白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「爆笑オンエアバトル2019」(2019年3月24日)

「漫才:ドライブ」。バイト先の店長からドライブに誘われて喜んでいた草薙だったが、宮下からドライブの概要を説明されると、あまり楽しくなさそうな気がしてきて……。ネガティブな感情をこじらせた草薙の妄想が、非現実的な裏世界を生み出していく様子を笑いに昇華している。裏世界に独自性を見出すのではなく、裏世界を妄想して不安になって独りよがりに動揺し始める草薙の過剰さが笑いに繋がっている点が興味深い。とはいえ、“バイト先の店長とドライブに行く”という気の休まらない状況が話の発端となっているため、一定の共感は得られるという絶妙さ。一方で、「俺はお金の発生しないところで芸は見せない」などのように、ふとした瞬間にポジティブな姿勢を見せることで、人間としての深みを感じさせている。このバランス感がたまらない。一方で、ツッコミの宮下が、それなりに気の利いたことを言っているにも関わらず、あまり観客にウケていない様子だったことが気になった。ちょっとウケようという意図が見えているからかもしれない。今後、何かしらかの対策が必要か。

 

 

  • ザ・マミィ【533kb】

「コント:霊能者」。「死んだ親父にもう一度会いたい」という青年(林田)から依頼を受けた霊能者の松ノ門雲州(酒井)は、自らの身体に父親の霊を宿す。しかし、彼の真の目的は、幼かった自分と病気がちだった母親を捨てて出ていってしまった父親に、復讐を果たすことだった。この世に存在しない父親と母親の幻影に振り回されている青年の姿は、冷静に考えてみると、なかなかに悲惨である。だが、そんな陰鬱な関係性に不運にも巻き込まれてしまった霊能者の存在が、状況を一転してドタバタコメディへと発展させる。また、この霊能者の台詞が、いちいち可愛げがあるからたまらない。なにせ一人称が「松ノ門」である。字面は堅いが、言葉の響きは「ドラえもん」を思わせる。可愛くて仕方がない。脚本も丁寧に作り込まれている。青年と両親のやり取りはしっかりと組み立てられているし、それに伴い、彼らに対する松ノ門のリアクションも右肩上がりに良くなっていく。目が覚めるたびに繰り出される「どういう状況!?」の言い回しも素晴らしい。個人的には、青年に銃をぶっぱなされたときの「クレイジーすぎる! こだわりの内装が……!」という台詞がピカイチ。無関係な言葉同士を組み合わせることで、後の台詞をじっくりと理解させるように仕組んでいる。そして終盤、全ての事態が終結されるかと思わせておいて、あの母親のクレイジーな発言である。たまらない。惜しむ点があるとすれば、あまりにもあっさりとし過ぎたオチだろうか。否、あそこで切る潔さこそを、褒めるべきなのかもしれない。

 

 

「コント:遭難」。飛行機が不時着、辿り着いた無人島で救助を待ち続けていた乗客たち(藤田)だったが、何の音沙汰もないまま三日が過ぎ、食糧も底を突いてしまう。そんな最中、ある男(﨑山)が全員にピストルを突き付け、島に自らの独裁国家を築き上げることを宣言する。「ピストルを突き付けて脅迫する」という行為と「建設的に全員が助かる方法を的確に指示する」という発言のギャップを笑いに昇華しているコント。手法としてはベーシックだが、だからこそ丁寧に雑味を加えず表現するとしっかり面白い。構成面だけを意識しながら鑑賞すると、その練り上げられた台本に感心せざるを得ない。例えば、低姿勢かつ丁寧な口調で登場しておきながら、ピストルを取り出した途端に性格を変貌させるクレイジーな冒頭。一度、口答えした藤田のこめかみにピストルを突き付けるくだりは一見すると無駄に思えるが、﨑山演じる男のヤバさを引き立てるための大事なプロセスだ。この丁寧なキャラクター描写があったからこそ、その後の男の目的(=コントの本題)がじわりじわりと明らかになっていく展開で、しっかりとカタルシスが生じる。途中、拳銃の存在を再認識させ、再び緊張感を走らせるも、想像を裏切る場面を盛り込んでいるのも良い。キャラが確固としてぶれていない。それを受け止めるツッコミ役の藤田の存在も大きい。やや説明的ではあるが、端的に﨑山の発言の本質を言語化することで、そのギャップの構築に一役買っている。意外性という点では物足りなさもあるが、豪速球の力強さを改めて認識させられる質の高いコントだった。

 

 

