のことながら、そんなわけがないのだけれど、それぐらいに共感してしまう。今までの生活の中で目に…

矢野顕子からすべてのミュージシャンへ『音楽はおくりもの』

人は一人では生きていけない。とはいえ、誰もが誰かに頼れるような人生を送ってきたわけじゃない。生まれてから死ぬまで一人ぼっちな人間なんて、きっとこの世にはいないだろうけれど、一人で生きるしかない時間は存在する。そんなときに、一人でいることが…

思春期の爆発は「ワンマンショウ」を開幕せざるを得ないのだ

恥ずかしながら、と申し上げるほど恥ずかしさを覚えてはいないのだが、今や自分の伸びしろの広さもなんとなく分かってしまっているアラサーでありながらも、文章を書く仕事をちまちまとやらせていただいているような私にも、小説家を志していた時代があった…

東京で生きることの自由と凋落を描く「君は東京」

生まれてから高校を卒業するまでずっと実家に住んでいて、通っていた大学も広島県の中心地から少し離れたところにあって、大学卒業後は実家にとんぼ返りするというような人生を歩んできたため、いわゆる都会暮らしを経験していない。だからなのか、東京ある…

ネクライトーキー『明日にだって』とナインティナインの一年。

『ナインティナインのオールナイトニッポン』の放送が再開されてから、間もなく一年が経とうとしている。その間、ナインティナイン自身にも、所属する吉本興業にも、また彼らを取り巻く周辺の人々にも、様々な変化が巻き起こった。そして気付けば、どうして…

わだかまりを抱いて生きる人に響け「かつて天才だった俺たちへ」

「天才なんて言葉は努力しなかった人間の言い訳に過ぎない」。二十代半ばの頃、子どもの頃から他者と深い関係性を築き上げることを怠ってきた私にとって、数少ない友人と呼べる男がそんなことを口にしていた。何処かの誰かが漏らした戯言の受け売りだったの…

先行き未確定の『鴨川等間隔』

相変わらずYouTubeばかり見ている。諸般の事情で日常が慌ただしく、精神的に余裕を持てないからだ。若いころは、それでも自分が面白い楽しいと感じられる作品を積極的に受信し、そのみなぎるパワーを自分のエネルギーに変えることが出来ていたのだが、近年は…

PEOPLE 1『フロップニク』を届けてくれよ、あれはいいものだ。

忙しい。このところやけに忙しい。忙しさを理由に、ろくにテレビもDVDも見ずに、ぼんやりとYouTubeの映像ばかり眺めている。あまり良い状態とはいえないが、如何せん精神面に余裕がないのである。精神に余裕が無ければ、どんなに感度の良いアンテナが頭に突…

全速力で駆け抜ける『車線変更25時』

雷鳴の如きエレクトリックギターの音が心臓に突き刺さる。直後、ストリングスの音が、激しさを増す豪雨のように、ぽっかりと空いた心臓の穴へと注ぎ込む。目に浮かぶのは真夜中の嵐そのもの。その情景の中、スピードを上げる車に打ちつけられた雨は、より一…

心がツラいときに踊る十曲。

生きてるって空しいことね。菅家です。 皆さんは楽しい人生を送られていますか? こんなブログを読んでいるのですから、きっとろくでもない人生と呼べるほどアヴァンギャルドな人生を選ぶことも出来ず、何かになろうともせず、なし崩し的に選んだ人生に邁進…

人生の『前線』に立つということ

私が思春期まっしぐらの学生だった頃に比べて、音楽番組がすっかり少なくなってしまったこともあってか、今や最新の音楽を知るためのメインツールが深夜ラジオになってしまった。バカバカしい芸人たちの会話の合間にそっと流れる最新の音楽は、時に私の心を…

俺は今日もメシ喰って出かけるぜ!!!

エレファントカシマシの新曲を聴いて、スッ転がった。なんだこれ! 中学生だった頃、エレファントカシマシがテレビ番組で『武蔵野』を歌っているのを見た日から、少なくとも去年ぐらいまで、彼らに対するイメージは一貫していた。上手く言葉には出来ない。「…

理想も現実も抱きしめて『矛盾、はじめました。』

ハロプロの音楽とともに思春期を過ごしたためなのか、アイドルソングといえばポップで陽気で楽しい楽曲というイメージが私の中に深く刻み込まれている。まあ、あながち間違いではない。時にはしっとりとしたバラードを歌っている姿を目にすることもあるが、…

いわばそれは夏のせい。

暑い日が続いている。余裕で三十五度を超えていく気温は、もはやこちらを殺しに来ているようにすら感じられる。否、広い世間を見てみると、実際に人も死んでいるのだから冗談じゃない。適切な温度なんて言ってる場合じゃない。一旦、環境問題も電気代も全て…

ビートルズもいいけど、ハリスンもね。

録画した「ひよっこ」を見ている。 現在はビートルズ来日前後のあたり。主人公・谷田部みね子の叔父である小祝宗男が「ビートルズと同じ空気を吸って雰囲気を味わいたい」という理由で上京、その朗らかな表情の裏側にへばりついている過去が語られる……ところ…

夜を漂う『エイリアンズ』

ああ、キリンジいいなあ、と思うわけですよ。 LINE mobileのCMをご覧になられましたか。いいですよねえ。のん(能年玲奈)が出演しているってだけでも話題性は十二分ですが、楽曲にキリンジの『エイリアンズ』を使っているというのが大変に宜しいです。現世…

死んだら飛び乗れ!『Hell Train』

いやー、申し訳ない。このところすっかり音楽脳なもので、お笑い芸人のDVDよりも動画サイトで面白い音楽を探してばかりの日々である。で、今更ながらハマッてしまったのが、こちらのstillichimiya。最初にハマッたのは、Twitterのタイムラインを流れてきた『…

脳内一面に広がる『PINK』

えっ、えっ、何これ何これ。ラジオを聴いているときに、流れてきた楽曲に心奪われた。その瞬間、まるで思春期のように気持ちが揺れたのを感じ取った。衝撃の大きさはあまりにもデカくて、その後の芸人のトークがまるで、頭に入らなくなってしまうほど、完全…

ずっと聴いている『七曜日』。

ああ、今週はダメだ。そのことに気が付いたのは木曜日の午後だった。何がダメかと聞かれたならば、全てがダメだと答えるだろう。ひとつの作業に耐え切れない。集中力が保ち切らない。思考回路も落ち着かない。頭の回転が良くない、のは元からだけど更に良く…

「夢であいましょう」のはなし。

美しい曲である。これほどに美しい曲は他に存在しないのではないかと確信に似たような感情を抱けるくらいに、美しい曲である。まるで、これから訪れる夜の輝き、瞬き、美しさをそのまま描いているようだ。そんな夜は、子どもの頃にテレビの中で見たような記…

NO MUSIC,NO NAME.

以前、このブログで水曜日のカンパネラのインストアライブに行ってきた旨を記事にしていたことからも分かっていただけると思うが、私は水カンのファンである。去年あたりから聴き始めた程度ではあるが、手に入りやすいアルバムは揃えている程度にはファンで…

#私を構成する9枚

Twitterで流行っているのを見かけて、「参加したい」という気持ちが芽生えるも、「しかし画像の編集方法が分からない」と断念。しかし、後になって「amazonのリンクで代用できるのではないか?」ということを思いつき、ここでこっそりと参加してみた。こうし…