「漫才:遠足」。小学生が遠足に出掛けるシチュエーションを二人で再現する。意図が伝わりづらいショーゴのボケを、たけるが備中神楽仕込みの独特なイントネーションによるツッコミで解説するスタイルの漫才。ただ、笑いが起きるまでの展開を思うと、漫才というよりもむしろ掛け言葉の類いに近いような印象を受ける。ショーゴのボケがどのような意図によるものなのか疑問に感じている観客に、たけるがツッコミという名の回答を披露することで、疑問が晴れて笑いが起きているからだ。近年の例でいえば、オリエンタルラジオの『武勇伝』に近いものがある。ただ、たけるが単なる回答を見せているわけではなく、さりげなく偏見が盛り込まれている点が、少なからず笑いに作用しているようにも思える。「い~や、黒霧島のペース!!!」「い~や、マイメロちゃんの弁当!!!」「たぶんお前の親、喪服の色、ピンクだろ!!!」などは、特にその傾向を感じさせられた。現状のスタイルを思うと、そちら方面にシフトしていく可能性もあるだろう。だが、個人的には、たけるの「リンダリンダなのだ!」という言い回しが最も印象に残っている。単純に、こういうバカみたいな言い回しが、たけるは妙に似合っている。一度、バラエティでハマれば、とんでもない人気者になるかもしれない。

 

 

「コント:朝の電車」。早起きして、いつもよりも一本早めの電車に乗れた青年(水川かたまり)の前に現れたのは、辺り構わず怒鳴り散らすヤバいおじさん(鈴木もぐら)。ところが、絡まれないように背を向けながら観察していると……? 登場時の行為と言動のギャップが笑いに昇華されているという点では、先のファイヤーサンダーのコントに似ている。ただ、シチュエーションが日常的で、しかもテレビメディアではあまり取り上げられることのない類いのクレイジーなおじさんに軸を置いているため、ファイヤーサンダーのコントとは別ベクトルの緊張感に満ち溢れている。玉が転がれば、どんなネタでもオンエアさせる。そんな『オンバト』の矜持を再認識せざるを得ない。また、コントの中に登場する人々が、かなり具体的に描写されている点も見逃せない。これにより、おじさんの優秀さを様々な角度から描くことが出来るし、様々な人が行き交う朝の電車風景を思い浮かべることも出来る。コントの世界に入り込める。だが、このコントの特性は、なんといっても「ヤバいおじさんがリアル」な点にある。だからこそ、ヤバいおじさんが実は良い人……というギャップの笑いと同じぐらいに、このおじさんのシンプルにヤバい部分も笑いに昇華されるのである。コントで演じられていることではあるが、そこには嘘がないような気がする。なので、ヤバいおじさん同士のバトルのくだりは、正直なところ蛇足に感じられたのだが、あれも構成上で必要な要素だったのだろう。あと、言及するほどではないが、冒頭で水川が口にする独り言の妙なイントネーションが、ちょっと面白かった。

 

【今回のオフエア
481kb:ヒコロヒー
393kb:キャメロン
373kb:ヤーレンズ
349kb:ネイビーズアフロ
309kb:かが屋

松竹芸能所属の女性ピン芸人、ヒコロヒーが惜しくも敗退。名前を見かける機会の多い人なので、普段はどんなネタを演じているのか少し楽しみにしていたのだが。残念。以下、ヤーレンズネイビーズアフロかが屋と、他メディアで名前を見かける機会も少なくない芸人が軒並み敗退。とりわけ、マセキ芸能社所属のコント師かが屋の最下位には驚いた。もてはやされている現状に甘んじるな、というメッセージだろうか。キャメロンはホリプロコム所属のお笑いコンビ。M-1では二回戦敗退が最高らしいのだが、どのような点が評価されて、番組への出場を決めたのだろうか。いずれネタを目にする機会に恵まれることを祈る。

 

爆笑オンエアバトル2019」は、「爆笑オンエアバトル 20年SPECIAL」の第二部として放送された。司会進行はタカアンドトシ。審査員は過去に『爆笑オンエアバトル』『オンバト+』でオンエアされた経験のあるお笑い芸人100人。出場者は、養成所の講師を務めている大輪教授とユウキロック(元ハリガネロック)が担当。第一部の模様は、「オンバトサポーター」によるレポート、「ヨイ★ナガメ」による番組の爪折り記事を参考にされると良いと思われます(敬称略)。当時、番組を見ていた世代が、こうして芸人となって活躍していることを考慮すると、番組の最後に司会のアナウンサーが言っていたことは微塵も間違っていなかったんだなあと思い知らされる。

「新しい笑いを作るのは、挑戦者の皆さんと客席の皆さん」

「そして、テレビの前の、あなたたちです!!!」

この志を忘れないようにしましょうね。いやマジで。

「映像コントアワード2018」の件。

どうも菅家です。

賢明な読者の皆さまなら、かつて私が「映像コントアワード2016」および「映像コントアワード2017」というイベントにコメントを寄せていたことを、しっかりと覚えているのではないかと思いますが……覚えていないのならば脳味噌を搾って思い出してください……まあ別に思い出さなくても構いませんけど……実は2018年もコメントを寄せていました。なんと、これで三年連続、同イベントにコメントを寄せたことになります。でも、相変わらず、審査の方には参加させてもらっていません。私はどういうポジションなのでしょうか。

というわけで、これまでと同様に、今回も受賞作品とそれに寄せたコメントをここに掲載したいと思います。時間の有るときにゆるーく鑑賞されると宜しいのではないかと存じます。

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2019年4月の入荷予定

17「タイムマシーン3号単独ライブ「餅」
24「ザ・ギース コントセレクション「Pretty Best」
24「プリンアラモード」(ニッチェ)

どうも菅家です。三月中に東京(オードリー in日本武道館)と大阪(KAJALLA「怪獣たちの宴」)に行ってきたので、心身ともに疲れ切っております。私の場合、日常を離れて非日常的な空間に身を置くと、その瞬間はとても心地良いのですが、いざ日常に戻ると、そのギャップでとても苦しい気持ちになってしまうんですが、皆さんはどうですか。それならば、もう何処にも出かけなければいいのではないか、と思われるかもしれませんが、それでも非日常的シチュエーションを渇望する気持ちは抑えられません。困ったものです。さて、新年度の四月ですが、以上のラインナップとなっております。詳細は各自で調べてください。個人的にはザ・ギースのベスト盤が気になるところですが、どんなネタが入っているのか、未だに公表されていません。ンモー。気になりますねえ。

「コント集団 カジャラ 第四回公演「怪獣たちの宴」」(2019年3月21日)

怪獣を目撃するために大阪へ行くことにした。

無論、ここでいう怪獣とは、いわゆるゴジラモスラキングギドラのような特撮怪獣のことではなく、また、ネッシーヒバゴン、モケーレ・ムベンベのような未確認生命体のことでもない。ラーメンズ小林賢太郎が代表を務めるコント集団・カジャラの第四回公演のことである。タイトルが『怪獣たちの宴』というところから、このように表現した次第である。

カジャラの出演者は回が変わるたびに変動している。今回は、なだぎ武竹井亮介小林健一、加藤啓、辻本耕志、小林賢太郎といった顔ぶれが舞台に上がる。竹井、辻本、小林は第一回から欠かさず参加し続けている皆勤賞だ。……尤も、小林はカジャラの代表なので、絶対に参加しなくてはならない立場なのだが。なだぎ武は史上初の芸人からのキャスティング。以前、かつて“アクシャン”として活動していた安井順平が参加したこともあったが、現役バリバリの芸人が登場するのは初めてのことである(……と、ここまで書いたところで、そういえば辻本が“フラミンゴ”というトリオのメンバーだったことを思い出したが、ここ数年すっかり個々の活動メインになってしまっているみたいなので、敢えて無視する)。

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「ハナコ「しぼりたて」」(2019年2月27日)

しぼりたて [DVD]

しぼりたて [DVD]

 

思い返してみると、2018年は若手が台頭した年だった。

R-1ぐらんぷり」を制した2013年デビューの濱田祐太郎、「キングオブコント」王者に選ばれた2014年結成のハナコ、「M-1グランプリ」で優勝を果たした2013年結成の霜降り明星……いずれも芸歴10年未満の若手である。お笑い芸人の増加に伴い、ベテラン~中堅層が詰まっていると嘆かれている昨今の芸能界において、これは特筆すべき事態といえるだろう。無論、これはあくまでもきっかけに過ぎず、彼らの戦いはまだ始まったばかり。これから更に、並み居る強敵を相手に戦う日々が待っているのである。とりあえずオールスター感謝祭での立ち振舞いから考えていかねばならないだろう。本作は、そんな若きチャンピオンの一角、ハナコの代表作を収録したベスト盤である。

ハナコ菊田竜大秋山寛貴、岡部大によるトリオだ。三人は2011年にワタナベコメディスクールを卒業、菊田と秋山はコンビ"ウエストミンスター"として、岡部はコンビ"エガラモガラ"のメンバーとして、それぞれ活動していた。しかし、エガラモガラは、惜しまれながらも2013年に解散。一人になった岡部がウエストミンスターに加わる形でハナコが結成された。所属事務所は、ホンジャマカネプチューンを有するワタナベエンターテインメント。ハライチやロッチのように、ネタが高く評価されている芸人も少なからず在籍しているが、基本的にはタレント志向の強い事務所である。このような事務所から、職人気質なハナコのような芸人が輩出されたのは正しく幸運といえるだろう。宝の持ち腐れとならないことを祈るばかりである。

本編に収録されているネタは十本。全てコントである。演芸番組で目にしたことのあるネタが多いことから、ファンではない人間にも見せられるようなベスト盤に相応しいネタがきちんと編み上げられていることが分かる。但し、彼らが『キングオブコント2018』決勝の舞台で披露した『犬』『追いかけっこ』はいずれも未収録。コンテンツリーグが発行しているフリーペーパー『SHOW COM』に掲載されているインタビューで、彼らがその理由について語っている。曰く「『スラムダンク』も、最後の山王戦の試合を超えられないから井上雄彦先生は描くのをやめたって言われてるんですよ。あの試合以上は描けないって。だから、ハナコ、一緒です」とのこと。要するに、キングオブコントの決勝戦で披露したパフォーマンスがベストで、これ以上のものは出せないということなのだろう。気持ちは分からなくもないが、それでも、コレクターとしては、彼らの才能を証明した素晴らしき名作をソフトとして手元に置いておけない悔しさを噛み締めずにはいられない(ただ『犬』に関しては、同じ事務所に所属しているトリオ漫才師・四千頭身との合同ライブの模様を収録した『ハナコ・四千頭身合同公演「ハナ頭身 ~夏の思い出~」』に収録済)。いずれ、何かの気まぐれに、ソフト化してくれると有難いのだが。

とはいえ、収録されているネタは、いずれもソツなく面白い。久しぶりに連絡を貰った友人と待ち合わせているという男から延々と人違いされ続ける『待ち合わせ』、博士が発明したタイムボックスに乗り込んで石器時代へと旅立った助手が当時の人間を連れ帰ってきてしまう『タイムワープ』、結婚式の最中に飛び込んできた男が花嫁を奪おうとするも断られてしまう『結婚式』など、多種多様なシチュエーションをしっかりと活かした上で笑わせている。ハナコのコントでは、基本的に岡部と秋山の対比が描かれている。独特の熱を帯びた岡部のキャラクターと、そんな彼に巻き込まれている一般人としての立ち振る舞いを崩さない秋山の差異が、笑いへと昇華されているのである。それだけでも十分に面白い。

しかし、そこに菊田という第三の男が上手く調合されることによって、状況に更なるブーストが掛かる。例えば、空手の師範(秋山)が行っている体験教室に、我流で空手を覚えて師範を気取っている生徒(岡部)がやってくる『空手体験教室』というコントでは、菊田はただ単に一般の生徒として登場する。本来ならば、居ても居なくてもいいようなポジションである。だが、所用で秋山がその場を離れ、岡部がこっそり師範のように空手を指導し始めると、菊田は微塵も抵抗することなく言う通りに間違った空手の動きを練習し始めるのである。その瞬間、それまで無用の長物だった菊田に意義が生じ、岡部のクセのあるキャラクターに支配されていたコントの面白味にブーストが掛かる。どうしても必要な存在ではないかもしれないが、もしも菊田がいなければ、ハナコのコントはここまで面白くなることはなかっただろう。

個人的に好きなネタは『カレー』。親しみやすいキャラクターでとても優しいカレー屋のご主人が、ナンのお替わりを注文されたときだけ、何故か強く激昂する……というコントである。カレー屋のご主人を演じている岡部による見事な感情表現もさることながら、そのインド風な衣装の説得力がたまらない。そして、どんなに怒鳴られようが、屈することなく淡々とナンを頼み続ける菊田。アンガールズ『カレー』、シソンヌ『インドカレー』とともに、日本三大カレーコントとして語り継いでいきたい。また、テーマパークのアトラクションに気持ちが入り込み過ぎている一般客(岡部)が、キャスト(菊田)と同じ世界観に溶け込んでしまう『アトラクション』も印象的。こちらの菊田はきちんとキャストとしての演技をこなしていて、だからこそ、一般人なのに演技に加わっている岡部と競合している様が面白い。

ただ、どれほど面白くても、本作はあくまでベスト盤。「面白くて当たり前」なのである。芸人が自らの才気を如何無く発揮できる単独ライブでこそ、その真価が発揮されるというもの。というわけで、次回は是非とも単独ライブのソフト化を願いたいところなので、本作がバカみたいに売れてくれることを祈るばかりである。

これら本編に加えて、特典映像として「秋山の地元 岡山県に戻って家族&親戚一同にKOC優勝報告」を収録。文字通り、ハナコの三人が秋山の実家に戻って、KOC優勝の報告をする……というロケの模様が収められている。テレビで放送されているような和やかな田舎のイメージからかけ離れた、人気も生活音もまるで感じられない秋山の地元のリアルな田舎ぶりに、テレビ画面の中で苦笑している岡部と菊田とまったく同じ表情になってしまった。ここまで寂れている田舎がストレートに撮影されることなんて、なかなかに珍しいのではないだろうか。いやー……頑張ってほしい。

◆本編【61分】
「待ち合わせ」「空手体験教室」「タイムワープ」「カレー」「結婚式」「依頼」「アトラクション」「なによ」「ゴリポン」「見送り」

◆特典映像【14分】
「秋山の地元 岡山県に戻って家族&親戚一同にKOC優勝報告」

「R-1ぐらんぷり2019」(2019年3月10日)

司会は雨上がり決死隊三田友梨佳(フジテレビアナウンサー)。審査員は桂文枝関根勤渡辺正行久本雅美陣内智則友近。敗者復活ステージからのリポーターに、竹上萌奈関西テレビアナウンサー)と前回チャンピオンの濱田祐太郎

【Aブロック】
チョコレートプラネット松尾「IKKOさん」(1)
クロスバー直撃 前野悠介「動体視力のテスト」(0)
こがけん「マジカルマイク」(7)
セルライトスパ大須賀「赤ちゃんを寝かしつけながら漫談」(10)

持ちネタのIKKOモノマネに『一休さん』の有名なエピソードを掛け合わせたコントを披露したチョコレートプラネット松尾、動体視力のテストと称して創作性に満ちた小道具を飽きさせない構成で見せつけた(「実印」の重ね技とバームクーヘンの演出は見事!)上で“メルカリ”という旬の要素も取り入れたクロスバー直撃・前野悠介、“どんな曲でもアメリカの80年代の歌手風に歌い上げてしまうマイク”という設定を抜群の表現力で最後まで押し切ったこがけん、大声を出せない状況を作り出してヒソヒソ声でアトランダムな漫談を披露するという新機軸の手法を編み出したセルライトスパ大須賀。既にコンビとしての面白さが認知されているチョコプラ松尾が一段下がって、残り三人で票を取り合うことになる……と想定していたのだが、いざ蓋を開けてみると、こがけん大須賀の一騎打ちに。結果、全審査員に満遍なく評価された、大須賀が最終決戦に進出する。前野……。

【Bブロック】
おいでやす小田「勝ち組の駄々っ子」(6)
霜降り明星 粗品「夢ってなんかヘン」(6)
ルシファー吉岡「共学」(2)
マツモトクラブ(復活2位)「犬」(4)

勝ち組になっても庶民の感覚を捨てられない人間が全力で駄々をこねるという落差のある設定に自身のイジられキャラを上手くはめ込んだおいでやす小田、確固として強烈な発想力をシンプルなイラストで表現しながら更にシンプルなツッコミで畳み掛けた霜降り明星 粗品、その場には存在しない異性に免疫のない男子たちの姿を台詞回しで浮き彫りにするという一人コントの醍醐味を見せつけたルシファー吉岡、真実を見抜く犬を介した友人同士の会話を切なく描き出したマツモトクラブ。ネタを伝わりやすい方向へと寄せ過ぎてしまった感のあったマツモトクラブ、ネタそのものは面白かったが霜降り明星としての漫才の方が圧倒的に面白かった霜降り明星 粗品がやや弱いと感じたので、おいでやす小田かルシファー吉岡が行くだろうと読んでいたのだが、おいでやす小田と粗品が同点という結果に。“より多くの審査員に評価されたほうが勝者となる”という規定ルールに則り、粗品が最終決戦に進出する。

【Cブロック】
◎だーりんず 松本りんす「カツラ芸」(8)
河邑ミク「大阪へ転校」(3)
三浦マイルド広島弁漢字ドリル」(6)
岡野陽一(復活1位)「鶏肉」(1)

丁寧かつ落ち着いた口調でカツラを用いたパフォーマンスを披露するというギャップで笑いを巻き起こした松本りんす(オチ前の悲哀に満ちた一言が素晴らしい)、大阪に対する偏見を正確な再現とともに撒き散らした河邑ミク広島弁アウトローにまみれた漢字ドリルの例文を乱打した三浦マイルド、“鶏肉をもう一度大空に飛ばしてやっているおじさん”というメッセージ性の強い狂った設定のコントを直球で押し通した岡野陽一。笑いの度合いという意味では三浦マイルドが圧倒的。だが、会場の空気を掴んでいたのは、自らの身体を張ったパフォーマンスを披露した松本りんす。どちらかに軍配が上がるだろうと予想していたが……結果は、僅差で松本りんすに軍配が上がる。それはそれとして、友近岡野陽一のコントに一票入れていたのは、なんだかとてもアツかった。

 【最終決戦】
セルライトスパ大須賀「猛獣に囲まれながら漫談」(7)
霜降り明星 粗品「夢ってなんかヘン」(7)
だーりんず 松本りんす「カツラ芸」(4)

一本目とはまったく違ったシチュエーションを提示することでヒソヒソ漫談の内容とのギャップを強めた大須賀、更に磨き上げたネタにバンクシー要素を加えることで完全に獲りに来た粗品、パフォーマンスの間に挟み込まれる喋り部分のクオリティを格段に上げてきた松本りんす。リアルタイムで視聴しているときには、どの芸人が勝つのかまったく予想できなかったのだが、冷静になった状態で観返してみると、粗品のネタの精度が格段に上がっていて、ビックリしてしまった。これは勝たせないわけにはいかないだろう。結果、大須賀と粗品が同点となるも、ルールに則って粗品が優勝。なにやらしこりのようなものを感じなくもないが、優勝は優勝である。おめでとうございます。

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「オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー in 日本武道館」に行ってきた!

【三月二日(土)】

午前六時半起床。眠い。昨夜、いつもの週末のように、少し夜更かししてしまったためだろう。本来の予定では、いつもよりも早くに布団へ潜り込み、万全の体調で望むつもりだったのだが。どうにも夜更かしが好きな性分なので、仕様がない。尤も、前日のうちに、大体の用意は済ませている。多少、覚醒していなくても、それなりになんとかなるように準備できているのである。

身支度を整えて、午前七時過ぎに自宅を出発。車で高松空港へと向かう。運転中、radikoで先週の『オードリーのオールナイトニッポン』を聴こうと思っていたのだが、ここでスマホの充電を消費することもないだろうと考え直し、移動中は前々からカーナビ機に突っ込んであった楽曲を聴いていた。Creepy Nutsの『スポットライト』は何度聴いても気持ちが高揚する。途中、コンビニに立ち寄り、おむすびとフライドチキンを買う。某コンビニのチキンは、齧り付いたときに油が飛び出すことがあるから要注意だ。

午前八時半ごろ、高松空港に到着。出航の予定時刻は午前十時だったので、随分と早めに着いてしまった。しばらく空港内を彷徨って、それなりに時間を消耗したところで、荷物検査を受けて搭乗口へ。午前十時、予定通りにフライト。飛行中はKindleで購入した『今夜、笑いの数を数えましょう』を読み進めた。21世紀最大のお笑い評論本かもしれない。

今夜、笑いの数を数えましょう
 

午前十一時十五分、成田空港に到着。第3ターミナルから徒歩で空港第2ビル駅へと移動し、午前十二時十分発のスカイライナーで京成上野駅へ向かう。同四十五分ごろ、上野に到着。ひとまず荷物を預けるため、宿泊予約を入れていた「サウナ&カプセルホテル北欧」へと向かう。午後一時、チェックイン。受付の女性が研修中で初々しく、ちょっと見とれてしまった。

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ロッカーに荷物を預けて外出。近隣の「名代 富士そば」で昼食を取る。盛りそばの大盛りを食らう。東京に来るたびに、ひとまずここで食事しているような気がする。

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食後、JR上野駅から銀座線で日本橋駅、日本橋駅から東西線九段下駅へと移動する。道中、スマホTwitterのタイムラインを眺めていると、オードリーのANN公式アカウントがグッズの完売を次々に告知していて、気持ちが慌てふためく。別にグッズを目的に来ているわけではないが、折角だから記念となる何かを買って帰りたいというのが田舎者の心情である。

午後一時五十分ごろ、九段下駅に到着。駅を出て、呼吸を乱しながら早歩きで長い坂道を上がっていくと、左手に日本武道館への入り口が見えてくる。否、厳密にいうと、そこは北の丸公園の入り口で、日本武道館は公園の中にある施設なのだが。彌生慰霊堂を横目に田安門を抜け、道なりに歩いていくと、すぐさま日本武道館が姿を現す。その脇に物販を行っているテントが見えたので、即座に飛び込む。ちょうど人の波が落ち着いていたところだったのか、まったく並ぶことなく売り場に辿り着くことが出来た。既にかなりの数のグッズが売り切れていて、欲しかったマフラータオルを手に入れることは出来なかったが、今回の公演を象徴するラスタカラーのリストバンド、妙に可愛いマルシェバッグとトートバッグは購入することが出来た。マルシェバッグとトートバッグは後に売り切れたらしい。間一髪。

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ここから、しばらく開場時刻まで二時間ほど余裕が出来てしまったので、神保町へと移動。Twitterで大見崇晴さんに教えてもらった「矢口書店」に行く。演芸・映画・演劇関係の本に加えて、テレビドラマ・映画の台本も取り扱っている古書店で、とにかく濃い。辛うじて、自分でも手を出せそうだと思えたのは、板尾創路による『板尾創路13日の金曜日(仮題)』のシナリオ(※後に『月光ノ仮面』となった作品である)ぐらいのもの。とても自分のような若輩者が立ち入ってはいけない店だと悟り、すぐさま飛び出して、近場のアダルトショップで倉持由香の写真集を探しながら心を落ち着かせる。

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午後三時二十分ごろ、日本武道館に戻ってチケットをもぎってもらい、入場。事前に本人確認をすると聞いていたので、免許証を構えていたのだが、何もチェックされずに入場することが出来た。どうも、チェックされる対象が、ランダムになっていたらしい。なんだそれ。チケットは全席指定。私の席は西側二階の真ん中あたりにあった。初めての日本武道館はとても大きかった。なにせ、五周年記念イベントで訪れた東京国際フォーラムの倍以上の客席数というのだから、とんでもない大きさである。こんな大きな会場を、たった二人の芸人を愛する人たちが埋め尽くすというのは、改めてスゴいことだと実感させられた。その後、開演までの一時間を、だらだらと自分の席で過ごした。正直、かなり退屈していたのだが、後からやってきた右隣の席の若者たちが、なかなかのお笑いフリークだったようで、ニッポン放送の番組やJUNK、ネタ番組に毒ガスを吐いていたのをこっそり盗み聞きしているのが楽しくて、なんとか時間を潰すことが出来た。有難う。何処の誰かは知らないが。開演までの時間、館内では裏方スタッフによるアナウンスと番組に馴染みのある楽曲が放送されていた。途中、『山里亮太の不毛な議論』のテーマソングが流れたとき、ちょっとだけ客席がざわついたのが面白かった。というか、何故にあの曲が。

午後四時半を少し過ぎたところで開演。おおよその流れは以下の通り。

入場(スター春日とマスクマン若林)
オープニングトーク→提供読み
 コマーシャル
若林のフリートーク(イタコ)
 コマーシャル
春日のフリートーク(FRYDAYの件で)
 コマーシャル
「チェ・ひろしのコーナー」(特別ゲスト:狙女)

 【十五分の休憩】

バーモント秀樹『傷だらけのローラ』『バーモントカレー』『YMCA』
ビトたけし『浅草キッド
 オードリーとゲストトーク
松本明子『♂×♀×Kiss』(featuring春日俊彰
梅沢富美男『夢芝居』(featuring MC.waka)
 オードリーとゲストトーク
 コマーシャル
「死んでもやめんじゃねぇぞ」
 エンディング
漫才「超能力・イタコ」

イベントの主な内容については各所でテキスト化されているので、そちらを参考にしていただきたい。なにせ私は笑いっぱなしだったもので、内容について、殆ど記憶していないのである。困ったものだ。個人的に一番笑ったのは、松本明子と梅沢富美男スペシャルゲストパート。それぞれのパフォーマンスにオードリーの二人がしっかりと絡んでいたところも含め、最高だった。梅沢富美男のケツバットを生で見られたのは嬉しかったなあ……。ちなみに「コマーシャル」というのは、暗転時に流されたラジオコマーシャル風の音源のこと。宗岡芳樹、Creepy Nuts朝井リョウ、HEY!たくちゃん(with岡田マネージャー)らが声で出演していた。オールナイトニッポンのイベントで堂々と『たまむすび』『ハライチのターン!』の宣伝をしている宗岡氏、誰よりもイカれていたし、イカしていたぞ。

午後八時過ぎ、終演。今回のイベントを鑑賞した人たちとのオフ会に参加するため、近場のイタリアンレストラン「La Fiesta」へ。店内貸し切りだったので驚いた。それから三時間ほど飲み食いする。こういう場になると、どうしても下品でバカバカしい話をしたくなってしまう性分で、オードリーのイベントのことなどそっちのけで、ゴシップトークに興じてしまった。うーむ。宴会が終わったところで解散。また何処かでお会いしたい。

来た道とは逆の道筋を辿るようにして上野駅に舞い戻る。ホテルに戻る途中、シメを食したい衝動に駆られ、「横浜家系ラーメン 壱角家」で油そばを食べる。

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ホテルに戻って、大浴場で汗を流し、食堂でビールと軟骨の唐揚げを摂取して完全に出来上がり、『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら就寝。

【三月三日(日)】

午前七時半起床。昨夜のアルコールが脳味噌全体を包み込んでいるような感覚に襲われながら、だらだらと出発の準備を済ませて、午前九時半ごろチェックアウト。生憎の雨。折りたたみ傘を持参したのは正解だった。

京成上野駅のコインロッカーに荷物を預けて、「東京都美術館」へ。伊藤若冲、曽我蕭白歌川国芳らの作品を取り上げた“奇想の系譜展”を鑑賞する……も、集中力が持たず、途中から流し見してしまう。思えば朝から何も食べていなかったのだから仕方がない。

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美術館を出て、山手線で新宿駅、「名代 箱根そば 本陣店」でたぬきそばを食べ、東京メトロ丸ノ内線新高円寺駅へ移動。

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水道橋博士セレクトショップ「はかせのみせ」を訪れるためだったのだが、不定休の日に当たったらしく、シャッターが下りている。休みの日は前日に告知しておいてほしい。

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とはいえ、折角高円寺まで来たので、高円寺駅までぶらぶらと歩くことに。面白そうな居酒屋や雑貨屋、古着屋などを外から眺めて回る。

高円寺駅から中央線で新宿駅、山手線に乗り換えて上野駅まで戻る。午後二時、「麺屋武蔵」で遅めの昼食。以前に食べたときよりも美味しく感じたのは、店のクオリティのせいなのか、それとも此方の体調のせいなのか。

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食後、少し空いた時間を埋めるために、エッチなお店へ……などと邪な考えが頭を過ぎるが、少し疲労が溜まっていたので、ここは素直に「喫茶室ルノアール 上野しのばず口店」で休憩。少し高めのコーヒーを頼んでみるも、味の違いは分からない。

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午後三時二十分、京成上野駅からスカイライナーで空港第2ビル駅へ。バスで第3ターミナルに移動し、お土産物を購入する。この時、「高松空港に霧が発生しているので、状況次第では成田空港に引き戻す可能性がある」、という旨のアナウンスが流れる。もしも高松に戻ることが出来なかった場合、便宜上、もう一日だけ東京に居られるということか……と、呑気な考えが頭の中を駆け巡る。荷物検査を受けて、搭乗口へ。午後五時十五分ごろ、飛行機に乗り込む。午後五時四十五分、出航……の予定だったのだが、飛び立つ気配がない。どうも他の旅客機のフライト状況の関連で、出発することが出来ないらしい。

結局、予定より二十分ほど遅れた、午後六時十分ごろに出発。一時間半ほどかけて、午後七時四十五分ごろに高松空港へと到着した。その後、空港の駐車場を出た私は、近場の寿司屋で夕飯を取り、午後十時に帰宅。

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風呂に入って、『問わず語りの松之丞』を聴き、『乃木坂工事中』を見ながら、この記事を書いている。明日からはまた退屈な日々が始まるが、5周年の東京国際フォーラム、10周年の日本武道館を経験した今、また五年後に行われるであろう何かのために生きていくのだと思えば、幾らか気持ちは楽になる。

無論、それまで番組が続いているかどうか、分かったものではない。だが、きっと続いているだろう、とは思う。そういう信頼感が彼らにはある。隠れてしまった父親も狙っている女も明け透けにトークのネタにして、テレビの世界で着実に安定した地位を築き上げているのに心の中でひっそりと抱いている違和感や不安を率直に吐露してしまう、そんな彼らがラジオを捨てられるわけがないと思っている。少なくとも、リトルトゥースが納得できるような状況にならない限りは。

だから五年後も、ひとつよしなに。

2019年3月の入荷予定

13「お待たせしました祇園のDVDです!
22「サンドウィッチマンライブツアー2018
27「アキナ2

どうも菅家です。今週末はオードリーのラジオイベントのために上京する予定になっています。一泊二日の予定です。他の所へ遊びに行く余裕はなさそうです。折角の東京だというのに。でも、仕方がありません。そういう運命なのです。そんな大袈裟な。それはさておき三月の予定ですが、以上のラインナップとなっております。年に一度のサンドウィッチマン、前作『アキナ』から三年半ぶりのリリースとなるアキナ、そして初のDVDリリースである祇園……祇園って、あんまり名前聞かないんですけど、関西ではそんなに人気あるんですかね。或いは、結成十年目を超え、更なる躍進を期待されているのかもしれません。楽しみにしておこう。